学生で「年金保険料」を払えない! 支払いの猶予は可能? 親が払うと「贈与」扱いになるの?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月23日 10時40分
20歳を越えた人は国民年金保険料を納める義務があります。しかし親の仕送りに頼ることが多い学生にとって年間約20万円の負担は大きいでしょう。学生には「学生納付特例制度」を使うと学生の間は年金保険料の納付が猶予されます。 また、本人に代わって親が支払う場合もあると思いますが、その場合は贈与扱いになるのでしょうか? 今回の記事では学生で年金保険料が払えない場合に使える制度と注意点を紹介します。
20歳になったら年金はいくら払う必要がある?
20歳以上60歳未満の人は原則、国民年金に加入する義務があります。収入の有無に関わらず、大学生や専門学校生も加入しなければなりません。国民年金保険料は年によって変わり、令和5年度は月1万6520円、年間では約19万8000円となります。
1. 学生納付特例制度を利用する場合
仕送りや奨学金で生活している学生にとって、義務とはいえ年間約20万円を支払うのは厳しいこともあるでしょう。そのため、学生の間は申請すれば保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。この制度を使うことができる条件は以下の通りです。
・前年の所得が128万円以下であること(本人のみの所得。家族の所得は無関係)
・学生であること
上記の条件に当てはまる場合、申請すれば学生期間中の保険料の支払いが猶予されます。
「追納」すれば将来受け取る年金の額も変わらない
学生納付特例制度は国民年金保険料の支払いが「猶予」される制度であり、その期間中の保険料を支払ったと見なされるわけではありません。
そのため、将来受け取れる年金額が少なくなってしまいます。保険料を「追納」すれば将来受け取れる年金の額を満額にすることができるため、就職後など経済的に余裕が出た際には追納をおすすめします。ただし、追納できる期間は、学生納付特例の承認を受けた期間を含む10年間です。
2. 親が代わりに払う場合
また、本人の代わりに親など親族が保険料を払うこともできます。日本年金機構から送られる納付書(国民年金保険料納付案内書)で支払う場合は、子どもの納付書を持って親がコンビニや金融機関で支払います。クレジットカードや口座振替で支払う場合は年金機構での手続きが必要となります。
贈与扱いになる?
親から子に金銭の受け渡しをする際、気になるのが贈与税です。年間110万円の基礎控除額を越えると贈与税が発生しますが、親が子どもの年金保険料を肩代わりした場合はどうなるのでしょうか?
一般的に、親が子どもの年金を払う行為は贈与とはみなされません。扶養義務者から行われる贈与の中で「通常必要と認められる生活費・教育費」に充てるために行われる贈与は贈与税の対象にならないためです。
節税できる?
国民年金保険料は社会保険料控除の対象になります。つまり親は自分が支払った子どもの年金保険料を社会保険料控除として所得から差し引くことができます。年末調整や確定申告の際に日本年金機構から送られてくる「国民年金保険料控除証明」を提出しましょう。
ただし、社会保険料控除を受けられるのはクレジットカードや口座振替で支払った場合のみです。また、控除を受けられるのはクレジットカードや口座の名義人だけですので注意してください。
学生の間も手続きを忘れずに!
「学生だから」と年金保険料を払わず、学生納付特例制度も申請しなかった場合は年金に未加入の状況となります。未加入の場合は将来受け取れる年金が減るだけでなく、もし事故や病気で障害を負った場合に障害基礎年金が受給できない可能性もあります。
学生納付特例制度を利用するか、保護者と相談して代わりに保険料を納付してもらい、年金に加入していない時期がないようにしましょう。すでに社会人で学生の頃の年金保険料がどのような扱いになっているか不明な場合は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。
また、年金に関する問い合わせは年金事務所が対応しています。後から「知らなくて損した!」とならないよう、まずは納付状況を確認し、追納などを検討してください。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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