退職所得はとても有利な所得! 計算方法はどうなる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月12日 9時40分
![退職所得はとても有利な所得! 計算方法はどうなる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_226000_0-small.jpg)
退職所得は、他の所得に比べてとても優遇されている所得です。それは、退職金が主に定年退職時に支給され、老後の生活資金の一部になるからです。長く会社に勤めている方を優遇するように制度設計されています。 しかし、最近この退職所得制度が転職を阻害しているとのことで、制度の見直しの議論が始まっています。今回は退職所得の優位性を認識し、自分のこととして退職所得制度の今後の在り方を考えてみましょう。
退職金とは
まず退職金とは、会社を退職する場合に長年の会社への貢献に対し支給される退職手当などのお金のことです。退職金は法律では定められてはいません。各会社独自の制度です。そのため退職金を受け取れるかどうかやその金額は、会社や本人によって違います。
ちなみに東京都産業労働局の調査では、東京都の中小企業の退職金額のモデル(令和4年)は、大卒の場合1091.8万円となっています。
ここでいう退職金とは、正確には一時金で受け取る退職時の収入のことです。この収入金額から退職所得を計算します。社会保険制度や生命保険会社から支給される退職一時金や解雇予告手当、退職後に支給を受けた未払い賃金なども退職収入に該当します。
退職時に支給を受ける権利を取得する退職年金は、退職所得とはならず、雑所得とされますので注意してください。
退職所得の計算方法
退職所得の金額は次のように計算されます。
退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)×1/2
退職所得は、収入金額から退職所得控除額を引いてさらにその半分にした金額がベースになります。
所得税は通常「超過累進課税方式」で金額が多くなるほど税率が上がります。給与所得や雑所得等は合算して税率をかける総合課税方式ですが、退職所得は分離課税方式といって単独で計算しますので、ここでも税率が低く抑えられます。
※勤続年数が5年以下の役員等の場合は、2文の1をかけませんので注意が必要です。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額の金額は次のように計算されます。
<勤続年数が20年以下の場合>
退職所得控除額=40万円×勤続年数(最低80万円)
<勤続年数が20年超の場合は>
退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数―20年)
上記の計算で勤続年数が20年超の場合は、ややこしく見えますが、単に、勤続年数が20年以下の場合は1年につき40万円の控除で、20年を超えたら1年につき70万円になるということです。勤続年数が20年超の場合の計算式の最初の800万円とは40万円×20年の金額のことです。
退職所得控除額の計算における勤続年数は、1年未満の端数は、たとえ1日でも1年に切り上げます。これも優遇処置の1つです。
※障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上記で計算した金額に、100万円を加えた金額が退職所得控除の金額になります。
実際に計算してみよう
勤続年数34年1ヶ月の方が、退職一時金を2500万円受け取った場合の退職所得の金額はいくらでしょうか。勤続年数は、35年となります。
退職所得控除額=800万円+70万円×(35年-20年)=1850万円
退職所得の金額=(2500万円-1850万円)×1/2=325万円
確定申告は必要か
通常、退職金の支払いを受ける場合は、勤務先に「退職所得の支給に関する申告書」を提出します。これにより勤務先は退職金に関する源泉徴収の手続きを行いますので、確定申告の必要はありません。
しかし、申告書の提出がないと、収入金額の20.42%が源泉徴収され、退職所得控除が適用されないため、確定申告を行って清算することになりますので、注意が必要です。
退職所得は、老後の生活資金の一部となる大切な所得です。転職の妨げになるからと、単に優遇措置をなくすのではなく、転職しても勤続年数を通算するような制度にはできないものでしょうか。皆さんで関心を持っていきましょう。
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント
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