その口コミ、本当? 購入する前にまず確認を! ~不当景品類及び不当表示防止法 第5条について~
ファイナンシャルフィールド / 2023年9月21日 7時10分
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「これ、良いかも」。買おうかどうか迷ったとき、高いものならなおのこと、買う前にその商品の評判を検索しませんか? 実際に買った人の投稿や口コミサイトなどを参考に、購入を決めることもあるでしょう。 しかし、本当にその人自身の意見でしょうか。もしかしたら、ステルスマーケティングかもしれません。本記事では、「不当景品類及び不当表示防止法」第5条について説明します。
ステルスマーケティング
「ステルスマーケティング」とは、事業者が自らの広告であることを隠して広告を出すものです。
例えば、事業者が出しているのに第三者が出しているように見せかけるもののほか、事業者が発信の対価を支払って、アフィリエイターに広告と思われないような表示の広告を依頼する、インフルエンサーなどの著名人にSNS投稿の内容も含めて依頼する、口コミサイトへの書き込みを依頼するものもあります。
一見、第三者の投稿に見えるものの、その投稿内容は第三者の意見そのものではなく、業者により決められた内容となっているものです。
「同じ金額を出すなら、少しでも良い商品を選びたい」と考える消費者は、業者の広告には商品を良く見せるためにある程度の誇大な表現があり、広告の内容を鵜呑みにしてはいけないと考えます。
一方で、実際に使ってみた体験談や、その道に明るい人の意見は、信じられる情報に思えます。もしも、その体験談が業者によるものだとしたら、消費者は商品の選択を間違ってしまいます。口コミを信じて、高い買い物をする羽目になることもあるかもしれません。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示
消費者が業者の広告により商品選びを間違えないよう、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」の第5条には、不当な表示の禁止について定められています。
1号 他のものより著しく優良であると思わせる表示(優良誤認表示)
2号 他と取引するより著しく有利であると思わせる表示(有利誤認表示)
3号 その他、一般消費者に誤認されるおそれがあるもので内閣総理大臣が指定するもの
5条の規定に違反した場合、措置命令(7条)が採られ、5条の1号、2号についてはさらに課徴金納付命令(8条)の対象となります。しかし、ステルスマーケティングについては、不当な表示の禁止事項にされていませんでした。
令和5年3月28日、消費者庁は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定および「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表をしました。
「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」第5条第3号の規定に基づき、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を、「事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」と内閣総理大臣が指定しました(引用:令和5年3月28日 内閣府告示第19号)。
つまり、ステルスマーケティングが不当な表示と指定されたのです。令和5年10月1日から施行されます。
違反した業者はどうなる?
景品表示法第5条3号に違反した場合、内閣総理大臣により措置命令(その行為の差し止め、再発防止のために必要な事項、関連する公示その他必要な事項)がくだされます。しかも、その違反行為がすでになくなっている場合でも、違反行為をした事業者に対し必要な措置がとられます。
また、違反行為をした法人事業者が、合併により消滅した場合でも、存続する合併後の法人または合併により設立された法人に対して措置がとられます。違反行為をした事業を継承した事業者(分割された法人の場合も)に対しても、必要な措置がとられます。
規制の対象になるのは、事業者の表示であるのに第三者の表示であると消費者が誤認してしまう場合です。よって、事業者が事業者の表示であることを明確にしている場合は、規制の対象外となりますので、ぜひ覚えておきましょう。
出典
消費者庁 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定及び「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表について
消費者庁 内閣府告示第十九号(別紙1一般消費者が事業者の表示である事を判別することが困難である表示)
消費者庁 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(別紙2)
消費者庁 ステルスマーケティングに関する検討会 報告書(令和4年12月28日)
消費者庁 事例で分かる景品表示法
e-GOV法令検索 昭和三十七年法律第百三十四号 不当景品類及び不当表示防止法
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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