田舎にある実家が空き家に! 最も安く対処する方法とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年9月4日 8時20分
![田舎にある実家が空き家に! 最も安く対処する方法とは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_231565_0-small.jpg)
Aさんの実家は地方にあります。両親が他界し実家が空き家になりました。Aさんは実家を売却することに抵抗はありませんが、交通の便が悪く近隣に店もないので「売れるわけがない」と思い、最も費用や税金がかからない方法で対処できればよいと考えています。 どのような方法が考えられるでしょうか。
所有しているだけでもコストはかかる
空き家になった実家を相続すると、固定資産税の支払い、戸建ての場合は草刈りなどの維持管理、実家までの往復の交通費など、毎年数万円~数十万円の維持管理コストが発生します。
また、空き巣や放火などの被害にあう可能性もあります。動物が床下や天井などに侵入することもあるかもしれません。これらの潜在的なリスクや、精神的なストレスも目に見えない負担となります。
・維持管理費用(固定資産税、草刈り、建物の修理、交通費、水道光熱費等)
・侵入者(人、動物)
・建物倒壊の危険、放火などの火災のリスク
・隣人とのトラブル
・精神的負担
不動産の通常の流通ルートでは対応できない
不動産業界は売買取引の仲介手数料で成り立っています。Aさんのように価格の見込めない物件は「タダでも良いので売りたい」といっても、一般の不動産業者は相手にしてくれません。
価格のつかない空き家を売却するためには、空き家を専門的に扱っている業者に有料で任せることを検討する必要があります。
市区町村の空き家対策窓口に相談
今や、空き家問題は全国的な問題となっています。国土交通省でもさまざまな取り組みを行っています(※1)。
また、ほとんどの市区町村では空き家対策の窓口を設けています。まずは空き家対策窓口に相談することをお勧めします。ここでは空き家対策の専門家の紹介や、関連情報も提供しています。空き家バンクの登録を行っている所もありますので、登録することで買い手や借り手が見つかる可能性があります(※2)。
専門家に相談して空き家を活用・処分する
空き家対策の専門家に相談することも有効です。不動産の場合、状況や条件が異なるため、個々のケースに応じた対応が必要です。以下はさまざまな方法の一例ですが、その物件に合った最適な提案をしてもらいましょう。
1.隣の家に買い取ってもらう
2.改修工事をして売却する
3.寄付(更地にして公園などに利用)
4.国に返還(相続土地国庫帰属法に基づく)
1.シェアハウス
2.ゲストハウス
3.民泊
4.コミュニティ施設(カフェなど)
5.福祉利用転用住宅
6.DIY 賃貸(注1)
7.居住支援住宅確保要配慮者(注2)向け住居
注1:DYI賃貸
・そのままの状態で賃貸し、改修は居住者が行う
・退去時に原状復帰を求めないなど、個別に契約内容を設定
注2:住宅確保要配慮者(住まいの確保に協力が必要な方)
・外国人・高齢者
・生活保護者、生活困窮者
・ひとり親世帯
・災害被害者
・障害者
・DV被害者
相続放棄は費用がかかる
民法239条第2項によれば、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」と規定されています。すべての相続人が、被相続人の不動産を含むすべての相続財産相続を放棄することで、その不動産は国に引き継がれます。
しかし、不動産を国庫に帰属させるためには、弁護士などの第三者を「相続財産管理人」とし、その後、その不動産に相続人がいないことを法的に確定させる手続きが必要です。
裁判所の公式ホームページ(※3)には、「相続財産清算人が相続財産を管理するために必要な費用(相続財産清算人に対する報酬を含む)に不足が出る可能性がある場合には、申立人に相当額を予納金として納付していただくことがあります」と記載されています。
もし、不動産以外に相続財産がない場合、相続財産管理人への報酬などの費用を相続人が負担することになります。つまり、相続放棄にも一定の費用がかかる可能性があるということです。
また、民法第940条によれば、「相続の放棄をした者は、相続人または相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない」と規定されています。
たとえ相続放棄が成立した場合でも、相続財産管理人が管理を開始するまでは、空き家の管理義務は依然として所有者に残ります。もし空き家をめぐって近隣住民とトラブルが生じたり、事故が起きてしまったりした場合は、その責任を負わなければならない可能性があります。
相続土地国庫帰属法とは?
2023年4月27日に相続土地国庫帰属法が施行されました。この法律により、相続や遺贈により取得した土地を国に帰属(返還)することが可能となりました(※4)。
ただし、すべての土地が対象というわけではありません。例えば建物が建っている場合は、申請の前に撤去する必要があります。表1は申請の却下要件と不承認要件をまとめたものです。これらの要件に該当する場合は、申請者は事前に問題を解決しておかなければなりません。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2023/09/0161352a3d2ab457dfa6640c52a8eb52.jpg)
審査手数料は土地一筆(注3)あたり、1万4000円となっています。また、申請が承認された場合は10年分の土地管理費相当額(注4)の負担金を納付して完了となります。
(注3)登記簿に一個の土地として登録された土地の単位を一筆といいます。
(注4)土地の分類と広さによって計算します(最低20万円~)。
申請は法務局窓口です。詳細は法務省のホームページ(※4)をご覧ください。
まとめ
2024年4月1日から、相続登記の申請義務化が施行されます。相続人が不動産の取得を知った日から3年以内の相続登記の申請が義務化となります。怠ると10万円以下の過料が課せられます(※5)。
実家の空き家問題など少しでも相続に不安をお持ちの方は、相続に詳しい専門家にご相談ください。
出典
(※1)国土交通省 空き家対策の課題解決を図るモデル的な取組を決定! 〜令和5年度「空き家対策モデル事業」を採択しました〜
(※2)神奈川県 空き家施策 2.空き家の相談窓口について
(※3)裁判所 相続財産清算人の選任
(※4)法務省 相続土地国庫帰属制度について
(※5)法務省 不動産を相続した方へ 〜相続登記・遺産分割を進めましょう〜
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)
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