「近くに川がないから水災(水害)補償は不要」はもう古い!? 保険の見直しを検討しよう!
ファイナンシャルフィールド / 2023年9月13日 5時30分
![「近くに川がないから水災(水害)補償は不要」はもう古い!? 保険の見直しを検討しよう!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_233165_0-small.jpg)
物価高の今、特に固定費の支出は何としても抑えたいところです。そんな状況ですが、火災保険の保険料も値上がりしている傾向です。背景には、近年の水害の多発が影響しているという面もあるようです。 本記事では、「家の近くに川がないから」という理由で、水災補償を対象外とした契約は慎重に検討したほうがよい理由などについて説明します。
水災は川があふれるだけではない!
火災保険における水災といえば「川があふれたり、堤防が決壊したりして、川の水が街へ……」などという、洪水氾濫のイメージがあるかもしれません。
しかし、街に水があふれてしまうのは川の水だけとは限りません。例えば、内水氾濫(ないすいはんらん)があります。内水氾濫とは降雨量が多くなることで下水道の排水能力が追い付かず、下水道施設から街に水があふれてしまう水災です。
<東京で懸念すべきは内水氾濫か>
国交省の水害統計によると、全国における過去10年間(2008~2017年)の水害による被害額は次のようになっています。全体を100とすると、川の水があふれる洪水氾濫によるものが59%で、内水氾濫によるものが41%を占めます。
ところが、同じ期間で、水害の被害に遭った建物の棟数を見てみると、洪水氾濫による被害棟数が全体の32%なのに対し、内水氾濫による被害棟数は68%なのです。これは内水氾濫のほうが、1棟当たりの被害額が少ないということなのでしょう。
しかし、東京都の場合は違います。東京都の水害の被害額を見ると、先述と同じく被害額全体を100%として、洪水氾濫による被害額が29%なのに対し、内水氾濫による被害額は71%です。東京都では洪水氾濫の対策がなされ、逆に内水氾濫の対策が追い付いていないということなのでしょうか。
「ウチの近くには川はない」という理由だけで、火災保険の水災補償を対象外とする判断は、慎重にしたほうがよいでしょう。
ハザードマップは内水氾濫も想定している
「洪水ハザードマップ(浸水予想区域図)」を公表している自治体もあります。『渋谷区洪水ハザードマップ・浸水実績』のページを閲覧すると、以下のような前提となる記述があります。
『水防法第14条に基づく洪水浸水想定区域(外水氾濫)に加えて、雨水出水(内水氾濫)も加味されています。なお、渋谷区では洪水ハザードマップを水害種別(外水・内水・高潮)ごとには作成していません』(渋谷区のホームページより引用)
「水災補償の有無」を検討するに当たっては、洪水ハザードマップが一つの参考になるでしょう。渋谷区洪水ハザードマップは上記引用のとおり、東京都で懸念すべき内水氾濫も加味されていますが、河川・下水道の整備状況によって変化しますので、こうしたハザードマップを活用しながら総合的に判断していく必要があります。
まとめ
生命保険でも損害保険でも、「保険の見直し」というと、保険料の削減が目的というケースも多いでしょう。
冒頭で申し上げたとおり、今年の火災保険の保険料改定は値上げの傾向で、それは現下の水害発生数の増加も大きいようです。保険料の削減を目的に水災補償を外す判断を行った結果、実は水災補償が必要な補償の地域だった、ということがないようにしたいものです。
出典
損害保険料率算出機構 火災保険参考純率 改定のご案内
国土交通省 近年の降雨及び内水被害の状況、下水道整備の現状について
渋谷区 洪水ハザードマップ・浸水実績
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
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