70代で残りの貯蓄は「100万円」です。どうすれば「老後破産」を防げるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月18日 2時10分
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老後生活に入り、今まで準備してきた貯蓄や退職金が残りわずかとなってしまう世帯も少なくありません。日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会の資料によると、自己破産した人のうち、60歳以上の割合は25.72%にのぼります。 実際に自分の資金が枯渇しそうになった場合、どのような対策を取るべきなのでしょうか。本記事では、老後資金が枯渇しやすい人の特徴を見たうえで、もし自分が資金枯渇に陥ってしまった場合の対策を解説します。
老後資金が枯渇しやすい人の特徴
まずは老後資金が枯渇しやすい人の特徴を見ていきます。自分が次に挙げる特徴に当てはまる場合は注意が必要です。
支出が現役時代と変わらない
1つ目は「支出が現役時代と変わらない」です。
老後生活が始まると、大半の人が現役時代よりも収入が低下します。そのため、現役時代と同じ水準のままで生活してしまうと、収支が赤字に陥ってしまい、いずれ資金は枯渇してしまいます。
予期しない出費の可能性を考えていない
2つ目は「予期しない出費の可能性を考えていない」です。次のような予期しない出費が発生してしまうと、資金の枯渇リスクも上昇してしまいます。
●親の介護
●家のリフォームや建て替え
親の介護が必要になる可能性は想定してはいるものの、その費用を親ではなく子が負担しなければならない状況までは考えていないかもしれません。親の介護にかかる負担が想像以上に大きく、親の収入や貯蓄では賄いきれないケースもあるでしょう。その結果、親の介護が重荷になり、老後破産を招いてしまうこともあり得ます。
また、長く住むうちに家に不具合が出て、リフォームや建て替えの必要が生じた場合にも、まとまった出費が発生します。その他にも、不測の事態による突然の出費というものは起こり得るもので、それを考えずにいると、いざというときに資金が枯渇してしまうかもしれません。
健康状態が悪化してしまう
高齢になると健康状態に問題が生じやすくなります。75歳以上になれば、後期高齢者医療制度に変わり、最大1割負担で医療を受けられますが、とは言え、現役時代より医療機関へ通う回数が増えれば医療費の負担は増加してしまうでしょう。
また、夫婦どちらかが介護の必要な状態に陥った場合は、介護費用が発生し、経済的な負担がさらに増加してしまいます。
生活が破綻しそうになった場合の対策
では実際に生活が破綻しそうになった場合にどのような対策を講じればよいのでしょうか。考えられる対策は主に次の3つです。
生活コストの見直し
まずは生活コストの見直しが重要です。収入の範囲内に収まるような生活スタイルを構築できれば、資金の目減りは大幅に抑えられます。特に固定費の削減は、一度見直せばその後はほとんど手を付ける必要もなく、ストレスもあまり感じることなく実行できるでしょう見直しやすい固定費は次のとおりです。
●スマートフォン料金や通信費
●保険料
●サブスク費
●住居費
●水道光熱費
●車関連費
いままで上記のような固定費を見直したことがない人は、大きな節約のチャンスが隠れているかもしれません。うまくいけば数万円のコスト削減も期待できるでしょう。まずは、実践しやすい項目から手を付けてみてはいかがでしょうか。
不足分を補う目的で働く
固定費の見直しをしても不足が発生してしまうのであれば、老後も働いて収入を確保することも選択肢の1つです。しかし、一度現役を退いている人の場合は、新たな労働環境に就くことは容易ではありません。自身の健康状態も十分に考慮する必要があるでしょう。
そうした条件を踏まえた上で、自身のライフスタイルや希望に合った適切な職種や働き方を選択しましょう。
資産の活用
自身に土地や建物などの資産がある場合は、それを有効に活用するのも選択肢の1つです。例えば、土地や建物を賃貸に出すことで家賃収入が手に入ります。不要な土地や建物であれば売却して現金を確保することも可能です。
ただし、賃貸に出す場合は、修繕費用などの管理コストが発生します。また、売却する場合も仲介手数料などの費用が発生します。そのため、資産の活用を検討する場合は、不動産会社や税理士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、適切なアドバイスを得ることが重要です。
貯蓄が底をつく前に対策しておこう
老後資金が枯渇しやすい人の特徴は「支出が現役時代と変わらない」「予期しない出費の可能性を考えていない」「健康状態が悪化してしまう」の3つが挙げられます。その場合の対策として、「生活コストの見直し」や「不足分を補う目的で働く」「資産の活用」などを実施して資金の目減りを抑えましょう。
重要なことは、不測の事態に陥ってから対応するのではなく、早い段階から老後生活に向けて準備を進めていくことです。資産が目減りしないような生活スタイルを構築しておくことや、目減りしても問題ないように現役時代からきちんと資産形成しておくことが大切です。
出典
日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会 2020年破産事件及び個人再生事件記録調査
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種
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