現役時代「年収800万円」だったとしても、年金の手取り額は「20万円」を切る?
ファイナンシャルフィールド / 2023年9月14日 6時40分
![現役時代「年収800万円」だったとしても、年金の手取り額は「20万円」を切る?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_233792_0-small.jpg)
定年後に受け取れる年金額が、現役時代の収入に比べて少ない、といわれることがあります。それゆえ、現役時代の感覚で老後生活を送ってしまい、老後破産に至る人もいるようです。 仮に現役時代の年収が800万円あった方でも、年金の月々の手取り額は20万円を切ってしまうのでしょうか。現役時代の年収が800万円だった方の年金額について考えていきます。
現役時代年収800万円だった場合の年金の支給額は?
まずは、現役時代の年収が800万円だった場合、どれくらいの年金が支給されるのか、確認していきましょう。
・1980年10月1日生まれ
・20歳から22歳まで国民年金に学生として加入
・23歳から60歳まで年収800万円で厚生年金に加入し就業
・65歳から年金の受給を開始
上記条件で計算すると、仮に23歳から60歳まで年収800万円で働いたとしても、将来受給できる年金額は年間235万円となり、月額換算では19万6000円程度となります。年金は雑所得として、所得税や住民税の対象となります。
そのため、現役時代に年収が800万円あったとしても、年金の手取り額は20万円を切ることになるでしょう。仮に、年金を235万円受け取る場合にかかる、所得税と住民税を考えてみましょう。課税対象となる所得は基礎控除48万円と公的年金等控除110万円を差し引くと、77万円です(65歳以上の場合)。
仮に所得税を5%、住民税を10%と考えると所得税の額は3万8500円、住民税は7万7000円です。年金から差し引かれる所得税と住民税だけを除いても、手取りは223万4500円となります。月額換算での手取りは18万6000円程度になります。
地域により金額は異なりますが、さらにそこからは国民健康保険料の支払いも生じます。年金だけで手取り20万円を実現するためのハードルは、かなり高いといえるでしょう。
現実的に年収800万円の年金額はどれくらいになる?
現実に、年収800万円の方が受け取る年金額は、どれくらいになるのでしょうか。ある程度順調に出世して、最終的に年収800万円に至ったと仮定し、下記条件で試算してみます。
・1980年10月1日生まれ
・20歳から22歳まで国民年金に学生として加入
・23歳から35歳まで年収450万円で就業
・36歳から45歳まで年収600万円で就業
・46歳から60歳まで年収800万円で就業
・65歳から年金の受給を開始
すると、年間で受け取る年金額は204万円となり、月額換算で17万円となります。やはり基本的には、現役時代の年収が800万円となる時期があっても、年金の手取り額20万円に達することは難しいといえそうです。
どうしても定年後に手取り20万円が欲しい場合は?
定年後の毎月の支出額が20万円となり、どうしても手取り20万円が必要だという場合は、就労することが現実的です。年金だけでなく就労して収入を得ることで、手取り20万円も現実的になります。
仮に時給1000円で1日5時間、週3日就労するだけでも収入は1ヶ月で6万円増えることになります。現役時代、年収800万円を稼いでいた方であれば、手取り20万円を実現することができる可能性が高いでしょう。
また、個人年金であるiDeCoや、投資による運用益が非課税となるNISA制度を利用するなど、年金や就労以外で老後に取り崩すことのできる資産を確保しておくことも有効です。
その他にも、年金の受取開始時期を66歳以後75歳までの間とする「繰下げ受給」を行い、手取り20万円が実現可能となるタイミングまで年金を受け取らない、という手もあります。年金はひと月繰り下げるごとに0.7%増額されます。
この仕組みによって、自分のタイミングに合った年金額となるよう、受け取り時期と額を調整し、最大で年金額を84%増加させることができます。なお、繰り下げている年金を受け取るまでの間に就労する場合は、給与の額によっては在職老齢年金制度の影響で年金額が思うように増加しない可能性があることに注意してください。
現役時代年収800万円でも年金手取り20万円は困難
年収800万円では、老後に年金だけで毎月手取り20万円を得ることは、困難であることが分かりました。
どうしても老後に月20万円の手取りが必要だという場合、年金だけでは不足する部分は、就労や資産の切り崩しで補てんするほか年金の繰下げ受給などといった方法を検討してみてください。そうすることで、無理なく月の手取り20万円を実現することができるでしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士
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