【定年後の年金】嘱託社員として再雇用された場合、どのような手続きが必要?
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月31日 8時10分
![【定年後の年金】嘱託社員として再雇用された場合、どのような手続きが必要?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_230786_0-small.jpg)
定年後に同じ会社で嘱託社員として再雇用された場合、年金関係の手続きは会社が行ってくれるのでしょうか? 確認してみましょう。
定年後の再雇用とは
定年後の再雇用とは、これまで勤務していた会社を定年退職した後、再び同じ会社で新たな雇用契約を結んで働くことです。よくあるケースとして、定年退職後、嘱託社員として65歳まで1年ごとの契約更新とする有期雇用契約です。
定年後の再雇用は、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者雇用確保措置として高年齢者雇用安定法で定められています。会社は定年を迎えた従業員が働くことを希望すれば、従業員を65歳まで雇用し続けなければいけません。
さらに、2021年4月から施行された高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)では、70歳までの就業機会の確保について、会社は多様な選択肢を講ずることが努力義務となりました。
60歳定年の会社で働くことを希望しない場合、公的年金の支給開始年齢が65歳からでは、定年後、年金と給与が発生しない無収入期間が発生しすると、その人の生活が困窮することが予想されるからです。
高年齢者雇用安定法では、次の措置を講ずるよう努めることとされています。
(1)70歳までの定年の引き上げ
(2)定年制の廃止
(3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
(出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正」)
定年後の再雇用制度を利用した場合、これまで働いてきた会社で再雇用されて働くことが可能になりますが、一方、雇用契約によって今までと異なることもでてきます。
再雇用後の手続きについて
再雇用後の手続きについては雇用契約によって大きく変わってきます。特に年金は再雇用後、社会保険に加入するような働き方をするかによって、65歳から受け取る老齢年金額も大きく変わってきます。
社会保険というと医療(介護)と年金をあわせて考えるのが一般的ですが、60歳以上では異なる場合がでてきます。年金は厚生年金保険の加入は70歳になるまでが上限期間となっています。
【再雇用先で再度社会保険に加入する場合】
現在、適用拡大によって、会社の規模によりますが、再雇用で週20時間・月8万8000円・2ヶ月超雇用・学生でないという条件を満たすことで、社会保険(医療・年金)に加入できます。適用拡大に該当しない会社では週30時間以上の雇用契約で社会保険に加入できます。
従業員が60歳で定年退職し、継続雇用制度で嘱託社員として再雇用された場合、社会保険の資格をいったん喪失し、同じ日付で資格取得をすることで、再雇用後の給与に応じた標準報酬月額になり、引き続き社会保険(医療・年金)の被保険者となることができます。
同じ日付で資格の喪失と取得を行うので、「同日得喪」と呼ぶことがあります。手続きには、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」と「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を事業所管轄の年金事務所です。手続きには、退職と再雇用が分かる書類の添付が必要になります。
1. 就業規則の写し(退職日の確認ができるもの)
2. 雇用契約書等の写し(再雇用されたことが分かるもの)
【社会保険に加入しない働き方をする場合】
週の就労時間が短く、社会保険に加入できない場合、医療保険は国民健康保険か退職した会社で任意継続被保険者になるなど、何かしらの医療保険に加入します。退職時に条件を満たす場合は、家族の勤め先で被扶養者になることもできます。
年金については、原則60歳までが国民年金の加入義務であるため、60歳以上は保険料の支払いはありません。ただし、これまでの国民年金の加入期間が480月(40年)なく、65歳時に満額の老齢基礎年金を受け取りたい場合は、国民年金に任意加入できます。任意加入は原則65歳もしくは480月(満額)になるまで加入できます。
年金の手続きは誰がするの?
前段のように、再雇用の働き方によって社会保険(厚生年金保険)に加入できるかどうかで変わってきます。社会保険に加入できるのであれば雇用先の会社が手続きをします。
社会保険に加入しない働き方をするのであれば、基本的に老齢年金の受給資格のある人は年金の加入は必要ありません。ただし、国民年金の任意加入する人は自身で加入手続きが必要です。近くの年金事務所もしくは役所で手続きをしましょう。
人生100年時代、公的年金は長生きリスクに備える保険として、大切な保険です。再雇用で働くのであれば、社会保険に加入する働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正〜70歳までの就業機会確保〜
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
〈退職金2,500万円〉〈月収30万円〉65歳のサラリーマン、再雇用終了も「働きたい」と懇願…ハローワークで直面する厳しい現実に撃沈
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月29日 7時15分
-
年金含めて月32万円・60歳の再雇用サラリーマン、給与大幅減も余裕の笑みだったが…日本年金機構からの手紙で知る「年金支給停止」の驚愕事実に涙
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月23日 9時15分
-
定年後「月収20万円」で再雇用の誘いを受けました。収入が現在の「半分」になってしまうのですが、「再就職」より良いでしょうか? 新しい仕事を探すのも億劫です…
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月17日 2時20分
-
定年後に再就職していた会社で「解雇」になったら「失業保険」は出る?出ない?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月14日 2時20分
-
定年後、働き続けるメリット、デメリットには何がある?
オールアバウト / 2024年6月8日 21時20分
ランキング
-
1委託先のランサムウェア被害で京都府の159名分個人情報流出 自動車税の納税義務者名などがダウンロード可能な状態に 「クボタ」でも約6万件の顧客情報流出
ABCニュース / 2024年7月1日 20時14分
-
2「7月3日の新紙幣発行」で消費活動に一部支障も? 新紙幣関連の詐欺・トラブルにも要注意
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 8時30分
-
3「モスバーガー」2度目の中国撤退…「ハンバーガーを日本企業が中国で手がける難しさ」で定着できず
読売新聞 / 2024年7月1日 19時2分
-
4中国企業、星野トマム売却 不動産不況で資産処分
共同通信 / 2024年7月2日 11時28分
-
5NY円、一時161円72銭 37年半ぶり円安ドル高水準
共同通信 / 2024年7月2日 7時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)