PBRやPERってどのような指数なの? 使い分けはどうしたらいい?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月23日 4時40分
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2022年度の上場企業の個人株主は、7000万人に迫る数となっています。多くの方は株式投資をする際に、さまざまな指標を基に投資をすると思います。 そのなかでよく使われる指標として、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)というものがあります。それぞれの指数の意味や使い方等を、来年から始まる新NISAで株式を購入する際の参考にする意味で見ていきましょう。
PBRとは? 計算方法は?
PBRは株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)の略です。
まず純資産とは、もし今会社が解散した場合、株主に分配することができる資産額です。PBRは、現在の1株あたりの株価と1株あたりの純資産を比較する指標です。よって、PBRが小さいほど株価が割安、つまり、投資の世界でいう「値ごろ感がある(株を売買するのにちょうどよい価格)」ということになります。
PBRの計算方法は、株価を1株あたりの純資産で除します。その際の、単位は「倍」を使用します。
PBR(倍)=株価÷1株あたりの純資産
例えば、株価が1000円、1株あたりの純資産も1000円とした場合、上記の式に当てはめると、1000÷1000=1倍となります。
もし、純資産が変わらないで株価が1200円になった場合と800円になった場合を考えると、
1200円の場合:1200÷1000=1.2倍
800円の場合:800÷1000=0.8倍
となります。
1000円の価値があるものを800円で購入できればそれはお得ですね。よって、上記のとおりPBRが低い=値ごろ感があるということになります。
ただし、PBRが低い状態がすべて割安ということにはなりません。そうではなく、低い状態が続くということは、市場や投資家からはその程度の価値しかその会社にはないと判断されている場合や、現金や有価証券等の持ちすぎで資産を有効活用がされていなく、純資産が大きすぎるといったマイナスの側面も出てきます。
このような場合、(投資家には直接関係ない場合が多いですが)企業買収される可能性も出てきます。
PERとは? 計算方法は?
PERは株価収益率(Price Earnings Ratio)の略です。収益、つまり利益を株価と比較する指数です。よってPERが低いほど株価が割安、つまり値ごろ感がある株ということがいえます。
PERの計算方法は、株価を1株あたりの利益で除します。その際の、「利益」は損益計算書でいう、「税引前当期純利益」となります。また、単位はPBR同様「倍」を使用します。
PER(倍)=株価÷1株あたりの利益
例えば、株価が1000円、1株あたりの利益を100円とした場合、上記の式に当てはめると、1000÷100=10倍となります。
もし、利益が変わらないで株価が1200円になった場合と800円になった場合を考えると、
1200円の場合:1200÷100=12倍
800円の場合:800÷100=8倍
となります。
これも考え方はPBRと同じです。当たり前かもしれませんが、利益が上がれば当然株価も上がっていくことが多いです。よってPERは利益の予想と実績を使い分ける場合もあります。
PBRとPER、この2つはどのように使い分けるの?
PBRとPERは、どちらも投資指標であり株価指標には変わりません。ただ、PBRは株価と資産に関して着目し、PERは収益に関して着目しているという違いがあります。
一般論ですが、景気が良い局面では収益に着目したPERが重視され、不景気の局面では赤字の場合にPERが計算できないので、PBRが重視される傾向にあります。また、企業によっては資産売却等で一時的に過大な利益が出た場合に、PERを使用するのが妥当でないケースが出てきたりします。
PBRとPERのそれぞれの倍率は、これは絶対的なものではなく、業種によって平均値が異なります。
2023年6月の東証プライム市場に上場している企業の場合、高PBRの業種は情報・通信業、サービス業、低PBRの業種は銀行業、石油・石炭製品などが挙げられます。また、高PERの業種は電気・ガス業、パルプ・紙、低PERの業種は海運業・鉱業となっています。
PBR・PER以外にもさまざまな指標がある
PBRとPERの指標が絶対的なものではありません。しかし、これらを無視しての投資もおすすめしません。
今回はPBRとPERについて見てきましたが、企業の経営の指標を示す数字を図る指数はこの2つ以外にもたくさんあります。すべてを分析するのは時間的にも技術的にも難しいかもしれませんが、さまざまな経営指標等の情報を集めて株を購入することがリスクヘッジの第一歩かと思われます。
出典
日本取引所グループ 2022年度株式分布状況調査の調査結果について
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表
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