年金の繰下げ受給の待機中に亡くなった場合、遺族は増額分を受け取れる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月5日 3時0分
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として65歳から受給が始まりますが、申請をしなければ最長で75歳まで繰下げが可能です。繰下げ受給をすれば、年金が増額されます。現在は65歳を超えても仕事を続ける方が増え、繰下げ受給を選択する方もいます。 その一方で、年金の繰下げ中に本人が亡くなったらどうなるのかと不安に思っている方もいるでしょう。本記事は、年金を繰下げている最中に亡くなった場合の年金について解説します。
年金の繰下げ受給とは何か
年金の繰下げ受給とは、年金の受給年齢を66歳以降に後ろ倒しにする方法です。特別な手続きは必要なく、年金の受給申請を行わなければ最長で75歳まで自動的に年金は繰下げされます。
年金を繰下げれば、「65歳に達した月から繰下げ申出月の前月まで月数×0.7%」分の年金が増額されます。最大75歳まで年金を繰下げれば84%増額されるので、年金以外の収入源がある方ならば、メリットが大きな制度です。
ただし、昭和27年4月1日以前生まれの方は繰下げの上限年齢が70歳なので、増額率は最大で42%です。繰下げ受給の具体的な増加率は、日本年金機構のホームページ内の「年金の繰下げについて」で確認できます。
なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方の受給資格がある方は、どちらか一方のみを繰下げ受給することも可能です。
年金受給中に本人が亡くなった場合
年金を繰下げれば、その分受給できる年金は増額されます。しかし、高齢になるほど年金を繰下げても、受給してすぐや受給開始前に亡くなるケースも出てくるでしょう。そのような場合、未受給分の年金はどうなるのでしょうか?
本項では、繰下げ受給中や待機中に本人が亡くなった場合の年金の処遇について解説します。
受け取っていない年金はどうなる?
年金を受けている方が亡くなると、年金を受給する権利がなくなります。そのため、年金は支給停止になります。ただし、亡くなった日から後に振り込まれた年金のうち「亡くなった月分までの年金」は、未支給年金として生計を同じくする方が受け取れます。
生計を同じくする方とは、同居して一緒に暮らしていた、亡くなった方が生活費などを送金していた方が該当します。一例を挙げると、配偶者や生活の面倒をみていた子どもや親などが該当します。夫婦共働きであっても、生計を同じくしているとみなされます。
ただし生活を共にしていても、両親が年金を受給していれば年金で生活をしているとみなされて、生計を同じくしているとはみなされません。
繰下げ受給の待機期間中の増額分は?
繰下げた年金を受給中の方が亡くなった場合は、増額した分は未支給年金に反映されます。例えば、68歳まで繰下げ受給を行い、70歳で亡くなった場合、66~68歳まで繰下げ受給した分の増額分は未支給年金に含まれます。
一方、75歳まで年金を繰下げ受給しようと待機中だった方が70歳で亡くなった場合、増額分は年金に反映されません。これは、年金を繰下げ受給するリスクの一つです。待機期間が長いほど増額分は増えますが、待機中に亡くなった場合の増額分は年金に反映されません。
年金の繰下げ待機期間中に亡くなった場合、65歳時点の年金額で決定し、未支給年金として過去分の年金が一括で支払われます。ただし、請求した年から5年以上前の年金は時効によって受け取れなくなるので注意してください。
例えば、75歳まで年金を繰下げようと考えていた方が74歳で亡くなった場合、65歳~69歳までの年金は時効により受け取れません。
年金を繰下げる場合は亡くなるリスクも考えておく
年金を繰下げると最大で84%まで増額されます。現在は65歳を超えて働くシニア層も増え、企業も再雇用に積極的です。現役のときのように定期的な収入が確保できるなら、年金の繰下げ受給を選択するメリットは大きいでしょう。
その一方で、年齢が上がるにつれて待機中に亡くなるリスクも増えます。したがって、年金を受給する時期は、自身の健康状態も考えて慎重に決めましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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