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祖母が「かわいそう」と勝手に街路樹の手入れをしています。手入れなら大丈夫ですか? 損壊などに当てはまるのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2023年8月30日 5時10分

祖母が「かわいそう」と勝手に街路樹の手入れをしています。手入れなら大丈夫ですか? 損壊などに当てはまるのでしょうか?

日本の道路には、街路樹が植えられているところが多くみられます。しかし、すべての街路樹が常にきれいに整えられているわけではないでしょう。ときには、歩道や道路に枝が長く伸び、通行を妨げたり信号機を隠したりなどの弊害が生じているケースもあるようです。   今回は、このようなケースや、自宅前の街路樹が手入れされておらず「かわいそう」と感じた場合、勝手に手入れをしてもよいのか、法の観点も交えて解説します。

なぜ街路樹が植えられているのか

そもそも、なぜ街路樹が植えられているのかを押さえておきましょう。まず、歩行者へ降り注ぐ日差しを和らげる効果が考えられます。地球温暖化が進んでいるといわれており、夏の平均気温も上がっています。
 
特に、アスファルトが敷かれている都市部では、その傾向が顕著です。街路樹により、屋外で活動する人の熱中症の発症を抑える効果が期待できるでしょう。また、地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素を吸収する役割も担っています。
 
台風や地震などの自然災害発生時には、倒壊した建物や飛んできた看板などによる被害を抑える効果も期待されています。街路樹がそれらを防いでくれれば、被害の範囲を抑えられるでしょう。人の気分にも影響を与える可能性があります。街路樹がまったくない状態と、きれいに植えられている状態とでは、後者の方がよい心理状態をもたらすケースが多いでしょう。
 

手入れの有無や程度の判断は難しい

街路樹が手入れをされていないと感じても、それが主観的なものである可能性も考慮すべきです。枝や葉が伸びているのは、上記のような効果を期待しているケースもあるためです。手入れをしていないのではなく、あえて、そのままにしている可能性もあるでしょう。
 
自宅前の街路樹に対し「かわいそう」という感情を抱いたとしても、手入れの有無や程度を個人で判断するのは避ける必要があります。もちろん、一部が腐食した街路樹は、逆に台風などで倒壊するリスクをもたらすため、定期的な点検と適切な手入れは不可欠です。
 

勝手に街路樹の手入れをすると犯罪となる可能性がある

自宅前の街路樹であっても、また、手入れが明らかにされていない状態であっても、個人が勝手に手を加えてはいけません。犯罪に問われる可能性が出てきます。具体的にどのような犯罪となるのかみていきましょう。
 

・器物損壊罪の可能性

刑法の第261条には、他人のものを損壊または傷害したものは、3年以下の懲役または30万円以下の罰金などに処するといった趣旨の記載があります。
 
自宅前の街路樹は他人のもののため、勝手に手入れをすると器物損壊罪に問われる可能性が出てくるでしょう。損壊や傷害の意図がなくても、相手や周囲の人に、そのように受け取れられるリスクがあるため、やはり、勝手に手入れをしてはいけません。
 

・道路付属物損壊となる可能性

道路法の第101条には、みだりに道路の付属物を移転もしくは損壊し、道路の効用を害したり交通に危険を生じさせたりしてはならないといった趣旨の記載があります。違反した場合は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
 
お金の面では、器物損壊罪よりも重い刑といえるでしょう。良心によるものであっても、専門知識のない人の手入れは、結果的に歩行者や走行する自動車に危険を与える可能性もあるため注意が必要です。
 

・街路樹の手入れは自治体に相談を

もし、手入れをしていない街路樹が自宅前などにある場合は、管理している自治体に相談しましょう。「街路樹がかわいそう」という感情を抱いたとしても、勝手に手入れをしてはいけません。
 
街路樹の下に落ちている葉を拾ったり、枝に引っかかっている明らかにゴミと思われるものを取ったりする行為は、特に問題ないでしょう。ただし、枝に触れる場合には折れる可能性も考慮し、やはり、管理している自治体に相談するのが無難です。
 

理由にかかわらず街路樹に勝手に手を加えると犯罪に問われる可能性がある

街路樹の多くには、植えられている意味や効果があります。そのため、手入れをされていないと主観的に判断し、勝手に手を加えるのは止めましょう。
 
いかなる事情や感情であれ、勝手に手入れをすれば器物損壊罪などの犯罪に問われる可能性が出てきます。自宅前の街路樹に対し「かわいそう」と感じた場合でも、手入れが必要である場合には管理している自治体に相談しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 刑法

e-Gov法令検索 道路法

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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