個人賠償責任保険への加入の仕方&注意事項 個人賠償責任保険の必要性 その2
ファイナンシャルフィールド / 2018年8月21日 9時30分
前回は、「日常生活のトラブルから自分を守るために、なぜ個人賠償責任保険が必要なのか」ということ、その機能について説明しました。 今回は、個人賠償責任保険への加入の仕方と、その際の注意事項について説明したいと思います。
個人賠償責任保険の補償額と加入の仕方―補償額はできるだけ大きい物を選ぶ
それでは、個人賠償責任保険の補償額はいくらがよいでしょうか?
前回の「そもそも、個人が賠償責任を問われるケースは?」で挙げた例の一部を引用します。
3.アパートやマンションで水道を閉め忘れ、階下の部屋を水浸しにしてしまった。
4. 買い物中、誤って店の商品を壊してしまった。
5. 自転車を運転して、歩行者にぶつけてけがをさせてしまった。
6. 飼い犬が、近所の子供の手を噛んでけがをさせてしまった。
7. ベランダから物を落として歩行者を死傷させた。
8. 子供がいたずらをして、他人の物を壊した
損害が比較的軽微なものもあれば、深刻なものもあります。自転車事故の被害者がお年寄りの場合、不幸にして亡くなられることもあり得ますし、ベランダから植木鉢を落とした場合でも同様のことが考えられます。
そういう観点からは、補償額は無制限が望ましいといえます。国内での事故は無制限、海外での事故は1億円という補償を設定している保険会社はいくつかあります。
その場合の保険料は年間1500円から2000円程度です。先ほどの費用対効果の観点からいっても非常に安いといえます。
加入の仕方ですが、個人賠償責任保険を単独で販売しているケースはあまりなく、自動車保険や火災保険の特約として販売していることが多いようです。ですから、それらの保険に加入する際、個人賠償責任特約が付いているかを確認する必要があります。
個人賠償責任保険の被保険者はどこまで? できるだけ被保険者の範囲の広い保険を選ぶ
個人賠償責任保険の被保険者とは、その人が保険事故の加害者になった場合、保険でその賠償責任がカバーされる範囲にある人のことです。この範囲は、契約者の「家族」までになります。
すなわち、一家で一つの個人賠償責任保険に入れば、家族全員が守られることになります。
具体的には
1. 契約者本人
2. 配偶者
3. 本人または配偶者の同居の親族
4. 本人または配偶者の別居の未婚の子
となります。
上記に加え、1~4の中に責任無能力者がいる場合、責任無能力者の親権者や法定の監督義務者も被保険者に加える保険会社が増えてきています。
これは、認知症等の責任無能力者が事故を起こし、他人を傷つけたり、他人の財物を損壊させたりした場合、同居の家族のみならず、親権者や監督義務者が賠償責任を追及されることがあるためです。彼らが別居中の親族や他人であっても、その賠償責任を個人賠償責任保険で担保することが可能となっています。
言わずもがなですが、できるだけ被保険者の範囲の広い保険に加入されることをお勧めします。
示談交渉サービス付きの商品を選ぶ
損害賠償の請求を受けるのは憂鬱なものです。相手からは非難のまなざしで見られますし、その中でどこまで妥協するか、もしくは、どこまで自分の立場を主張すべきか、かなり難しいところです。
できれば、示談交渉サービス付きの保険に加入することをお勧めします。そうすれば、面倒な交渉は保険会社が代行してくれますし、不利な妥協をしてしまうリスクも回避できます。
重複保険に気を付ける
自動車保険、火災保険等に付帯されることが多い保険ですから、その性格上、重複して保険をかけていることがあります。
重複してかけても、保険金が二度支払われるわけではありません。すなわち、損害保険は生命保険や医療保険と違い、実費補填が原則です。
例えば、医療保険の入院給付金なら、A社に一日あたり5000円、B社に1万円かけていれば、A社、B社それぞれに保険求償して1日あたり合計1万5000円もらえます。しかし、賠償責任保険は賠償責任額が500万円で2社と契約していたとしても、それぞれに保険求償して合計1000万円をもらうことはできません。
重複保険は基本的に保険料の無駄ですので、気をつけましょう。もし、重複保険になっていたら一つにまとめ、補償限度額を無制限にすることをお勧めします。
海外での活用もー海外での事故もカバーしている保険を選ぶ
個人賠償責任保険には、海外における事故にも適用できるものがあります。
その場合、補償額は1億円ですが、示談交渉サービスはつきません。海外の場合は、言葉の問題や交渉の難しさが気になるところですが、コストの問題で付帯は難しいようです。、うっかり海外旅行保険をかけ忘れた時でも、個人賠償責任保険でカバーされる部分があるので安心です。
まとめ
自転車事故、ペットが人を噛んだ等、日常生活におけるトラブルは増大する傾向にあります。
日常生活での思わぬリスクを担保するためにも、廉価でカバー範囲の広い個人賠償責任保険への加入を検討されてはいかがでしょうか。
Text:浦上 登(うらかみ のぼる)
CFP ファイナンシャルプランナー
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