退職金が入ったら住宅ローンの返済に充てたい! 一括返済と繰り上げ返済の違いとは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月5日 3時0分
定年退職を目前にしている人のなかには、退職金を住宅ローンの返済に充てようと考えている人もいるのではないでしょうか。住宅ローンを毎月の返済額とは別に行う方法として、「繰り上げ返済」と「一括返済」があります。 繰り上げ返済と一括返済のどちらを選んだとしても、支払う利息の軽減や支払期間の短縮を期待できます。ただし、老後資金のことを考えずに住宅ローン返済をしてしまうと、生活が苦しくなる可能性があるので、慎重な判断が必要です。 本記事では、住宅ローンの繰り上げ返済と一括返済について、退職金で住宅ローンを返済するメリットなどを解説します。
住宅ローンの繰り上げ返済と一括返済とは?
住宅ローンの「繰り上げ返済」と「一括返済」はともに、毎月の返済額とは別に返済を行う方法です。利息の負担軽減、返済期間の短縮ができるなど、住宅ローンの返済負担を少しでも軽減したい人なら、積極的に利用を検討したい方法だといえるでしょう。
最初に、住宅ローンの繰り上げ返済と一括返済の違いについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
繰り上げ返済は住宅ローン残高の一部を返済する方法
住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の返済額に加えてローン残高の一部を返済する方法です。繰り上げ返済には「期間短縮型」「返済額軽減型」の2種類があります。その名のとおり期間短縮型は返済期間の短縮、返済額軽減型は毎月の返済負担の軽減が可能という特徴があります。どちらにするのかは、ローン契約者にて選択が可能です。
一括返済は住宅ローン残高の全額を返済する方法
一括返済は、住宅ローン残高の全額を返済する方法です。一括返済をすることで以降の返済はなくなります。予定よりも早く完済できることから、利息負担軽減の効果も高いです。
しかし、住宅ローン契約者が死亡、高度障害状態に陥った際に以降の返済が免除される団信(団体生命信用保険)の補償が適用されず、適用期間が残っている住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)も受けられなくなります。一括返済をする際には、返済した後のことも考えたうえで、必要性を慎重に判断したほうがよいでしょう。
退職金で住宅ローンを返済するメリットとは?
退職金で住宅ローンを返済する際のメリットは、以下のとおりです。
●支払う利息や総返済額を軽減できる
●退職後のローン返済の不安がなくなる
退職金で住宅ローンの返済をすることで、金銭的負担だけでなく「住宅ローンを返済しなければならない」という不安もなくなります。毎月の決められた返済以外に、退職金を使って住宅ローンを繰り上げ返済または一括返済をする際には、まとまった支出となるため注意が必要です。しかし、メリットの効果は高い方法なので、ぜひ積極的に繰り上げ返済または一括返済の利用を検討していくとよいでしょう。
支払う利息や総返済額を軽減できる
住宅ローンの繰り上げ返済のうち期間短縮型と返済額軽減型、または一括返済を行う最大のメリットは、支払う利息や総返済額を軽減できることです。
毎月の家計のなかから、住宅ローンの返済資金を確保している人も多いのではないでしょうか。その場合、繰り上げ返済や一括返済によって家計に余裕が出た分だけ、貯蓄に回したり、よりゆとりのある生活ができるようになったりするでしょう。
退職後のローン返済の不安がなくなる
退職金で住宅ローンを繰り上げ返済または一括返済をすれば、退職後の返済の不安がなくなります。「退職後に再雇用してもらえるものの収入は激減する」「公的年金で受け取れる金額が少ない」など、退職前と同額の返済計画に無理を感じている人もいることでしょう。
そこで、住宅ローンの繰り上げ返済や一括返済を利用してまとまった額を返済すれば、退職後の収入や年金額が少なくても、家計に大きな負担をかけずに済みます。「これからどのように返済すればいいのだろう」「金利が上がりそう」などと悩む必要はありません。
老後の生活費に影響のない範囲内での返済が重要
退職金で住宅ローンを返済する際には、これまでに貯めたお金の全額を使うような無理のある返済をしないでください。老後資金のことも考慮して、無理のない金額を返済することが大切です。
60歳での定年退職後に再就職をしなければ、65歳での年金受け取り開始までは貯蓄や退職金から毎月の生活費を捻出することになります。その結果、老後資金が足りなくて困ったり、自宅のリフォームや医療費といった必要なお金を用意できなくなったりする可能性も高いでしょう。
住宅ローンは返済方法の特徴を理解して無理なく返済を
住宅ローンの借入金額は、数千万円を超えるケースも珍しくありません。返済をしてはいるものの、なかなか借入残高が減らないといった悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。
そこで、退職を目前にしている人は、可能な範囲内で退職金を住宅ローンの返済に充てられないかを検討してみましょう。繰り上げ返済や一括返済によって、退職後の収入や公的年金を老後資金に回せます。
なお、繰り上げ返済、一括返済はともに早期返済の方法ではあるものの、特徴には違いがあります。それぞれの特徴を把握したうえで、適した方法を積極的に活用してください。
出典
国税庁 No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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