自営業の夫が64歳で死亡。子どもは成人していますが、遺族年金はもらえるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月29日 6時40分
![自営業の夫が64歳で死亡。子どもは成人していますが、遺族年金はもらえるのでしょうか?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_230125_0-small.jpg)
自営業者の場合、国民年金にだけ加入するケースも多いのではないでしょうか。そこで、年金が払い損になるのか、遺族基礎年金が受け取れるのか、ほかに受け取れる年金がないかなど気になる人もいることでしょう。本記事では、自営業の夫が64歳で死亡した場合に受け取れる年金について解説します。
遺族基礎年金を受け取れる場合
自営業の夫が64歳で死亡したとしても、本来受け取るはずだった老齢基礎年金については、図表1の要件を満たす人が死亡した場合、対象となる遺族に対して「遺族基礎年金」が支給されます。
【図表1】
遺族基礎年金の受給要件 | ・国民年金の被保険者である間に死亡した ・60歳以上65歳未満で日本国内に住所を有していた ・老齢基礎年金の受給権者が死亡した ・老齢基礎年金の受給資格を満たしている |
遺族基礎年金の保険料納付要件 | ・保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上ある ・受給資格期間(保険料納付済期間、保険料免除期間と合算対象期間を合算した期間)が25年以上ある |
出典:日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
遺族基礎年金の受給対象者は、死亡した夫によって生計を維持されていた以下の遺族です。
●子のある配偶者
●子
この場合の子とは、18歳になった年度の3月31日までにある子ども、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある子どもが該当します。子どもが成人している場合は、遺族基礎年金を1円も受け取れないので注意してください。
寡婦年金を受け取れる場合
自営業者の夫が亡くなった場合、受給要件を満たした妻は「寡婦年金」を受け取れます。受給要件は、以下のとおりです。
●亡くなった夫が保険料を納付した期間と国民年金の保険料免除期間が10年以上ある
●亡くなった夫と10年以上継続して婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻
●亡くなった夫が、老齢基礎年金と障害基礎年金を受けていない
●妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていない
寡婦年金の支給期間と支給金額
寡婦年金は、受給要件を満たす妻に対し、その妻が60歳から65歳になるまで支給されます。妻の年齢が60歳に達していない場合、60歳になるまで寡婦年金は支給されません。
60歳を過ぎてから自営業者の夫が亡くなった場合は、そこから65歳になるまで寡婦年金の受け取りが可能です。夫が亡くなってから、5年間にわたって支給されるわけではないことを認識しておきましょう。
寡婦年金の支給金額は、夫の第1号被保険者期間だけをもとに計算した老齢基礎年金額の4分の3と定められています。寡婦年金は妻にのみある制度で、妻を亡くした夫は受取対象外です。
高齢の妻が受け取れるのは死亡一時金
妻の年齢が寡婦年金を受け取れる60〜65歳に該当しなかったとしても、国民年金法に定める給付の一つである、「死亡一時金」を受け取れる場合があります。死亡一時金は、以下に該当する遺族に対して支給されます。
●亡くなった夫が死亡日の前日において、国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む) としての保険料納付済期間が36月以上ある
●老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取らずに亡くなった
死亡一時金は、死亡した夫と生計を同じくしていた遺族で優先順位の高い人が受け取り可能です。
1.配偶者
2.子
3.父母
4.孫
5.祖父母
6.兄弟姉妹
自営業者の夫が死亡した日の翌日から2年を経過した場合、死亡一時金の請求ができなくなります。忘れないうちに早めに請求手続きを行ってください。また、寡婦年金との併給はできません。
死亡一時金の支給金額
死亡一時金の支給金額は、図表2のとおり国民年金の保険料納付済月数および免除月数の合計月数によって異なります。
【図表2】
国民年金の保険料納付済月数 | 支給金額 |
---|---|
36月以上180月未満 | 12万円 |
180月以上240月未満 | 14万5000円 |
240月以上300月未満 | 17万円 |
300月以上360月未満 | 22万円 |
360月以上420月未満 | 27万円 |
420月以上 | 32万円 |
※付加保険料の納付済月数が36ヶ月以上ある場合には、上記の支給金額に8500円が加算される
出典:日本年金機構 死亡一時金制度の概要
国民年金のみに加入する夫婦は万一のときに備えた対策が必要
自営業者の夫が亡くなった場合、その夫に生活を支えられていた子どもがいる妻であれば、遺族基礎年金を受け取れます。しかし、子どもが18歳に到達した年度の3月31日を過ぎている場合は、遺族基礎年金の受給要件を満たしません。その他の方法として、寡婦年金や死亡一時金の請求手続きを行うようになるでしょう。
寡婦年金の支給金額は「亡くなった夫の第1号被保険者期間だけをもとに計算した老齢基礎年金額の4分の3の額」で、死亡一時金の支給金額は「国民年金の保険料納付済月数が420月以上で32万円」となっています。
国民年金のみに加入していた夫が64歳以下で亡くなった場合、受け取れる金額が限られてしまい年金の払い損になる可能性が高いです。夫が国民年金にのみ加入している場合は、万一のときに備えて貯金をしておくなどの対策をしておくとよいでしょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額) 日本年金機構
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 死亡一時金を受けるとき
厚生労働省 死亡一時金制度の概要
※2023/8/29 記事を一部修正いたしました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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