学生なので「年金保険料」を払えません。親が「代わりに払う」と言ってくれていますが、メリットはありますか? 将来は払ってもらった分を返さなければいけませんか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月29日 4時30分
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20歳になって国民年金への加入義務が発生したけれど、学生でアルバイトをしていないので収入がなく、年金保険料の納付が難しいという人もいるのではないでしょうか。本記事では、親が「かわりに年金を払う」と言ってきた場合、事実上の借金として将来的に返済する義務が発生するのか、どのように対応すればいいのか解説します。
年金保険料は学生でも納めなければならない?
20歳になると日本年金機構から国民年金の第1号被保険者となった旨の通知書が届き、たとえ学生であっても国民年金への加入義務が発生します。被保険者となって原則60歳まで年金保険料を納付しなければならず、必要な手続きを怠ると未納状態となって将来年金を受け取れなくなるなどの不利益が発生するおそれがあります。
国民年金の保険料は、2023年度時点で月額1万6520円です。ただし20歳になったばかりの頃は学生であることも多く、アルバイトなどでは十分な収入がなく保険料の納付が難しいことも少なくありません。
そこで積極的に活用したいのが学生納付特例制度です。必要な手続きを行って承認されると、その期間は保険料の納付が猶予されます。あくまで支払いを猶予されるのみで、将来にわたって免除されるわけではないので注意しましょう。
学生納付特例制度は申請者本人の収入が一定以下の場合に適用されます。具体的には「128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」で計算された金額以下の場合ですが、今回はアルバイトをしておらず収入はないと考えられるため、申請すれば認められる可能性が高いでしょう。
学生納付特例制度の申請時に審査される収入はあくまで学生本人のものが対象で、両親など保護者の収入や資産規模は含まれません。そのため、例えば学生本人の収入がゼロで、両親の収入が年収5000万円以上、預貯金等の資産も1億円以上あったとしても、学生納付特例制度の活用は可能です。
親がかわりに払うと言ったら? 親にメリットはある?
子どもが20歳以上となり国民年金に加入すると、親が「自分がかわりに保険料を払う」と提案するパターンも考えられます。このような場合はどのように対応すればいいのでしょうか。また、たとえ親でも子どものかわりに保険料を負担するメリットはあるのでしょうか。
親がかわりに子どもの保険料を負担する義務はありませんが、自主的に支払いを申し出てかわりに負担することは可能です。子どもからすると「かわりに支払ってメリットはあるのか」疑問に感じるかもしれませんが、社会保険料控除を受けられるため「支払ったから損」とは限りません。
国民年金をはじめ社会保険料は「実際に支払った人」の課税所得から控除されるため、所得税や住民税の負担が軽減されることがあります。
例えば、課税所得300万円ある親が、子どもの保険料を2年分の約40万円払った場合、所得税や住民税は最大約8万円軽減されます(所得税率10%、復興特別所得税率2.1%、住民税10%として計算)。
親の収入が多いほど、子どもの保険料もかわりに負担して社会保険料控除を活用することで、課税所得を圧縮して税負担の軽減につながるため、節税対策の手段の1つとして活用されることもあります。
将来的に返済する義務は発生する?
ただし、親がかわりに子どもの国民年金保険料を負担するかどうかは、あくまで親自身の考え方であり判断に委ねられます。親が納付したからといって、子どもが将来働き始めてから返済しなければならない義務はなく、親から子どもへ返済を強制することもできません。
また、子どもから親に対して「自分のかわりに保険料を負担して欲しい」と相談することはできても、強制することはできないので注意しましょう。
まとめ
今回は20歳になって国民年金への加入義務が発生するようになったものの、アルバイトもしておらず保険料の納付が難しい場合、親がかわりに負担できるのか、将来返済する義務は発生するのか解説しました。
保険料の納付が難しい場合は、親の収入や資産規模にかかわらず学生納付特例制度の活用を検討しましょう。申請しないまま放置すると未納扱いとなり、将来年金を受け取れなくなるなどのおそれもあるので要注意です。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
国税庁 No.1130 社会保険料控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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