学生時代に年金保険料「46万円」が未納だった! 追納しないとどれだけ「損」なの? 将来の受給額を試算
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月2日 2時20分
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先日、筆者のもとに1枚のハガキが届きました。中身は「国民年金保険料追納のご案内」。大学生の時に利用した学生納付特例制度で、免除された期間の追納に関する案内です。追納することで将来の年金額が増えると記載がありますが、本当に追納したほうが得なのでしょうか。 本記事では、在学中に利用する人が多い学生納付特例制度について、特例によって免除された期間分の追納をすることが得なのか、追納の必要性を解説していきます。
追納しない場合の受給額は満額から年間約5万円減ることに
国民年金に対する老齢基礎年金の受給額は、20歳から60歳までの40年間に支払った額や期間によって決まります。筆者は11月生まれなので、20歳を迎える11月から大学卒業の3月までの29ヶ月間が免除期間となっています。老齢基礎年金の2023年度の満額は年間79万5000円、月額にして6万6250円です。
免除期間の年金を追納しない場合は、受給額から40年間のうち29ヶ月を控除して計算しますので、74万6968円となります。月額にして6万2247円の受給となります。年間で約5万円受給額が減ることとなります。生まれ月にもよりますが、現役で4年生大学に通い、卒業している人は年間の減少額は約4万~6万円になるといえるでしょう。
74歳以上まで生き続けるなら追納したほうがお得
学生納付特例制度の期間中に免除された年金を支払わないと、将来の年金額が減少することがわかりました。では、実際にいくら追納すれば受給する年金を満額にすることができるのでしょう。
筆者の場合、追納金額は46万1570円です。この追納は、免除特例を承認された月からさかのぼって10年以内に限って支払うことができます。年間約5万円の減少に対して約46万円の支払いをしますので、65歳から9年以上、つまり74歳以上生き続ければその後は追納したことによる年金増加(満額支給)の恩恵を受けることができます。
しかし、この計算はあくまで2023年度時点での老齢基礎年金に対するシミュレーションですので、将来の老齢基礎年金の金額が減少すれば、この損益分岐点は後ろにずれる点に注意が必要です。
60歳以降も働く予定の人は厚生年金の経過的加算の活用も視野に
実は、学生時代の免除期間によって減少している分の年金額をカバーする手段が存在します。それが、老齢厚生年金における経過的加算です。経過的加算があることで、60歳以降も働き続けて厚生年金に加入していた場合に追納分をカバーすることが可能です。経過的加算の具体的な計算方法は以下の式となり、AからBを引いた金額が経過的加算として上乗せされます。
A=2023年の厚生年金の定額部分(1657円)×厚生年金総加入月数(上限480ヶ月)
B=2023年度の老齢基礎年金満額(79万5000円)×20歳~60歳までの厚生年金加入月数/480ヶ月
例えば、筆者の場合は63歳まで働き続けることで厚生年金については学生時代の期間をカバーすることができ、Aの厚生年金加入月を480ヶ月まで伸ばすことができます。
Bの金額は増やすことができないためB=74万6968円のままです。
つまり、A=1657円×480=79万5360円。AからBを引くと年間約5万円の年金増加を見込むことができます。
老齢基礎年金と厚生年金双方の制度の理解を深め判断を
経過的加算を視野に入れることで損益分岐点は変わってきます。年間の減少額は実質なくなりますので、60歳以降も厚生年金に加入するのであれば、追納することによるメリットはほとんどないといえるのではないでしょうか。
老齢基礎年金だけに注目すると追納することによるメリットは大きいように捉えられがちですが、特に会社員など厚生年金へ加入している人は、経過的加算などの制度を理解したうえで、将来の年金額を左右する追納制度を活用するか否か決めるべきでしょう。
出典
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 た行 定額部分
日本年金機構 か行 経過的加算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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