年金受給前に夫が急逝したのですが、「遺族年金」と「老齢年金」はどちらの方が多くもらえますか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月11日 2時20分
![年金受給前に夫が急逝したのですが、「遺族年金」と「老齢年金」はどちらの方が多くもらえますか?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_225612_0-small.jpg)
自身が年金を受け取る前に夫が急逝し、今は遺族年金(遺族厚生年金)を受給できているものの、将来は老齢年金も受け取れるという場合、遺族年金と自分の老齢年金、どちらを選択するべきなのでしょうか。 子どもの独立後、年金受給前に夫が亡くなった妻を想定して、遺族年金と老齢年金の選択について考えていきます。
遺族年金と老齢年金は併給できる場合がある
年金は1人1年金が原則となっています。年金には老齢年金(原則65歳から受け取れる年金)と遺族年金(一定条件に該当する遺族が受け取れる年金)、そして障害年金(一定の障害を負った方が受け取れる年金)がありますが、基本的には、これらのうちどれか1年金を受給することになります。
ただし、それには例外があります。その例外の一つが、遺族厚生年金と65歳以後に受け取る老齢年金の組み合わせです。具体的には、下記に該当するような場合、遺族年金と老齢年金は併給が可能です。
・65歳以上で受け取る老齢基礎年金と、遺族厚生年金
・老齢厚生年金と遺族厚生年金(一部支給停止の可能性があります)
基本的に併給できる場合は遺族年金と老齢年金の併給でOK
先に見たように、遺族厚生年金と自身の老齢基礎年金とは、65歳以後に併給することができます。
同様に、遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金も併給できます。例えば、老齢基礎年金と遺族厚生年金とは併給しても支給停止されないため、老齢基礎年金6万円と遺族厚生年金10万円を受け取れる場合、合計16万円をそのまま受け取れるという具合です。
ただし、遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金を併給すると、一部が支給停止されます。支給停止されるのは、自身の老齢厚生年金相当額です。
例えば、自身の老齢基礎年金が6万円、老齢厚生年金が7万円として、遺族厚生年金が10万円支給される場合で考えてみます。この場合、自身の老齢厚生年金に相当する7万円分の遺族厚生年金が支給停止され、遺族厚生年金は3万円のみの支給になります。
一部が支給停止されるなら、遺族厚生年金は受け取らない方がよい! となるわけではないのです。
なお、65歳より前に老齢基礎年金を受け取る「繰上げ受給」をする場合は併給ができないので、65歳よりも前に老齢基礎年金を受け取るならば、遺族厚生年金の支給額を確認し、比較の上、どちらか金額の高い方を選ぶ必要があります。
特別支給の老齢厚生年金に注意
老齢厚生年金には、65歳より前に受け取れる「特別支給の厚生年金」というものがあります。こちらは生年月日や性別に応じて60歳以降に受け取れる年金です。
この特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金とは選択制になっており、併給できません。どちらを取るべきかは生年月日に加え、厚生年金への加入履歴によって異なるので一概にはいえません。
それゆえ、老齢厚生年金の受給前に遺族厚生年金の受給ができる場合、まずは遺族厚生年金を受給し、その後特別支給の老齢厚生年金を受け取れる段階になったら、自分自身の特別支給の老齢厚生年金の額を確認してみてください。そして、有利な金額となる方を選べばよいのです。
なお、老齢厚生年金については課税対象となります。所得税の場合、老齢基礎年金と合わせて年間110万円を超えた場合に生じることになっています。
「税金を考慮すると、特別支給の老齢厚生年金よりも遺族厚生年金の方が、支給額は少なくとも手取りは多かった」ということもあります。特に両者の支給額に差がほとんどないという場合、最寄りの年金事務所などに相談して決めるべきです。
まとめ
遺族年金と老齢年金は併給できる場合もあります。「65歳以上で受け取る老齢基礎年金と遺族厚生年金」と、「老齢厚生年金と遺族厚生年金」という組み合わせが代表例です。
遺族年金と老齢年金、両方を受け取れる場合は必ずしもどちらか一方を選ぶのではなく、まずは併給できないか確認をして、併給できない場合は両者の金額を比較し、有利な方を選ぶようにしてください。
年金制度は複雑で、最適解は個別の具体的な事情によって異なります。受給する年金を選択する際は、最寄りの年金事務所に相談することをおすすめします。
出典
日本年金機構 遺族年金ガイド
日本年金機構 年金の併給または選択
国税庁 高齢者と税(年金と税)
執筆者:柘植輝
行政書士
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
年金を「月15万円」受け取っていた夫が死亡。妻が受け取れる「未支給年金」とは?“遺族年金の受給額”もあわせて解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月5日 4時30分
-
ずっと専業主婦だったのに「夫の遺族年金」と「自分の年金」だけで生活できているという姉。いったい月いくら受け取っているの? 夫の年収が「700万円」だったケースで試算
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月30日 2時20分
-
自分はずっと専業主婦でしたが、夫がなくなった場合に、遺族年金はどれくらい受け取れますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月29日 23時0分
-
「え、どうして?」年金増額を期待していたのに…増えるどころか「年10万円」減額された高齢女性の悲劇
Finasee / 2024年6月24日 12時0分
-
夫婦とも正社員、給与も同じくらいです。定年後は2人の年金で生活したいのですが、どちらかが亡くなったら受け取れる年金は減りますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月24日 10時0分
ランキング
-
1ユークス、脚本家の野島伸司氏が社外取締役を辞任 一身上の都合
ロイター / 2024年7月23日 16時55分
-
2日本製鉄、中国宝山鋼鉄との自動車鋼板合弁解消へ
ロイター / 2024年7月23日 17時19分
-
3「脱ママチャリ」電動自転車がここへ来て人気の訳 10万超でも高性能化、小型化で「1人1台」に?
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 10時0分
-
4「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分
-
5小林製薬、会長と社長が辞任 紅こうじ問題の責任明確化
ロイター / 2024年7月23日 13時9分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)