子育て支援で「紙おむつ」が支給される地域があるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月8日 3時10分
政府はこども・子育て政策として「次元の異なる少子化対策」(※1)を推進していますが、地方自治体でもさまざまなこども・子育て支援策が講じられています。 今回は、神奈川県厚木市が実施している「子育て日常生活支援事業」について解説し、同様の支援事業を行っている市区町村の例を紹介します。
厚木市の「子育て日常生活支援事業」とは
厚木市では、「子育て日常生活支援事業」として一定の児童を養育している家庭に対して、紙おむつやおしりふきなどを宅配する事業を実施しています(※2、3)。
1.支給対象児童および申請方法
支給は、以下の全ての条件を満たす方が対象となり、厚木市役所で支給申請を行います。
(1)児童を養育していること
(2)申請時に、対象児童が0歳であること(1歳の誕生日を迎える月まで)
(3)申請時に、児童および養育者の住民登録が厚木市内にあり、かつ、同居していること
2.支給期間
支給期間は、申請書を提出した月の翌月から、表1の期間となります。
【表1】
対象児童 | 支給期間 |
---|---|
第1子および第2子 | 12ヶ月間 |
第3子以降の子 | 2歳の誕生日の属する月まで |
(※2を基に筆者作成)
3.支給品
市が指定する紙おむつ、おしりふき、赤ちゃん用ウェットティッシュなどの中から、1ヶ月当たり450点(4500円相当)までが支給対象となり、その額を超えた分は自己負担となります。
4.注文および支給方法
支給申請後、市が指定する委託業者に対して希望する品物と数量を注文します。委託業者は、毎月1回御希望の品物を自宅に配送します。
この際、注文内容が支給限度額を超える場合は、1点につき10円を、払込用紙を用いて支払います。配送される品物は、変更しない限り同じ品物が支給終了まで毎月配送されます。
同様の事業を行っている市区町村
厚木市のように全ての児童を対象に「紙おむつ」などを支給する制度を採用している市区町村の例を紹介します。
1.兵庫県明石市の「0歳児の見守り訪問事業」
兵庫県明石市では、生後2ヶ月頃までは保健師による「新生児訪問」を行い、赤ちゃんの成長確認や子育ての悩み相談を実施しています。
そして、生後3ヶ月から満1歳になるまでは、見守り支援員(配達員)が毎月3000円相当の紙おむつなどの育児用品を届けるとともに、子育ての悩みなどを聞く事業を実施しています(※4)。
2.群馬県みどり市の「子育て支援紙おむつ給付事業」
群馬県みどり市では、同一世帯にいる18歳(18歳到達後の最初の3月31日までの間)以下の児童を3人以上養育し、2歳未満の児童がいるなど一定の要件を満たす方に、市が指定する店舗で、紙おむつを購入できる給付券を、1ヶ月当たり2000円分(1000円券×2枚)交付しています(※5)。
3.埼玉県飯能市の「スマイルプロジェクト」
埼玉県飯能市では、0歳児の保護者を対象として、「出生届提出時」、「乳児健診時」、「8ヶ月児クーポン券交付時」の3回に分けて合計5万円分のおむつなどの育児用品の購入に使えるクーポン券を支給しており、クーポン券を手渡す際に保護者の悩みや不安を確認しています(※6)。
4.愛媛県四国中央市の「紙のまちの子育て応援 乳児紙おむつ支給事業」
愛媛県四国中央市では、出生届を提出した際に、市が指定する紙おむつなどの商品と交換することができる引換券を最大40枚(対象商品40袋分)交付しています(※7)。
まとめ
厚木市やいくつかの市町村では、「紙おむつ」などを支給する制度を採用しています。今後、政府の少子化対策が進むにつれて、子育て支援を強化する市区町村が増えてくると思われます。
将来は、子育て支援などの行政サービスの充実した市区町村を選んで転居する時代が来るかもしれません。
出典
(※1)首相官邸 こども・子育て政策の目指す社会像と基本理念とは~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~
(※2)厚木市 紙おむつ、おしりふき等を支給します。
(※3)厚木市 令和5年度厚木市子育て日常生活支援事業カタログ
(※4)明石市 明石市0歳時の見守り訪問
(※5)みどり市 子育て支援紙おむつ給付事業
(※6)飯能市 スマイルプロジェクト
(※7)四国中央市 紙のまちの子育て応援 乳児紙おむつ支給事業
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
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