父が71歳で死亡しました。年金は「60歳」から受け取っていたのですが、元は取れたのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月24日 2時10分
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現役時代に毎月納める年金保険料は、できることであれば生きているうちに元を取りたいものですよね。一体何歳くらいで元は取れるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。今回は、国民年金と厚生年金で元が取れる年齢と、「60歳から年金を受給して71歳で亡くなった」場合を例に、元は取れたのかどうか解説します。
国民年金の場合
国民年金の保険料は、20歳以上60歳未満の方は皆が納めなくてはなりません。保険料額は年によって異なります。仮に令和5年度の保険料を1万6520円で計算すると、40年間すべて納めた場合、総額は792万9600円になります。40年間滞りなくすべて納めた場合、老齢基礎年金は満額支給されます。
令和5年度の満額は79万5000円、月あたり6万6250円です。先に計算した792万9600円を6万6250円で割ると120ヶ月目、ちょうど10年目に元が取れることになります。
厚生年金の場合
保険料が一律で決まっている国民年金とは異なり、厚生年金の保険料は現役時代の収入で決まります。仮に22歳から60際まで働いて、現役時代の平均月収が35万円だったとしましょう。その場合、等級は22なので、毎月3万2940円の保険料を456ヶ月納めたことになります。その総額は、1502万640円です。
老後に受給できる老齢厚生年金の額は、報酬比例部分に経過的加算と加給年金額を足した額です。経過的加算と加給年金額は人それぞれなので、今回は報酬比例部分のみで計算します。報酬比例部分の額は、平成15年3月以前に加入していた方は「平均標準報酬月額×7.125÷1000×加入月数」です。
等級22、加入月数が456ヶ月の場合「36万円×7.125÷1000×456ヶ月」なので116万9640円、月あたり9万7470円です。この金額に老齢基礎年金の満額である6万6250円を足すと16万3720円になります。先ほどの1502万640円を16万3720円で割ると92ヶ月、つまり7年と8ヶ月目で元が取れる計算になります。
平成15年4月以降に加入していた人の場合、計算式は「平均標準報酬月額×5.481÷1000×加入月数」です。同じように等級22、加入月数456ヶ月を当てはめると、「36万円×5.481÷1000×456ヶ月」で89万9760円、月あたり7万4980円が報酬比例部分の額です。同じく老齢基礎年金の満額6万6250円を足すと14万1230円になります。この場合、107ヶ月目、8年と11ヶ月目で元が取れます。
令和5年に71歳で亡くなった人は元が取れた?
それでは、令和5年に71歳で亡くなった人は、元が取れたのでしょうか。令和5年に71歳だったということは、昭和27年生まれです。男性の場合、昭和27年生まれの人は60歳から老齢厚生年金の報酬比例部分を受給し、65歳からそれに加えて老齢基礎年金を受給しています。ということは、報酬比例部分を11年、老齢基礎年金を6年受給した、ということです。
また、この場合、60歳のときは平成27年ですから、22歳から60歳まで厚生年金に加入していたとすると、22歳からの28年間の計算式は「平均標準報酬月額×7.125÷1000×336ヶ月」、50歳からの10年間の計算式は「平均標準報酬月額×5481÷1000×120ヶ月」になります。
平均標準報酬月額が35万円だった場合、50歳までの報酬比例部分が「36万円×7.125÷1000×336ヶ月」で86万1840円、50歳以降の報酬比例部分が「36万円×5.481÷1000×120ヶ月」で23万6779円、合わせて109万8619円、月あたり9万1551円です。
ということは、最終的に受給した額は「109万8619円×11年+79万5000円×6年」で1685万4809円になります。納めた保険料の総額は1502万640円なので、元は取れた、ということになります。
年金は10年程度で元が取れる!
計算した結果、国民年金、厚生年金ともにおよそ10年で元が取れることが分かりました。65歳から受給する場合には、75歳前後が元が取れるかどうかの境目になる、といえるでしょう。ただ、年金は老後の収入の支えになるだけでなく、障害年金や遺族年金といった万が一のときの保障も含まれています。元が取れたかどうかは、これらのことも加味したうえで考えるべきでしょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
日本年金機構 ■昭和16年(女性は昭和21年)4月2日以後に生まれた方は、60歳から65歳になるまでの間、生年月日に応じて、支給開始年齢が引き上げられます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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