50代で貯蓄は「600万」です。私は老後破産するしかないでしょうか? どうにか対策を教えていただきたいです
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月25日 10時20分
年齢を重ねるごとに、老後に対する不安が大きくなる人は少なくないでしょう。特に、思うように資産形成ができなかった場合は、その不安は膨らみがちです。しばしば、老後破産するのではないかと心配する声も聞かれます。 今回は、50代で貯蓄が600万円の人の場合、高齢者の平均収支データをもとに、老後破産する可能性が高いかどうかについて考えます。また、老後破産を防ぐためのポイントも紹介していきましょう。
高齢者世帯の平均収支は?
まず押さえておきたいのが、高齢者世帯の現状です。ここでは、平均の収入と収支についてまとめます。
・60歳以上の平均収入
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、60~64歳の平均給与額は423万円となっています。原則として年金が受け取れる年齢となる65~69歳の平均給与額は338万円です。70歳以上は300万円となっており、年齢を重ねるごとに給与所得が減っていることがわかります。
続いて、年金受給額もみてみましょう。厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険の老齢年金の平均月額は約14万5000円となっています。国民年金の平均月額は約5万6000円です。条件等により異なるので、大まかな数字として捉えておきましょう。
・60歳以上の平均支出
総務省統計局による「2023年4~6月期 家計調査」によると、60歳以上の平均支出は約14万円です。うち65歳以上では、約13万6000円という結果でした。いずれも単身世帯の1ヶ月あたりの平均支出額です。
注意点としては、「住居費」が1万円前後となっている点です。持ち家で毎月の家賃がかからない世帯も含まれているので、賃貸物件に住んでいる、あるいは住む予定があるのであれば、さらに支出は増えるでしょう。仮に、家賃が7~8万円の場合、毎月の支出額は20万円程度になると想定できます。
年金と600万円の貯蓄のみでは楽な生活は難しい
年金保険料も納めており厚生年金と国民年金をともに受給できる場合、高齢者となってからの収支はプラスマイナスゼロか、それに近い形となりそうです。貯蓄も600万円あるのであれば、仕事を辞めた途端に破産するといったことはないでしょう。
しかし、楽な生活は望めない可能性が高いでしょう。場合によっては、現在の生活水準を下げざるを得ない人も出てきます。
老後破産を防ぐためのポイントを紹介
50代で貯蓄600万円の状況で老後破産を心配している場合、現在の収支もあまりよくないと考えられます。あるいは、年金受給額に不安がある可能性もあるでしょう。ここでは、老後破産を防ぐためのポイントをいくつか紹介します。
・可能な限り仕事を続ける
国税庁の統計をみてもわかるように、高齢者となってからも給与を受け取り続けている人はいます。健康で意欲もあれば、年金受給年齢である65歳を超えても働き続けるという選択は、生活を守るためにも重要でしょう。
・年金の繰下げ受給を利用する
年金の繰下げ受給も検討してみましょう。年金を受け取るタイミングを遅らせると、繰下げ期間に応じて年金額が増額されます。支出額が変わらなければ、増えた年金額の分、多少は生活が楽になるでしょう。
・節約を徹底し生活費を抑える
支出を抑えることで、収支をプラスにできる可能性が高まります。家賃の安い物件を探したり、自炊を心がけたり、遊興費を抑えたりすると支出を減らせるでしょう。節約による生活費の抑制は50代からでも始められ、さらなる貯蓄増にもつながります。老後破産を防ぐために、できることから始めてみましょう。
老後破産を防ぐために今から将来を想定して動き始めよう
50代で貯蓄が600万円あり、かつ平均的な生活水準で、年金も満額受け取れるのであれば、すぐさま老後破産することはないでしょう。しかし、生活水準を上げるなどすると、途端に老後破産の可能性が出てきます。
老後破産を防ぐためには、可能な限り働き続ける必要がありそうです。それに伴って、年金の繰下げ受給制度を利用するのも一案でしょう。今から節約を徹底するなどし、さらに貯蓄額を増やす努力も求められます。
出典
総務省統計局 家計調査 2023年4~6月期
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査
厚生労働省年金局 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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