退職金「2000万円」、同じ金額でも勤続「20年以下」と「20年超」で手取り額はどれだけ違う? 退職金の手取り額を試算
ファイナンシャルフィールド / 2023年9月24日 2時30分
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退職金は、社員が退職した後の老後の所得保障として支給されているのが一般的です。退職金制度は終身雇用制度の骨格として多くの企業などで採用されており、勤続年数が長いほど支給額が割り増しされていくのが通常で、税制面でも後押しされてきました。 本記事では、退職金の退職所得控除額および所得税課税対象額について、解説したいと思います。
退職所得控除額と所得税課税対象額
例えばAさんとBさん2人の会社員がいるとしましょう。Aさんは勤続20年で退職することにしました。一方、Bさんは勤続21年で退職することに。比較のため、AさんとBさんの退職金は同じ2000万円とし、一時金として受給すると仮定します。
このとき、AさんとBさんの退職金の退職所得控除額や所得税課税対象額はどのくらい差が出るのでしょうか? 当然、退職所得控除額が多いほど所得税課税対象額が少なくなり退職金の手取り額は多くなります。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額は、所得税法第30条第3項および同条第6項第2号により、次のように計算されます。
・勤続20年以下の場合 40万円×勤続年数(ただし、80万円に満たない場合には、80万円)
・勤続20年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
所得税課税対象額の計算方法
所得税課税対象額は、所得税法第30条第2項により、次のように計算されます。
・所得税課税対象額=(退職金の額-退職所得控除額)×1/2
Aさん(勤続20年以下)の退職所得控除額と所得税課税対象額
上記の計算式をAさんに当てはめた場合、次のようになります。
・退職所得控除額=40万円×20年
=800万円
・所得税課税対象額=(2000万円-800万円)×1/2
=600万円
したがって、Aさんの退職金に対しては、600万円に所得税および復興特別所得税と住民税がかかることになります。
Bさん(勤続20年超)の退職所得控除額と所得税課税対象額
一方、Bさんの場合は次のようになります。
・退職所得控除額=800万円+70万円×(21年-20年)
=870万円
・所得税課税対象額=(2000万円-870万円)×1/2
=565万円
よって、Bさんの退職金に対しては、565万円に所得税および復興特別所得税と住民税がかかります。
AさんとBさんの退職金の手取り額
それでは、これまでの計算結果から、AさんとBさんとでは退職金の手取り額はどのくらい差が出るのかをみていきましょう。
所得税および復興特別所得税
=(所得税課税対象額×所得税率-所得税控除額)×102.1%
=(600万円×20%-42万7500円)×102.1%
=78万8722円
住民税
=所得税課税対象額×10%
=600万円×10%
=60万円
退職金の手取り額
=退職金の額-(所得税および復興特別所得税+住民税)
=2000万円-(78万8722円+60万円)
=1861万1278円
所得税および復興特別所得税
=(所得税課税対象額×所得税率-所得税控除額)×102.1%
=(565万円×20%-42万7500円)×102.1%
=71万7252円
住民税
=所得税課税対象額×10%
=565万円×10%
=56万5000円
退職金の手取り額
=退職金の額-(所得税および復興特別所得税+住民税)
=2000万円-(71万7252円+56万5000円)
=1871万7748円
したがって、AさんとBさんの退職金の手取り額の差は、10万6470円(1871万7748円-1861万1278円)になります。
勤続年数が20年以下と20年超で、退職金の退職所得控除額と所得税課税対象額が異なることがお分かりいただけたでしょうか? 勤続年数が20年を超えれば、退職所得控除額の計算が優遇される方法がとられ、所得税課税対象額が少なくなります。もし、勤続20年近くで転職をお考えの人がいれば、ぜひ参考にしてください。
出典
e-Gov法令検索 所得税法
国税庁 退職金と税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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