国民年金保険料を40年間支払った場合、受給から何年くらいで元を取れる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年9月5日 2時40分
2023年度の1ヶ月の国民年金保険料は1万6520円であり、1年間で19万8240円支払うことになります。少子高齢化が進むなか、支払った保険料が年金としてしっかりと戻ってくるのか不安に感じる方も多いでしょう。 そこで本記事では、国民年金保険料を40年間支払った場合は総額いくらになるのか、年金支給から何年くらいで元が取れるのかについて解説します。将来支給される年金について不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
国民年金保険料を40年間支払った場合の総額は?
国民年金は日本国内に住む「20歳以上60歳未満の方」すべてが加入するものです。国民年金の第1号被保険者は自身で年金を納めますが、第2号・第3号被保険者は厚生年金保険や共済組合が加入者に代わって納めています。
国民年金保険料を20歳から60歳まで40年間納めた場合の総額は、令和5年度の国民年金保険料で計算をすると792万9600円です。
ただし、国民年金保険料は毎年大きく変わることはないものの、賃金上昇率に応じて毎年見直しされています。したがって、総額は人によって異なる点に注意が必要です。
年金受給から何年くらいで元が取れる?
国民年金保険料を納付している多くの方が、年金をもらったときに何年くらいで元が取れるのか不安に感じているでしょう。
年金受給は大きく分けて、「通常の受給」「繰上げ受給」「繰下げ受給」の3種類のパターンに分かれます。それぞれ「65歳から受給したケース」「60歳から受給したケース」「70歳から受給したケース」のパターンごとに、何年くらいで元が取れるのかを紹介しますので、自身が受給する際の参考にしてみてください。
65歳から受給したケース
20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を納めれば通常は65歳から満額の老齢基礎年金がもらえます。1ヶ月あたりの国民年金保険料は上述のとおり1万6520円であり、40年間未納をせずに納めた場合の総額は792万9600円です。
一方、2023年4月分からの老齢基礎年金受給額は満額で月額6万6250円であり、1年分として計算をすると79万5000円となります。
・792万9600円÷79万5000円=9.97(年)
上記の計算により、65歳から受給した場合は約10年間(75歳)で元が取れることが分かりました。
60歳から受給したケース
年金は原則として65歳からの受給ですが、やむを得ない事情により60~64歳からの「繰上げ受給」も可能です。ただし、繰上げ受給は1ヶ月早めるごとに「0.4%」の減額となるため、65歳と比べると元が取れるまでの年数が変わります。
では、もっとも早く受給できる60歳から年金を受け取った場合、何年で元が取れるのでしょうか。
・60ヶ月(5年分)×0.4%=24%
60歳から繰上げ受給をした場合、年金額は24%の減額となるため、次に挙げる計算式が成り立ちます。
●79万5000円×0.76=60万4200円(24%減額となった老齢基礎年金額)
●792万9600円÷60万4200円=13.12(年)
上記の計算により、60歳から繰上げ受給した場合は約13年間(73歳)で元が取れることが分かりました。なお、一度繰上げ受給を申請すると、受け取れる年金額は一生減額となるため注意が必要です。
70歳、75歳から受給したケース
貯金に余裕がある方や長く働いている方は年金の繰下げ受給を行い、66歳以降から年金を受け取ることも可能です。繰下げ受給をすれば、老齢基礎年金を1ヶ月あたり「0.7%」増やせます。ここでは、70歳と75歳の2つのケースで、何年くらいで元が取れるのかを計算します。
まず、70歳まで繰下げ受給をした場合は次のとおりです。
●60ヶ月(5年分)×0.7%=42%
●79万5000円×1.42=112万8900円(42%増額となった老齢基礎年金額)
●792万9600円÷112万8900円=7.02(年)
1年間の老齢基礎年金が112万8900円となるため、70歳から年金を受け取った場合は約7年間(77歳)で元が取れることが分かりました。
次に、75歳まで繰下げ受給をした場合は次のとおりです。
●120ヶ月(10年分)×0.7%=84%
●79万5000円×1.84=146万2800円(84%増額となった老齢基礎年金額)
●792万9600円÷146万2800円=5.42(年)
75歳から年金を受け取った場合は、1年間の老齢基礎年金が146万2800円となり、約5年間(80歳)で元が取れます。
年金はライフスタイルなどを考慮して受給タイミングを決めよう
国民年金保険料を40年間支払ったあと、通常に年金を受け取った場合は約10年間で元が取れます。自身のライフスタイルや貯蓄額などを考慮して、年金の繰下げ受給や繰上げ受給を行えば、元が取れる年数が大きく変わります。
生活に少しでも余裕がある方は繰下げ受給をしたほうが、結果として毎年受け取る年金額を増やせるでしょう。ぜひ、これから年金を受け取る方は、無理のない範囲で検討してみてください。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 Q:国民年金はどのような人が加入するのですか。
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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