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若者や子育て世帯の声が国を変える! 「こども未来戦略方針」の“こども・子育て政策の課題”から考える

ファイナンシャルフィールド / 2023年8月29日 5時10分

若者や子育て世帯の声が国を変える! 「こども未来戦略方針」の“こども・子育て政策の課題”から考える

今年6月、政府は「次元の異なる少子化対策」実現のため、「こども未来戦略方針」を閣議決定しました。   今行われている、社会政策の抜本的な変更・見直しの動きは、将来の日本において極めて重要と考えられることから、子育て世帯だけでなく、若者世帯や子どものいない世帯、高齢者世帯など、全ての世帯に関わる大きな変革へと向かっていく可能性が高いと捉える必要があります。   今後、国の政策が私たちのライフプランや家計にどのような影響を与えるか、未来予測をすべき時期に差し掛かっているといえるでしょう。   そこで、今後の記事では、予定されている変化点をつぶさに見ていくこととします。今回は「こども未来戦略方針」で示されている“こども・子育て政策の課題”について、まとめるところから始めたいと思います。

記事を読み進めていただくうえで

今回の記事を読み進めていただく前提として、「時代背景や社会の変化により、人々の価値観や考え方が、今後、どのように変化するか」を想像しながら読んでいただけたらと思います。
 
特に重要なのが、「なぜ、国がそのような課題設定を行っているか」です。記事内では、内閣官房が公表している「こども未来戦略方針」のアンケート調査をもとに、若者や子育て世帯が今どのように感じ、考えているか、といった声を取り上げています。
 
そのような声も含め、読者の方々自身はどのように感じ、考えるか、もう一人の自分という視座ももって読み進めていただければと思います。
 

課題(1)若い世代が結婚・子育ての将来展望を描けない

まず1つ目の課題として、こども未来戦略方針では「若い世代が結婚・子育ての将来展望を描けない」ことを挙げています。これによって若い世代の未婚化や晩婚化が進み、少子化の大きな要因となっているという分析です。それでは、紹介されている若者の声を見てみましょう。


「自分がこれから先、こどもの生活を保障できるほどお金を稼げる自信がない」
「コロナ禍で突然仕事がなくなったり、解雇されたりすることへの不安が強くなった」
「結婚、子育てにメリットを感じない」
「子育て世帯の大変な状況を目の当たりにして、結婚・出産に希望を感じない」

※こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」より
 
いかがでしょうか。人それぞれ、どのような境遇で育ち、生きているかによって、共感できる・できない・ある程度は理解できるなど、受け止め方や抱く印象は異なったかと思います。
 
このような声に対し、国は政策論の観点から政策課題を練り、実行しようとしています。私たちも、自分が国の立場ならどうしたらよいか、どのような環境整備が必要か、などの視点で考えていく必要があります。
 
まずはそのような視点から想像を巡らせ、それを踏まえたうえで、結果私たちのライフプランや家計がどのように変化するかを模索するようにすると、ポイントがより明確になってくるかと思います。
 
例えば、「自分がこれから先、こどもの生活を保障できるほどお金を稼げる自信がない」という声からは、子育て費用と収入がアンバランスになっているという課題がうかがえます。もし自分が国の立場だったなら、この課題をどのように解決しようとするでしょうか。
 
「こども未来戦略方針」からは、国が児童手当の拡充や働きやすい職場環境の整備、賃上げ、リ・スキリング(学び直し)を通じて収入の増加を図り、また、給付型奨学金の拡充や授業料の後払い制度などを通じて教育費の負担軽減も図っていることが読み取れます。
 
これらをライフプランや家計に落とし込んでみると、方向性としては単純に、収入が増え、支出が減る可能性が考えられます。
 
声によって課題が抽出され、課題を克服するために政策が打ち出されることで、私たちのライフプランや家計は少なからず変化していきます。このような一連の流れを想像することで、自分は、そしてわが家は、今後どのような考え方のもと人生を送っていけばよいか、というヒントが得られます。
 

課題(2)子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境がある

2つ目の課題としては、「子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境がある」ことが挙げられています。
 
「自国はこどもを生み育てやすい国だと思うか」という問いに対し、日本では約6割が「そう思わない」と回答し、「日本の社会が結婚、妊娠、こども・子育てに温かい社会の実現に向かっているか」という問いに対しては、約7割が「そう思わない」と回答しています。
 
