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マネックスグループCEO松本氏に聞く「フィンテック」 コインチェックのグループ入りについて、そしてこれから金融業界はどうなるのか

ファイナンシャルフィールド / 2018年8月31日 1時14分

マネックスグループCEO松本氏に聞く「フィンテック」 コインチェックのグループ入りについて、そしてこれから金融業界はどうなるのか

金融に関連する新しいテクノロジー、フィンテックを活用した新たな金融サービスが注目されています。   その代表格である「仮想通貨」は、新しいお金の形として瞬く間に広まりました。仮想通貨をはじめとしたフィンテックは、今後、私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか。   今回はマネックスグループの代表執行役社長CEO松本大氏に、仮想通貨をはじめとしたフィンテックが私たちの生活に与える影響や、これからの金融業界についてお伺いしました。  

マネックスグループとは

マネックスグループの中核である「マネックス証券」をはじめとして、世界中でオンライン証券を提供しています。
全米では5番目に大きいオンライン証券「TradeStation Group」、香港では「マネックスBOOM証券グループ」などを持ち、グローバルに展開中です。日本での投資教育にも力を入れていて、年間約200本ものセミナーを開催し、年間約20万人が参加しています。
そして先日、日本の4割の仮想通貨売買を占めていた「コインチェック」がマネックスグループに加入したことで、仮想通貨から株式・債券までをカバーする企業となりました。
 

仮想通貨は人々の生活をどのように変えていくとお考えですか?

仮想通貨は現在、売り買いが激しい通貨のため、トレーディング対象とみられています。ボラティリティ(価格の変動率)が高く、かつ日本では税制上「雑所得」にあたるので、投機目的でないと入りにくいのが現状です。
しかし、ヨーロッパでは、仮想通貨は金融商品として扱われています。仮想通貨にかかる税金が日本と比べて安いため、投機目的でなく資産管理のひとつとなっているのです。
つまり、今までは資産を金やダイヤモンドに変えて持っていた人が、金やダイヤモンドの代わりにビットコインなど仮想通貨で持つ可能性もあるということ。もちろん、日本でも税制が変われば、ありうる話だと考えています。
もっとも、仮想通貨が普及する可能性が高いのは、個人事業主間(特にクロスボーダー)での取引。
例えば、東南アジアから日本の店の商品を買う場合、高い送金手数料がかかります。また、小さなお店でクレジットカードのオンライン決済を導入する際は、決済端末機などを用意するだけでもコストが発生します。しかし、仮想通貨であればアプリをダウンロードするだけで導入できますし、送料の手数料も比較的抑えることが可能です。
いわゆるP2P(peer-to-peerの略)の少額クロスボーダー決済、これが今のサービスに比べると飛躍的によくなるのではないでしょうか。そうなると、海外留学中の子どもへの送金、海外旅行中の家族への送金などが、安価にリアルタイムで行われるようになると考えられます。
実は、この仕組みは技術のみで考えれば実現に半年もかかりません。しかし、レギュレーションや税制規制などを考えると、2年はかかると想定されますね。
 

コインチェックがグループ入りした理由や、加入して感じたことについてお聞かせください

去年の10月からマネックスグループは、仮想通貨に参入すると表明していました。今年1月に起きたコインチェックの事件を受け、以前よりお互いに知っている仲でしたので、話し合い、お互いの会社のニーズが一致したので、グループ入りが実現しました。
実際にコインチェックがグループ入りして感じたことは、発想が違うという点。彼らは仮想通貨取引でかなりのシェアを占めていながら、若いメンバーが多く、高い技術力と独自の世界観があります。
ただ、その一方で、当社が得意としている金融機関的な管理の面には強くなかった。
新しいものを作り出せる彼らと、しっかりとした土台を作り出せるマネックスグループ。互いに補い合うことで良いフュージョンを生み出せるのではないかと思っています。
また、マネックスグループは、人材を年齢や社歴で判断しないこともコインチェックと上手くやっていける理由であり、先方がグループ入りを決めてくれた理由のひとつなのではないかとも思います。
今までは年齢を重ね、ある程度の経験値を積まなければ仕事を動かすことができませんでした。それは個人だけではなく、企業も同じで、長く続くことで力を持つことが多々ありました。
しかし、今や個人も企業もそのような蓄積がなくともトップを目指せる世界に変わってきています。テクノロジーの分野、特に仮想通貨が関わるブロックチェーンの仕組みにおいては、今までの技術知識の蓄積が必要ないのです。
本当に、最近は20代でも10代でもすごい人はたくさんいますよ。
 

世界的に、金融業界は5年、10年でどのように変化していくと思われますか?

かつて、供給側の論理に立ってモノやサービスを提供するのが今までの流れでした。
しかし、最近ではそれだけではモノは売れなくなってきていて、製造業に関してはお客様側からの細かなニーズを出発点にモノを作る流れになってきています。
それにも関わらず、金融業界に限ってはいまだに「金利はこれ」「商品はこれだけ」などという高飛車なことを言っています。
しかし、主役を供給者から利用者側に移すことを促進していくのがフィンテックです。フィンテックでは、需要者側の声がサービスを作っていきます。
今までは投資信託を買うときに、例えば「私はこういうことをしている会社の株は買いたくない」という要望に応えきれていませんでした。
しかし、これからは、投資信託においても、〇〇対応していない会社は除外してほしいなど、自分で自分のお金の行き先を決められる、文明的な、文化的な時代に突入すると考えられます。
 

人生100年時代にむけて、投資による老後の金融資産づくりが注目されていますが、ご意見をいただけますでしょうか。

こう言うと問題があるかもしれませんが、正直、金融資産だけですべてを乗りこえることができるほど簡単ではないとは思います。金融は、ゼロサムゲームですので、全ての人が儲けるのは難しいのです。
ただ、金融は情報のるつぼです。投資を通して、世界で何が起きているか、どのような技術が進み、どの分野が伸びているか、落ちていくかなどを知ることができます。
その結果、自身の勤め先や子どもの進路を決める手助けとすることができますし、投資で得た知見を通して暮らしをより良くしていくことが可能です。
金融は世界をのぞく窓です。机上で世界中の政治、技術、天候など、多くのことを知ることができます。それがわかるようになると、投資も人生も上手くいくのではないでしょうか。
Text・interviewer:FINANCIAL FIELD編集部

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