認知症の場合でも銀行口座が凍結してしまう!? 予防と対策法は?
ファイナンシャルフィールド / 2023年9月18日 9時30分
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金融機関が設ける一定の条件に該当した場合には銀行口座が凍結されます。よく知られているのは名義人の死亡による凍結ですが、認知症の場合にも凍結されるため注意が必要です。 銀行口座が凍結されてしまうと、たとえ家族であっても簡単には解除できません。そのため、現在では終活の1つとして、銀行口座の凍結対策が推奨されています。本記事では銀行口座が凍結される条件やタイミングと、その対策や予防方法を解説します。
銀行口座の凍結の概要
銀行口座の凍結とは、何らかの理由によって口座を介した取り引きができなくなることです。現金の引き出しだけでなく、口座引き落としや振込みも停止されます。
口座が凍結される要件
口座が凍結される主な要件は、名義人の死亡や認知症の発症、口座の不正利用の確認、名義人が債務整理の対象になった場合などです。
口座が凍結されるタイミング
名義人が死亡した場合は、親族などからその事実が伝えられた直後に凍結されます。認知症の場合は親族などからの通知のほか、名義人とのやり取りの中で、金融機関が認知症と判断すれば凍結します。
口座の不正利用の場合は原則として警察からの情報提供後が凍結のタイミングです。名義人が債務整理の対象になった場合は、整理の決定段階で凍結されます。なお、口座凍結のタイミングは金融機関ごとに定められているため、事前に口座のある銀行などに問い合わせておくと安心です。
認知症による口座凍結の対策と予防方法
認知症による口座凍結の対策と予防には、2種類の後見制度と家族信託の利用が考えられます。
任意後見
任意後見は、将来の認知症発症などによる判断力の低下に備えるための制度です。本制度を利用して、あらかじめ任意後見人を指定しておくと、認知症によって判断力が低下した場合に財産管理や生活支援などを任せることができます。また、任意後見で財産管理を任されていることを金融機関に届け出ることで、口座の凍結を回避することが可能になります。
任意後見の特徴は、本人が後見人を指定できることです。なお、任意後見は、公正証書による契約が義務付けられています。その理由は、委任者の意思や判断能力を確認したうえで、法律に則った契約内容にする必要があるためです。
公正証書の作成費用は1契約につき1万1000円ですが、法務局に納める収入印紙代が2600円、登記嘱託手数料が1400円、そのほかに諸経費もかかります。
法定後見
法定後見は、認知症などによって判断力が低下したあとで家庭裁判所に申し立てを行い、法律に基づき、家裁が成年後見人を選定する制度です。成年後見人は、財産管理と生活全般にわたる法律行為を主な役割りとしています。
法定後見では、本人に代わって成年後見人が預貯金を引き出すことができます。また、名義人の認知症発症によって凍結された口座を解除するには、成年後見人が必要です。成年後見人が金融機関の窓口で解除の手続きをすることで口座凍結の解除が可能になります。なお、成年後見人の選定には通常3ヶ月程度必要です。
家族信託
親子間で家族信託契約を締結すると、子どもによる親の資産の管理や処分などが可能になります。家族信託契約を締結した上で、親の口座から子ども名義の信託口口座に現金を移動させるのが一般的な方法です。この場合、子どもには現金の取り引きに関する帳簿を作成する義務があります。
認知症になることを想定してそなえておこう
認知症を発症した場合、銀行口座が凍結される可能性があります。認知症の発症を親族が金融機関に通知した場合や、金融機関が本人と会って確認したタイミングで凍結されます。推奨される口座凍結の対策や予防方法は、2種類の後見制度と家族信託の利用です。認知症になるかどうかはわかりませんが、もしもの場合を想定して備えておくことが大切です。
出典
日本公証人連合会 任意後見契約
厚生労働省 成年後見制度とは
厚生労働省 法定後見制度とは
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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