死亡した家族の「未支給年金」を受け取ることはできる? 必要な手続き・遺族が受け取れるお金について解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月27日 2時30分
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人が亡くなったとき、遺族は多くの手続きを行う必要があります。故人の大切な財産や保険、年金などの手続きを適切に行うことは、遺族の生活のために非常に重要です。 今回は、相続以外で必要となる主な手続きを「役所」と「年金」に絞って説明します。
役所などでの手続きについて
役所(市区町村役場)への手続きは亡くなった場所で行いますが、「死亡届」と「火葬許可申請書」は届出人の住所地での手続きも認められています。
なお、亡くなった場所が本籍地ではない場合、死亡届は提出した役所から本籍地に送付されるため、原則として2通の提出が必要になります。
以下、主な手続きごとに説明します。
【死亡届】
死亡の事実を知った日から7日以内に、医師が記載した「死亡診断書」と一緒に届け出を行います。
死亡届と死亡診断書は生命保険などの請求時に添付書類として必要な場合がありますが、役所に提出した元本は返却されませんので、届け出の前にコピーしておくといいでしょう。
【火葬許可申請書】
「火葬許可証」が交付されるために必要な申請書で、死亡届と同時に提出します。
【住民票の抹消届】
基本的に死亡届の提出により自動処理されます。ただし、役所によっては別途手続きを要するケースがあり、その場合は死亡日から14日以内に手続きを行います。
【世帯主変更届】
住民票に登録されている世帯主の方が亡くなった場合、原則、世帯主の変更手続きが必要となります。ただし、世帯主変更届が必要となるのは3人以上の世帯で、例えば夫婦2人だけのように亡くなった世帯主以外の世帯員が1人の場合は手続きは不要です。
【健康保険などの資格喪失手続きと保険証の返却】
亡くなった方の健康保険証などは返却する必要があります。
・国民健康保険、後期高齢者医療保険
亡くなった方が国民健康保険または後期高齢者医療保険に加入していた場合、死亡日から14日以内に役所で資格喪失の手続きを行い、保険証を返却します。また、被保険者が死亡した際、葬儀を行った方(喪主)に葬祭費が支給される制度があります。
・健康保険
会社員など健康保険に加入されていた方が亡くなった場合は、被保険者の資格喪失に関する手続きは原則、勤務先が行います。勤務先は死亡日から5日以内に健康保険組合に資格喪失届を提出する必要があるため、速やかに保険証を返却しましょう。
亡くなった方に被扶養者がいる場合は同時に資格を喪失し、他の医療保険制度へ加入することになります。
また、加入している健康保険から埋葬料が支給される制度があり、申請者の印鑑や死亡届のコピー、埋葬料の領収書などの提出が申請時に必要です。埋葬料の申請先は亡くなった方の勤務先が所属している健康保険組合、または社会保険事務所で、申請期限は死亡から2年以内です。
・介護保険証、障害者手帳
介護保険証は死亡日から14日以内に資格喪失手続きを行って返却、また各種の障害者手帳も速やかに役所へ返却します。
なお、障害福祉サービスとして受けているタクシーなど公共交通機関の利用券の未使用分がある場合、そちらも併せて返却が必要です。
年金の手続きについて
老齢年金を受け取っている方が亡くなったときは、受給権者死亡届(報告書)を年金事務所または街角の年金相談センターに提出し、年金の支給を停止します。ただし、平成30年3月5日以降、日本年金機構にマイナンバーを登録している方は受給権者死亡届の提出は原則不要です。
受給権者死亡届は厚生年金で死亡日から10日、国民年金で14日が提出期限となっていますが、死亡日や手続きなどのタイミングによっては口座に年金が支給されてしまうケースもあるので速やかに提出してください。
また、未支給年金の請求の手続きも同時に行います。未支給年金とは、年金受給権者が本来受給すべき年金を受け取っていなかった場合、死亡時に生計を同じくしていた一定範囲の遺族に支給されるものです。
老齢年金は偶数月の15日に前2ヶ月分が支給されますが、支給対象の月に1日でも存命していれば1ヶ月分を受け取れます。
例えば、死亡日が10月1日の場合は1ヶ月分となる10月分が、死亡日が11月1日の場合は10月分と11月分の2ヶ月分が12月15日に支給されるため、ほとんどの場合は死亡日時点で未支給年金が発生していることになります。
未支給年金の受給権は、亡くなった方と同一生計であった親族に渡りますが、受給権者には優先順位があるほか、添付書類とともに年金事務所または街角の年金相談センターに請求の届出が必要です。
なお、国民年金第1号被保険者として保険料を納めた月数が36ヶ月以上ある人が老齢基礎年金を受ける前に亡くなった場合は、生計を維持されていた対象の遺族に死亡一時金が支払われます。
また、夫の死亡時において生計を維持されていた妻が一定の条件を満たしている場合、60歳から65歳になるまで寡婦年金を受けられます。ただし、死亡一時金とは合わせて受け取れませんので、両方の受給条件を満たしているときはどちらかを選択します。
まとめ
人が亡くなった場合の手続きは、相続以外でも多岐にわたります。慣れない手続きが多く、ほとんどに期限が設けられていますので、事前に知っておくことも大事でしょう。
出典
法務省 死亡届
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
全国健康保険組合 ご本人・ご家族が亡くなったとき
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
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