今や高齢者の「4人に1人」が働く時代に!? でも働くと年金を「減らされる」場合もあるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月24日 2時20分
定年退職後は、年金だけで生活できるとは限りません。生活のために老後も何らかの仕事を持つ人は増えています。しかし、収入によっては年金受給額が減額される場合もあるので注意が必要です。今回は、働く高齢者はどれくらいいるのか、高齢世帯の平均支出や働く際に押さえておきたい年金との収入バランスなどを解説します。
働く高齢者は4人に1人?
総務省統計局がまとめている「統計からみた我が国の高齢者」によれば、65歳以上の高齢者は2022年時点で3627万人です。総人口に対して29.1%と割合が高く、日本の高齢化が進んでいることがうかがえます。そのうち、75歳以上の高齢者は1937万人です。高齢者の就業率も18年連続で伸びており、2021年では909万人に達しています。高齢者として考えた場合、4人に1人は働いていることになります。
高齢者の就業率が伸びた原因としてあげられるのが、2012年に団塊世代が65歳を超えたことです。2017年以降は、団塊世代が70歳に入ったために70歳以上の就業率が増加しています。実際に70歳以上の就業率は5年連続で伸びており、2021年時点では18.1%に達しています。
高齢世帯の平均支出と年金の平均受給額
高齢になってからも働く理由は人それぞれに違います。しかし、理由としてもっとも多く考えられるのは、生活費の確保でしょう。総務省統計局のデータで65歳以上の無職世帯を見た場合、平均的な支出は夫婦世帯で月22万4000円ほど、単身世帯で月13万2000円ほどです。
ただし、これは生活全般にかかる消費支出の分で、この他に非消費支出も考えなければなりません。非消費支出とは税金などのことで、夫婦世帯で月3万円ほど、単身世帯では月1万2000円ほどかかります。
ところで、高齢世帯は実際にどれくらいの年金額を受給できているのでしょうか。厚生労働省年金局数理課が平成29年(2017年)に実施した年金受給調査によると、65歳以上の半数弱は年金受給額が月10万円に達していません。平均額で見ると、65歳以上は月12万3000円、65~74歳は月11万9000円、75~79歳は月12万5000円、80~84歳は月13万2000円、85~89歳は月13万円、90歳以上は月11万8000円です。
こうして見ると、年金だけではギリギリの生活であることがうかがえます。実際には現役時代の職業などによって受給額に違いは出ますが、年金だけでは暮らせない人は多いといえるでしょう。また、消費支出の中で差が出やすいのが住居費です。持ち家であれば年間にかかるのは固定資産税程度ですが、賃貸の場合はさらに費用がかかります。
働くと年金が減額される?
働く高齢者は増えていますが、収入によっては年金額の減額もしくは支給停止になることもあるので注意が必要です。働きながら受け取れる年金を在職老齢年金制度といいます。働いたからといって、無条件で年金を減額されたり停止されたりするわけではありません。老齢厚生年金と給与を合算した額が月48万円を超えた場合に金額が調整されるだけです。
1ヶ月あたりの収入は、給料と年金受給額のそれぞれ月平均を出してから合計します。例えば、給料の月平均が30万円で年金受給額の月平均が10万円なら1ヶ月の収入は40万円です。この場合は48万円を超えていないので減額も支給停止もされません。
もしも48万円を超えた場合は、超えた分が減額になります。ただし、実際に減額や停止の対象になるのは老齢厚生年金で、老齢基礎年金は給料等に関係なく支給されます。
年金を受け取りながら働くときは減額や停止に注意を
データを見てもわかるように、年金受給が開始されても働く高齢者は増えているのが現状です。年金受給額だけでは生活できない人も多く、今後も何らかの仕事をする高齢者は増えることがうかがえます。生活スタイルによっても出費は変わってきますが、余裕を持って暮らすなら年金以外の収入は必要です。働きながら年金を受け取るなら、減額や停止の対象にならないよう注意しましょう。
出典
総務省統計局 統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)
厚生労働省年金局数理課 公的年金受給者に関する分析ー配偶者の状況と現役時代の経歴(就労状況)からみた年金受給状況ー
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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