会社の椅子が合わず、腰痛がひどいです…。「労災」はおりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月5日 10時10分
職種や業種によっては、職場で支給された備品の椅子に座って、長時間の労働をすることもあるでしょう。しかし、椅子が身体に合っていないと、腰痛を引き起こす場合もあります。 会社の備品で腰痛になってしまったら、労働災害(労災)に認定されるのでしょうか。具体的にみていきましょう。
椅子で腰痛が起こる理由
オフィスでデスクワークをする職種・業種の人は、椅子に長時間座り続けていることも多いといえます。座り仕事で腰痛になることには、どのような理由が考えられるでしょうか。
座り続けることで腰痛が起こるメカニズム
労働時間のうち、ほぼすべてを座って仕事をしている人は、1日8時間以上もの時間、椅子に座り続けていることになります。
座る姿勢を続けることは、実は、身体には大きな負担をかけています。人間は、二足歩行になったことで、腰椎と呼ばれる部分がカーブして、S字の形に変化していったといわれています。
腰椎は5個の骨から成り立っていて、じん帯や椎間板でつながっています。腰椎の役割は、身体の上部分を支えることと、身体を前後左右に動かす、曲げる、ひねるといった動作をすることです。
長時間を椅子に座ったままでいると、腰椎のカーブが徐々に崩れ、椎間板の形が変わり、腰椎の中にある神経が圧迫されて、痛みが出ます。
腰回りの筋肉、じん帯に負担がかかって、凝って起こるのが腰痛です。腰の痛みがひどいと、生活に支障をきたします。
オフィスでの仕事をする場合、職場から支給された椅子を使って、作業をすることが一般的です。しかし、合っていない椅子に座り続けていると、少しずつ腰に負担がかかり、腰痛の原因となることもあります。
労災の認定要件
厚生労働省が定めている、腰痛の認定条件について詳しくみていきましょう。
災害性の原因による腰痛
災害性の原因とは、仕事中に突発的に発生したアクシデント、例えば、転倒や転落により腰にけがを負った場合や、急に重い物を持たされたり、不安定な姿勢で物を持ったりすることで、引き起こされた腰痛を指します。
災害性の原因によらない腰痛
災害性のように、突然起こったアクシデントが原因ではなく、仕事をしているうちに、腰に負担がかかったことで腰痛が起こった場合も、認定条件を満たすケースがあります。災害性の原因によらない腰痛の原因は、さらに2種類に分けられます。
ひとつは、3ヶ月以上の比較的短期間において、仕事で重い物を中腰で持つとか、不自然な姿勢のまま業務を行う、トラックドライバーなどのように、立ち上がれずに同じ姿勢で長時間過ごす仕事の場合や、強い振動を受け続ける作業などの業務内容を続けたことが要因となり、筋肉が疲労して、腰痛が発症するケースです。
もうひとつは、重い物を持つ業務を10年以上続けたことによって、骨の形が変わり、腰痛が発症したケースです。加齢によっても骨は変形するため、通常の加齢の場合よりも、大きく変形した場合が該当します。
椅子が原因の腰痛は労災保険がおりる?
身体に合わない椅子を使い続けることで起こる腰痛は、災害性の原因によらない腰痛ですが、筋肉の疲労や、骨の変形による、2種類の腰痛の認定条件には該当しないと考えられます。そのため、労働者災害補償保険(労災保険)がおりる可能性は非常に低いでしょう。
腰痛の対策方法とは?
椅子に座って仕事をする際には、よい姿勢を保つことが腰痛防止になります。パソコン画面をのぞき込む猫背の姿勢や、浅く腰掛けて反り腰になることを避けて、座骨で座ることを意識します。
椅子を正しい高さに調節して、上半身に力を入れないように心がけましょう。自分で椅子を選べる、または、これから職場で椅子を購入する場合は、体重を分散させられて、腰への負担が少なくなる機能がある、椅子を選ぶことをおすすめします。
労災の基準を確認しよう
身体に合っていない椅子に座り続けることは、腰に大きな負担がかかり、腰痛の原因ともなります。しかし、厚生労働省による認定基準を満たしているとはいえないため、労災保険がおりる可能性は非常に低いと考えられます。あらためて、労災の認定基準を確認しておきましょう。
出典
厚生労働省 腰痛の労災認定
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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