また、子育て中の人々の次のような声を取り上げ、社会全体の意識・雰囲気が子どもを生み、育てることをためらわせる状況にあると捉えています。


「電車内のベビーカー問題など、社会全体が子育て世帯に冷たい印象」
「子連れだと混雑しているところで肩身が狭い」

※こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」より
 
国は政策課題として、子どもや子育て世帯が安心・快適に日常生活を送ることができるようにするため、子どもや子育て世帯の目線に立ち、子どもの遊び場の確保や、親同士・地域住民との交流機会を生み出す空間の創出などに取り組んでいく必要があるとしています。さらに、次のような声も紹介しています。


「女性にとって子育てとキャリアを両立することは困難」
「フルタイム共働きで子育ては無理があるかもしれない」

※こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」より
 
一方で、正社員の男性に対し、育児休業制度を利用しなかった理由を尋ねた調査の結果も紹介されています。


「収入を減らしたくなかった」:39.9%
「育児休業制度を取得しづらい職場の雰囲気、育児休業取得への職場の無理解」:22.5%
「自分にしかできない仕事や担当している仕事があった」:22.0%

※こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」より
 
これらは、子育てと仕事の両立が難しいと感じている子育て世帯の声といえます。
 
国の課題意識としては、こども・子育て政策を推進するに当たり、今も根強い固定的な性別役割分担意識から脱却し、社会全体の意識変革や働き方改革を正面に据えた、総合的な対策をあらゆる政策手段を用いて実施していく必要があるとしています。
 
子育て世帯としては、子育ての時間と仕事の時間をどのように確保するか、という大きな課題がありますが、これについて、夫婦で解決できること、家族・親族で解決できること、地域社会で解決できること、職場で解決できることの4方向で考えられるかと思います。
 
子育てをはじめ、将来のライフプランや家計を考える際は、自助・互助・共助・公助の面で、どのような制度やサービスを活用するかが鍵になります。時間や人手、収入、空間を生み出し、それらを幸福度の向上につなげるにはどうしたらよいかを考えるヒントになるのではないでしょうか。
 

課題(3)子育ての経済的・精神的負担感や子育て世帯の不公平感が存在する

最後に3つ目の課題として、「子育ての経済的・精神的負担感や子育て世帯の不公平感が存在する」点が挙げられています。
 
こども未来戦略方針では、理想の子どもの数をもたない理由として、次のような声を紹介しています。


「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」
「ほしいけれどもできないから」
「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられないから」

※こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」より
 
子育て支援拠点の行った調査結果から、孤立した育児に関する声も紹介しています。


「子育てをしている親と知り合いたかった」
「子育てをつらいと感じることがあった」
「子育ての悩みや不安を話せる人がほしかった」

※こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」より
 
また、実際の若者の声も取り上げています。


「教育費が昔より高くなっているので、経済的負担を考えると1人しか産めなさそう」
「住居費などの固定費に対してお金がかかる」
「親の所得でこどもへの支援の有無を判断すべきではない」
「こどもがいると今の趣味や自由な生活が続けられなくなる」
「こどもを育てることに対する制度的な子育て罰が存在する」

※こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」より
 
経済的負担や精神的負担、公平ではないといった心理的な要因が、結婚や出産・育児、子育てに影響を及ぼしていることを、国は課題として捉えているようです。
 
課題に対する政策としては、妊娠期からの切れ目ない支援の拡充や、子育て世帯に対する住宅支援の強化などが挙げられており、今まで以上の細かいニーズに対して政策メニューを広げていることがうかがえます。
 
これらの政策的な変化は、子育てに対する時間的・経済的な問題などの改善といった形で、私たちのライフプランや家計に影響を与えるでしょう。
 

まとめ

今回は、「こども未来戦略方針」から政策の課題と、若者や子育て世帯の声を取り上げました。
 
人々の思いが個別の具体的な声として現れ、政治にくみ取られ、政策に落とし込まれていくという一連の流れがあること、そのような社会的な変化が私たちのライフプランや家計を変容させるということが読み取れたのではないでしょうか。
 
報道で流れて来るような政策を巡る情報は、ある政策がライフプランや家計にとってどのような影響を及ぼすか、というストーリーで語られます。話の運び方としては必ずしも間違いではありませんが、マネーリテラシーの観点からは、そもそもなぜそのような政策に結びつくのかということについて、ある程度掘り下げる必要があります。
 
そうすることで、政策の方向性を理解しやすくなり、将来における私たちの暮らしがどのように変化するかも捉えやすくなるでしょう。「人々の価値観や考え方が社会を少しずつ変えていく」ここに、マネーリテラシーを伸ばすポイントがあるのではないでしょうか。
 

出典

内閣官房 こども未来戦略会議 こども未来戦略方針
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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