老後は「70歳」まで働くべきでしょうか? 貯蓄は「1200万円」ほどで、健康です
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月25日 10時0分
老後を迎えるにあたって、多くの人が気になるのがお金に関することでしょう。特に、貯蓄や年金、支出は生活をするうえで無視できません。一般的に定年退職は60歳ですが、老後にかかるお金のことも考慮して、70歳程度まで働こうか迷っている人も少なくないようです。 今回は貯蓄が1200万円ほどある人でも70歳程度まで働き続ける必要があるのかについて、年金や支出などのデータをもとにみていきます。
60歳以降の貯蓄額と支出額の平均は?
定年後も働くかどうかを考える際には、参考として、一般的な世帯の貯蓄額と支出額を押さえておくとよいでしょう。ここでは、60歳以降の貯蓄額と支出額を紹介します。
・60歳以上の世帯の貯蓄額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、60代世帯の平均貯蓄額は1388万円となっています。70代は1433万円でした。
しかし、これはあくまでも平均額です。資産形成に成功した層が平均を引き上げているため、より実態に近いとされる中央値も確認しておきましょう。60代の貯蓄額の中央値は300万円で、70代では485万円となっています。
すでに貯蓄が1200万円ほどあるのであれば、平均よりは低いものの、中央値と比較すると2.5〜4倍程度あることになります。資産形成には比較的成功しているといえるでしょう。
・60歳以上の単身世帯の支出額
つづいて、60歳以上の支出額をみてみましょう。総務省統計局の「家計調査(2023年4~6月期)」によると、60歳以上の単身世帯の1ヶ月あたりの平均消費支出額は14万52円となっています。65歳以上に限定すると、13万6191円という結果でした。毎月15万円近くを消費へと回しているといえるでしょう。
家計調査の消費支出額を確認する際には、注意点があります。「住居費用」が含まれている点です。この住居費用のデータをみると、60歳以上の単身世帯では1ヶ月あたり1万108円、65歳以上に限定すると9712円となっています。持ち家の世帯を含んで平均を出しているため、このような金額となっている点には注意しなければいけません。
もし賃貸住宅に住み続けている、あるいは老後は賃貸住宅で暮らそうと検討している場合には、毎月の消費支出額は20万円前後となる人も少なくないでしょう。
60代後半の平均年金受給額は?
健康であったり資産状況に特段不安がなかったりする場合には、年金の受給年齢を繰り下げることも可能です。今回は、65歳から年金を受け取った場合、平均でどの程度受け取れるのかをみていきましょう。
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」によると、65〜69歳までの厚生年金の平均月額は14万3613円となっています。同年齢階級の国民年金の平均月額は5万7739円です。
年齢や年度、年金保険料の支払い状況などにより年金受給額は変わりますが、会社員など厚生年金保険に加入していた人は14万円、自営業などで国民年金のみに加入していた人は6万円ほどを目安と考えてみましょう。
健康であれば働く選択肢もあり
65歳以降で持ち家などで住居費があまりかからない場合、平均年金額程度を受け取れればなんとか生活はできるでしょう。ただし、賃貸住宅などで暮らす場合、年金と1200万円程度の貯蓄では金銭的に困窮してしまう可能性もあります。
健康上何も問題はなく働く意欲もあるのなら、70歳まで働くというのも選択肢の一つです。定年後、短時間であっても働き続けることで、お金の面で余裕が生まれたり、肉体的にも精神的にも元気であり続けられたりとプラスの効果が期待できます。
定年後も働き続けることで経済的・肉体的・精神的にもよい状態を保てる
平均的な老齢厚生年金額を受給している人は、生活にはさほど困らない程度の年金は受け取れるでしょう。賃貸住宅に住んでいる場合には持ち家の人と比べて毎月の支出が多くなりますが、それでも貯蓄がすでに1000万円以上あるのであれば、老後の不安は抑えられます。
しかし、貯蓄は多いに越したことはありません。定年後も健康で意欲もある限り働き続けることにより、経済的にも肉体的・精神的にもよい状態を保てるでしょう。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)
総務省統計局 家計調査(2023年4~6月期)
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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