退職後、年金を払えないと「差し押さえ」になる!? 未納リスクと適切な対処方法を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月16日 2時20分
![退職後、年金を払えないと「差し押さえ」になる!? 未納リスクと適切な対処方法を解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_226380_0-small.jpg)
退職してから転職するまでの間、もしくはフリーランスとして独立した後などは、自身で国民年金保険料を納めなければならないことをご存じでしょうか? ちなみに、2023年度の国民年金保険料は月1万6520円です。収入があってもなくても、毎月1万6520円を支払わなければなりません。 そのため、退職後に収入がない状態などであれば、保険料の支払いが厳しく未納状態となってしまうこともあるでしょう。 しかし、未納のままだと最終的に差し押さえになってしまう可能性もあります。そういった場合、条件に合えば保険料免除の申請をして、保険料支払いの負担を減らすことができます。本記事では、国民年金保険料の納付が難しいときの適切な対処法を解説します。
退職したら国民年金保険料を自ら納める必要あり
会社勤めや公務員などの人が仕事を辞め、配偶者の扶養に入らない場合、年金制度での扱いが「第2号被保険者」から「第1号被保険者」に変わります。第2号被保険者(会社員など)は、各種年金の保険料を給与からの天引きで支払いますが、退職して第1号被保険者になると、国民年金保険料を自身で納付する必要があります。
日本は国民皆年金制度という、国民全員が公的年金に加入する制度を採用しています。よって、退職して収入がなくなったときや、独立してまだ収入が少ないときも、20歳以上60歳未満の人は国民年金保険料を原則として納めなければなりません。
国民年金保険料を支払わず放置するとどうなる?
国民年金保険料を支払わず放置していると、電話や書面による催促を受けます。督促状が届き、指定の期限までに支払いがないと、延滞金が発生します。それでも未納の状態が続くと、最終的には財産の差し押さえまで行われる場合もあります。
世帯主や配偶者がいると、そちらの財産も差し押さえられる可能性があります。親や配偶者と同居中の人は、特に注意が必要です。
また、将来、基礎年金を受け取るためには、国民年金の加入期間が10年以上である必要があります。保険料の未納期間は、この加入期間にカウントされません。未納期間が長くなり、加入期間が10年に満たない場合は、将来受け取る年金が0円になってしまうリスクもあるといえます。
国民年金には免除・猶予制度がある
前年所得によっては、国民年金保険料の免除・納付猶予制度を利用できます。年金の支払いが難しいときは、放置せずに手続きすることをおすすめします。
各所得条件は、図表1のとおりです。前年(申請時期によっては前々年)の所得金額によって、免除・猶予される金額が変わります。
図表1
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2023/08/20203724-03.png)
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度より筆者作成
例として、30代独身1人暮らしの元会社員(東京都在住、扶養家族なし)、前年の年収が240万円だったケースを例に計算してみました。社会保険料控除額は約35万円、前年所得は約77万円となり、上記計算式の「4分の3免除」に該当します。
国民年金保険料の免除を受けるには、以下のいずれかで所得条件を満たす必要があります。
・本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定以下
・やむを得ない理由で失業し、かつ世帯主や配偶者の前年所得が一定以下(特例免除)
注意点は、世帯主(同居中の親など)や配偶者も所得審査の対象になることです。通常の免除では本人・世帯主・配偶者の計3名、特例免除の場合は世帯主と配偶者の計2名が、所得条件を満たす必要があります。一方、納付猶予制度は、国民年金保険料をいつか払えるようになるまで「猶予する」という趣旨のため、以下のような年齢制限もあります。
・20歳以上50歳未満
・本人・配偶者の前年所得が一定以下
申請方法
年金の免除制度・納付猶予制度の申請には、申請書のほか、基礎年金番号が分かる書類(年金手帳のコピーなど)が必要です。失業による免除申請の場合は、失業の事実が確認できる書類も別途用意します。
申請先は、住民票がある市区町村の役所の年金窓口、もしくは年金事務所(全国どこでも可)です。マイナンバーカードを持っていれば、自宅から電子申請も可能です。
収入に余裕が出たら追納も検討を
国民年金保険料の免除や納付猶予は、一時的に年金を払う負担を減らせます。しかし、納付した年金保険料の総額が少ないと、将来受け取れる年金額も減ってしまいます。
将来の年金額を少しでも増やしたい人は、収入が安定してから「追納」することをおすすめします。年金事務所で手続きをすれば、過去10年にさかのぼって追納が可能です。将来に備えるのは、生活を立て直してからでも遅くないので安心してください。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:一条まつこ
FP2級
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