親が亡くなり「口座凍結!」知っておきたい「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月18日 8時20分
![親が亡くなり「口座凍結!」知っておきたい「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」とは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_227360_0-small.jpg)
親が亡くなった際、その預金が遺産として相続人に渡ることは一般的です。しかしながら、遺産分割が終了するまでの間、預金の払い戻しは難しいことが多いようです。その状況を改善すべく、平成30年7月の民法等の改正により、遺産分割前の預貯金の払い戻し制度が設けられました。この記事では、その詳細を詳しく解説していきます。
遺産分割前の預貯金の払い戻し制度の概要
「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」は、口座名義人が亡くなった際、その預金が遺産分割の対象となる場合を想定しています。遺産分割が終了するまでの間、相続人単独での払い戻しは原則として受けられません。しかし、相続人が、遺品整理や葬儀費用、また生活費など、急を要するお金が必要になった場合、この制度を利用することで、相続預金の一部を取り扱うことができるようになりました。
この制度の導入背景には、相続人が遺産分割が終了するまでの間、経済的な困難に直面することを防ぐ意図があります。具体的には、相続預金のうちの一定額について、取り引き金融機関の窓口で払い戻しを受けることができるようになったのです。
ただし、この制度を利用する際には、所定の書類の提出が必要となります。例えば、亡くなった人の戸籍謄本(原本)などです。また、提出された書類の内容確認などに時間が必要となるため、即時の払い戻しは難しい場合があります。
さらに、遺言相続のため、この制度を利用できないケースも考えられるため、詳細は取り引き先の金融機関に問い合わせたほうがよいでしょう。なお、この制度により払い戻された預金は、後日の遺産分割において、払い戻しを受けた相続人が取得するものとして調整されることになります。これは、他の相続人との公平性を保つための措置として合理的とされています。
2つの遺産分割前の預貯金の払い戻し制度とその違い
「遺産分割前の預貯金の払戻し制度」には、大きく分けて2つの方法が存在します。
・家庭裁判所の判断により払い戻しができる制度
これは、家庭裁判所に、遺産の分割の審判や調停が申し立てられている場合に利用できるものです。各相続人は家庭裁判所への申し立てと、その審判を得ることで、相続預金の全部または一部を仮に取得し、金融機関から単独で払い戻しを受けることが可能となります。
ただし、生活費の支弁などの事情により、相続預金の仮払いの必要性が認められ、かつ、他の共同相続人の利益を害しない場合に限られるのが特徴です。
・家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しができる制度
この制度では、各相続人は相続預金のうち、口座ごとに計算される一定の額について、家庭裁判所の判断を経ずに、金融機関から単独で払い戻しを受けることができます。ただし、同一の金融機関からの払い戻し金額は150万円が上限となっています。
これら2つの制度の最大の違いは、家庭裁判所の介入の有無です。1つ目の制度では家庭裁判所の審判が必要となるのに対し、2つ目の制度ではその必要がありません。それぞれの制度には、利用する際に必要となる書類が異なるため、詳細は取り引き先の金融機関に問い合わせることが必要です。
取引金融機関への早めの問い合わせが肝心
遺産分割前の預貯金の払い戻し制度は、相続人が生活費や葬儀費用などで、お金が急に必要になった場合に、相続預金の一部を取り扱うことができる制度です。
この制度には、家庭裁判所の判断を必要とするものと、そうでないものの2つが存在します。それぞれの制度は特徴や利用条件が異なり、所定の書類の提出が必要です。手続き上が必要になったり、時間がかかったりと、想定外のことが起きる可能性もあります。不明な点があれば、万が一のことに備え、早めに取り引き先の金融機関に問い合わせるようにしましょう。
出典
一般社団法人 全国銀行協会 遺産分割前の相続預金の払戻し制度
三井住友銀行 【相続】民法909条の2に基づく遺産分割前の相続預金の払戻し制度とはどんな制度ですか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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