65歳以降も働きたい! 年金が「一部支給停止」にならない月収はいくらまで?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月6日 1時40分
「老後も会社勤めをすると年金が減らされる場合がある」と知って、できれば年金が減額されないよう、上手に働き方を調整したいと考える人は多いでしょう。 年金と賃金などの合計額がボーダーラインを超えると、年金が一部支給停止となります。 本記事では、年金が一部支給停止となる基準や減額後の年金額の計算方法、停止になった年金の支給が再開するタイミングなどを分かりやすくまとめました。
65歳以降も働くなら在職老齢年金のルールに注意が必要
60歳以降に厚生年金保険の被保険者として働く場合、在職中に受給する老齢厚生年金を「在職老齢年金」といいます。
在職老齢年金は、働いて得ている賃金(給与およびボーナス)の金額と年金額の合計が一定額を超えると、一部または全部が支給停止となるため注意が必要です。
また、2007年4月以降に70歳になった人が、厚生年金適用事業所に雇用されて賃金をもらう場合も、厚生年金保険の被保険者ではないものの、70歳までの厚生年金保険被保険者と同様の基準で年金の支給停止が行われます。
年金が一部支給停止になる月収の基準
在職老齢年金が全額支給されるのは、老齢厚生年金の基本月額(※1)と、総報酬月額相当額(※2)の合計額が48万円以下のときです。
年金が一部支給停止にならないようにするには、年金の受給額を把握したうえで、標準報酬月額や標準賞与額を足した合計が平均して48万円を超えないような働き方をする必要があります。
年金や賃金の月額だけでなく、ボーナスの額も計算に入れる必要があることに注意しましょう。
※1 老齢厚生(退職共済)年金の報酬比例部分の月額(加給年金額を除く)
※2 当該月の標準報酬月額と以前1年間の標準賞与額の平均月額を合計した金額
年金が一部支給停止になったとき、調整後の年金額の計算方法
基本月額と、総報酬月額相当額の合計額が48万円を超えた場合は、超過した金額の2分の1を年金から差し引いて支給されます(ただし、老齢基礎年金・経過的加算額は全額支給されます)。在職老齢年金による調整後の支給月額の計算式は、以下のとおりです。
調整後の在職老齢年金の支給月額=老齢厚生年金の基本月額-(老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額-48万円)×1/2
例えば、老齢厚生年金の基本月額が20万円、総報酬月額相当額が35万円の人の場合、一部支給停止後の年金の支給月額は次のように計算できます。
調整後の在職老齢年金の支給月額=老齢厚生年金の基本月額20万円-(老齢厚生年金の基本月額20万円+総報酬月額相当額35万円-48万円)×1/2=16万5000円
一部支給停止になる年金額は基準額48万円を超えた部分の半分のため、働き方を抑えて支給停止を回避した場合よりも、基準額を超えて賃金をもらうほうが、トータルの収入としては多くなることは、覚えておくとよいでしょう。
年金が一部支給停止になったら支給が再開するのはいつ?
在職老齢年金が一部支給停止となるのは、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円を超えたその月からです。支給停止となった年金はずっと受け取れないのではなく、総報酬月額相当額が変わって支給停止の基準を下回れば、その月から再び年金が全額支給されるようになります。
また、退職して厚生年金保険の被保険者でなくなった場合は、退職日の翌月から本来の額(70歳未満の場合は年金額に反映されていない厚生年金加入期間を追加して再計算した額)の老齢厚生年金が支給されます。ただし、退職後1ヶ月以内に再び厚生年金保険の被保険者となった場合は除きます。
在職老齢年金を理解して働き方を調整しよう
在職老齢年金は、毎月の年金額や給与、ボーナスなどの金額が基準を上回ると、超過した金額に応じて年金が支給停止になる仕組みです。
年金が支給停止になってもトータルの収入は減らないように制度設計されていますが、老後も働いて収入を得て本来もらえるはずだった年金も全額受け取りたいという場合は、基準額を超えない範囲で働く工夫が必要となります。
在職老齢年金が支給停止になる基準や判定方法をよく理解して、自分の希望に合った働き方を検討しましょう。
出典
日本年金機構 さ行 在職老齢年金
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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