65歳スタートの年金を60歳から受け取ったら長生きしても元は取れない?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月25日 1時40分
![65歳スタートの年金を60歳から受け取ったら長生きしても元は取れない?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_228776_0-small.jpg)
老齢基礎年金や老齢厚生年金は、原則として65歳から受給が始まります。しかし、60歳から繰上げ受給も可能です。繰上げ受給を選択すると、65歳から年金を受給するより最大で24%減額されます。本記事では、年金を繰上げ受給した場合の損益分岐点、繰上げ受給する際の注意点を紹介します。
年金の繰上げ受給とは何か
年金の繰上げ受給とは、原則として65歳から受給できる老齢基礎年金や老齢厚生年金を最大で60歳0ヶ月まで繰上げて受給できる仕組みです。早くから年金を受給できるメリットがある一方で、年金から「繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数×0.4%」が減額されます。減額率は最大で24%ですが、昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は0.5%(最大30%)です。
日本年金機構のホームページでは、年金の減額率について詳しい表を掲載しています。年金の繰上げ受給を考えている方は、ねんきん定期便に記載されている年金額をもとに、どれだけ減額されるか計算してみてください。
なお、年金の繰上げ受給は一度申請すると取り消せず、年金の減額率は生涯そのままです。
繰上げ受給した場合の損益分岐点
昭和37年4月2日以降に生まれた方が60歳0ヶ月で繰上げ受給を始めると減額率は24.0%です。つまり、65歳から受給し始めた方を100%とすると、76%しかもらえないことになります。では、繰上げ受給した場合の損益分岐点は何歳なのでしょうか。
令和5年度の老齢年金の受給金額は、月額で約6万6250円です。年間で79万5000円ですが、60歳0ヶ月で繰上げ受給を選択すると79万5000円×76%=60万4200円となります。65歳0ヶ月で受給したときと比べて、年額で19万800円の差が出ます。60歳から繰上げ受給を開始すると、65歳までの5年間で、60万4200円×5=302万1000円となりますが、その後は1年に付き19万800円の差が出ると考えましょう。
そうなると損益分岐点は、302万1000円÷19万800円=15.8年、つまり15.8年後の約80歳10ヶ月となります。つまり、80歳10ヶ月まで年金を受給すると総受給額は65歳から年金を受給したほうが多くなります
令和3年の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳なので、80歳を超えても元気な方も珍しくないでしょう。繰上げ受給を決める場合、健康状態なども考慮しておきましょう。
繰上げ受給を決断する前に考えること
繰上げ受給をすれば、年金を最大で5年間早くもらえます。その一方で、81歳以降はもらえる年金の総額が繰上げ受給をしなかった方に比べて少なくなるなどの他にもデメリットがあります。
本項では、年金の繰上げ受給を決断する前にチェックするポイントを紹介します。メリット・デメリットをしっかり比較したうえで選びましょう。
繰上げ受給のデメリットをしっかりと把握する
老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰上げ受給すると、減額以外に以下のようなデメリットがあります。
●国民年金保険料の任意加入や追納ができなくなる
●65歳になるまで遺族厚生年金や遺族共済年金などが受給できない(65歳以降は特例的に老齢年金と遺族年金の並給ができる場合がある)
●寡婦年金が受給できない
●新たな障害年金の請求ができない
※1人1年金の原則
また、繰上げ受給は原則として、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時にしなければならないため注意しましょう。
特に、老齢年金以外の年金を受給している場合は、繰上げ年金を受給すると収入が減ってしまう可能性もあるでしょう。受給できる金額を正確に計算したうえで選択してください。
iDeCoや個人年金に加入している場合はそこから生活費の捻出を考える
年金は公的年金の他に、iDeCoや個人年金などの私的年金もあります。年金を繰下げ受給すると最大で84%増額されるので、受給できる年金が倍近く違ってくるケースもあります。
もし、iDeCoや個人年金に加入している場合は、60歳から可能であれば受給を行い、そこから生活費などを捻出できるか検討してみましょう。iDeCoの場合は原則として60歳以降に受給でき、「一時金」と「年金」で受け取り方を選べます(併用も可能)。
繰上げ受給はよく考えてから行おう
年金の繰上げ受給は年金が早くもらえる反面、最大24%まで受給額が減額されます。人生がいつまで続くかは誰にも分かりません。
年金の繰上げ受給は最終手段と考えて、個人年金などからの捻出や、定年後も働くなど他の手段も探ってみるとよいでしょう。自分の生活費や身体の状況を踏まえて、最適の年金受給方法を選びましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
年金はいつからもらったらいい? 65歳からもらったほうがいい?
オールアバウト / 2024年7月18日 20時30分
-
老齢厚生年金を繰上げ受給するデメリットはある?
オールアバウト / 2024年7月18日 8時10分
-
1962年3月生まれ現在62歳です。いまも働きながら厚生年金を払っています。繰り上げ受給するといくらぐらいになるのでしょうか?
オールアバウト / 2024年7月11日 8時10分
-
父が年金を「60歳」から受け取るそうです。「持ち家で貯金が2000万円ある」とのことですが、大丈夫でしょうか?「年金が少なくなる」と聞いたので心配です…
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月10日 3時0分
-
【年金繰上げ受給体験談】60歳から年金を繰上げ受給「一生24%減額となりますが、迷いはなかった」
オールアバウト / 2024年7月3日 18時30分
ランキング
-
1「土用の丑の日」物価高でも…あの手この手の“うなぎ商戦” 大手スーパーの目玉は「超特大」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 19時59分
-
2小林製薬、会長と社長が辞任へ…「紅麹」サプリ問題の対応遅れで経営責任明確化
読売新聞 / 2024年7月22日 21時37分
-
3島村恒俊さん死去=しまむら創業者
時事通信 / 2024年7月22日 19時30分
-
4「最高益の会社」の株価が上がらない当然の理由 相場に影響を与えるのは過去のデータではない
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 16時0分
-
5世界最大級・ファンボロー国際航空ショー開幕…三菱重工など日本企業14社も出展
読売新聞 / 2024年7月22日 21時54分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)