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男性の育休取得について ~バラバラになりそうな社会をつなぐための重要な社会政策の1つ!?

ファイナンシャルフィールド / 2023年8月28日 8時0分

男性の育休取得について ~バラバラになりそうな社会をつなぐための重要な社会政策の1つ!?

産業化の進展により人々の連帯性や絆が薄れ、人間関係が希薄になることを、ドイツ人の社会学者ウルリヒ・ベックは、著書「危険社会 新しい近代への道」(1998年、法政大学出版局)で、「個人化」と表現しました。   これは豊かになりたいと願った結果、企業の効率化や合理化が進み、お金の面でも時間の面でも余裕が生まれにくくなり、家族や友人、地域社会における人間関係が希薄化し、個人個人がバラバラになる社会現象を指します。   昨今、少子化対策や子育て支援策が非常に注目されていますが、これらの必要性が高まっている背景の1つに「個人化」という問題があると指摘されています。

孤立した子育てを防ぐ男性の育休取得

私たちは家族や友人・知人、職場、地域社会など、人間関係という環境のなかで個人として存在しています。そのため、人的環境の持つ結束力が弱まると必然的に孤立、孤独化しやすくなり、問題が起きた場合に解決する力が低下する可能性があります。
 
問題解決力が低下するリスク(不確実性)が高まるような人的環境に身を置いていると、人生そのものが脆弱(ぜいじゃく)化する恐れがあります。なぜならば、何か問題が起きたときに助けてくれる人が限られてしまうからです。
 
分かりやすい例を示すと、男性の育児休業の取得が難しい状況が挙げられるでしょう。昨今、夫婦のどちらかが1人で子育てを行うワンオペ育児のように、育児疲れや育児ノイローゼ、育児放棄などの原因にもなり得る「孤立した育児」が社会問題となっています。
 
一般的にワンオペ育児は、主に母親が1人で育児を担っている状態をいいますが、例えば夫は仕事、妻は育児と、夫婦間で明確に役割を分担してしまうと、孤立した育児となる可能性が高くなります。
 
そこで、男性の育児への参加を促進するために、出生時育児休業(産後パパ育休)の導入や育児休業の分割取得といった制度改正が行われた流れがあります。
 

男性の育児参加が難しい理由

男性が育児休業を取得するには、勤務先の理解や協力が不可欠です。しかし、一定期間の休業によって、例えば業務に支障が出ることが不安視されるなど、男性が育児休業を積極的に取得しやすい職場環境ばかりであるとは言い難いのが実情でしょう。
 
また、男性が育児休業を取得するケースでは、勤務先で孤立するという「個人化」の発生リスクを確認できるかもしれません。仮に育児休業に対して十分な理解を得られないような職場や人間関係では、休業を取得することで孤立する可能性があるため、ここに「個人化」として問題が表面化するリスクが存在しています。
 
近所に親族や友人・知人がいない家庭の場合、身近で頼れるのは職場の人間関係です。その人間関係のなかで孤立するわけにはいかないため、男性社員としては育児休業を取得しづらくなり、結果として男性の育児参加が難しい状況が生まれます。
 
家族以外の人とのつながりや連帯性が薄まっていくと、その家族は自然と孤立していきます。孤立すると、本来その家族が持っていたはずの人間関係による問題解決能力が低下し、子育てなどの場面でその力を発揮することが難しくなるでしょう。
 

まとめ

理想をいえば、家族が仲良く、近くに親族や友人が住んでおり、近所との付き合いや職場の人間関係も良好で、地域社会におけるサポートが充実している環境に身を置いて子育てを行うことが望ましいわけですが、これらを100%実現できる家庭はどちらかといえば少ないでしょう。
 
また、そういった環境の実現が難しくなった社会こそが、個人化している社会といえます。
 
ライフプラン(人生設計)を考える際、こうした時代認識を持ちながら、自身や家庭の環境をどこに置くかという視点が大切ですが、人間関係を重視し、協力し合うことが個人化を抑制する1つのキーワードになるのではないでしょうか。
 

出典

厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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