独身で「月20万円」の年金を受け取るために、年収はいくら必要? 年金額を増やす方法についても解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年9月12日 2時20分
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仕事を引退した後の生活に備えるためには、年金制度の仕組みを理解することが非常に重要です。特に、将来受け取りたい年金額と現在の年収の関係性はしっかりと把握する必要があります。この記事では例として、独身で月20万円の年金を受け取る際に必要な年収について考えてみましょう。さらに、年収が目標に届かない場合の対策についても考察します。
日本の年金制度の概要
日本の年金制度は主に「国民年金」と「厚生年金」に分けられます。
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の人で、自営業者やパートタイム労働者などを含むすべての人が加入対象となり、毎月保険料を払うことになります。原則65歳になると、老齢基礎年金として月6万6250円(2023年度の満額)が支給されます。
一方、厚生年金は、主に会社員や公務員が加入する制度であり、収入に応じた保険料を勤務先と折半で支払い、原則65歳になると老齢厚生年金が支給される仕組みとなっています。年金の額は、加入期間や平均標準報酬額に基づいて計算した額(報酬比例部分)が支給されるため、現役時代の収入が多いほど、受け取る年金も多くなります。なお、厚生年金の加入が2003年4月以降かそれより前かによって、報酬比例部分の計算式は変わります。
基本的には、40年間保険料を未納などなく納付すれば、老齢基礎年金は満額の月6万6250円が受け取れます。そのうえで、会社員などであれば老齢厚生年金が上乗せされる形です。
独身で月額20万円の年金を受けとれる年収額は?
厚生年金に40年間加入し、月額20万円の年金を目指す場合、老齢基礎年金の月6万6250円を除くと、残りの13万3750円を老齢厚生年金で賄う必要があります。この13万3750円を受け取るためには、現役時代にいくら年収が必要なのでしょうか。
前述の通り、「老齢厚生年金」は現役時代の給与額や加入期間によって受給額が変わります。月に13万3750円、年間にすると160万5000円を受け取るために必要な年収は、2003年4月以降の厚生年金の報酬比例部分の計算式に基づくと、約732万円となります。
つまり、年金を月額20万円受け取るためには、独身の場合だと常に700万円ほどの年収が必要ということになります。
なお、今回は独身という前提なので一人の収入で計算しましたが、参考までに、夫婦が共に働いている場合について考えてみましょう。例えば、夫婦がそれぞれ老齢基礎年金を満額受け取れると、合計で月13万2500円です。この場合、残りの6万7500円を老齢厚生年金でカバーするためには、夫婦それぞれ、年収約360万円が必要です。もちろん、2人暮らしであればその分支出額も増えことが予想されるため、あくまで参考程度にしておきましょう。このように、家庭の状況によって、月20万円の支給を受け取るために必要な年収は変わるのです。
繰り下げ受給で年金支給額アップが可能
「繰下げ受給」とは、年金の受給開始時期を繰り下げる代わりに受給額が増加する制度です。仮に65歳から始まる年金の支給を66歳まで繰り下げると、受給額が8.4%増額され、その後も毎月0.7%ずつ加算されます。最長で75歳まで繰り下げることができ、加算額は最大84%となります。例えば、75歳まで繰り下げた場合、本来の年金受給額は月額10万8695円だとすると、84%が加算されるため、75歳からは月額約20万円が支給されるわけです。70歳まで繰り下げるのなら42%加算となり、本来の年金受給額が月14万845円以上なら月20万円の受給が達成できます。なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金、どちらか片方だけの繰下げ受給も可能です。
年収アップができなくても「月20万円」を受け取る方法はある
老後に月20万円の年金を受け取るためには、現役時代に700万円以上の年収が必要です。しかし、これが難しい場合でも対策はあります。年収が700万円に達していなくても、繰下げ受給を利用する方法があります。また、副業・投資での収入を老後の不足分にあてるというのも良いでしょう。現役のうちから、しっかりとした財務計画を立て、老後資金について考えておきたいものです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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