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仕事から帰る途中に義父宅で介護をした帰りに交通事故にあった場合、労災の「通勤災害」になる?ならない?

ファイナンシャルフィールド / 2018年8月26日 22時30分

仕事から帰る途中に義父宅で介護をした帰りに交通事故にあった場合、労災の「通勤災害」になる?ならない?

仕事から帰る途中、介護のため義父宅に立ち寄り、介護を終えて帰宅途中に原動付自転車と衝突し、休業を余儀なくされたために、通勤災害として休業給付の支給を請求したが不支給処分となったため、不支給処分の取り消しを求めて裁判が起こされました。   通勤災害とは何か、大阪高裁(平成19年4月18日)の結論はどうなったか、現在の取扱いはどうなっているか、ポイントを解説します。  

通勤災害って何?

労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。つまり、仕事中や通勤途中にケガをした場合は、健康保険を使用することはできません。健康保険では、業務外の事由によるケガに関して保険給付を行います。
通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害又は死亡を言います。業務の性質を有するものは、業務災害ですので、通勤災害からは除かれます。
「通勤」とは、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいいます。
 

(1)住居と就業の場所との間の往復
(2)就業の場所から他の就業の場所への移動
(3)住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動

移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。
逸脱とは、通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれることをいい、中断とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うことをいいます。
通勤の途中で逸脱又は中断があるとその後は原則として通勤とはなりません。ただし、「日常生活上必要な行為」であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。
厚生労働省令で定める逸脱、中断の例外となる「日常生活上必要な行為」は以下のとおりです。
(1) 日用品の購入その他これに準ずる行為
(2) 職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに
準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
(3) 選挙権の行使その他これに準ずる行為
(4) 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
(5) 要介護状態にある配偶者,子,父母,配偶者の父母並びに孫、祖父母および兄弟姉
妹の介護(継続的に、または反復して行われるものに限ります。)
 

仕事帰りの「通い介護」は「逸脱・中断」の例外?

仕事帰りの「通い介護」は「逸脱」の例外に当たるのでしょうか。
先の裁判では、「義父は日常生活全般について介護が不可欠な状態であったこと」「義父の介護を行うことができる親族が他にいなかったこと」「義理の息子が配偶者とともに通4日間程度の介護を行っていたこと」などの諸事情から、義父に対する介護は「労働者本人又はその家族の衣、食、保健、衛生など家庭生活を営むうえでの必要な行為」というべきであるから「日用品の購入その他これに準ずる行為」に当たるとし、通勤災害を認定しました。
現在では、先に示したように、要介護状態にある配偶者,子,父母,配偶者の父母並びに孫、祖父母および兄弟姉妹の介護(継続的に、または反復して行われるものに限ります。)は、「日常生活上必要な行為」として「日用品の購入その他これに準ずる行為」とは別に例示されています。
なお、平成29年1月1日より、同居・扶養要件が撤廃され、同居・扶養していない孫、祖父母および兄弟姉妹の介護のため、合理的な通勤経路を逸脱・中断した場合も労災補償の対象となりました。
 

Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー

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