知っていますか? 為替と株の関係性
ファイナンシャルフィールド / 2018年8月30日 10時30分
![知っていますか? 為替と株の関係性](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_23733_0-small.jpg)
為替と株の値動きは毎朝のニュースで必ず伝えられます。種類は違いますが、この二つは深く関わりながら動いています。 株式投資を始めたばかりの方は特に、為替と株の動きについて知っておくと、銘柄を選ぶときなど今後の予測をたてるときに役立つでしょう。今回は為替と株の関係性について考えてみます。
為替が動くと、企業の収益はどうなる?
為替レートが動くと、株はどう動くのでしょう。そして、企業の収益はどのように変化するのでしょうか。為替が、例えば1ドル=120円(円安)のときと1ドル=80円(円高)のときを比べてみます。
まずは輸出企業です。
1ドル=120円のときに、ある商品を10,000ドルで販売していたとしましょう。この時に商品を売り上げると、ひとつにつき120万円(120円×10,000ドル)の売上になります。では1ドル=80円のときはどうでしょうか。このときの為替レートでは売り上げは80万円(80円×10,000ドル)になります。
輸出企業にとっては、円安のときより円高のときのほうが、売り上げが落ち込むことがわかりますね。
では輸入企業はどうでしょう。10,000ドルの商品を輸入するとします。1ドル=120円のときは、ひとつの商品を輸入するために120万円が必要になります。同様に、1ドル=80円の為替レートのときに同じ商品を輸入しようとすると、ひとつにつき80万円で仕入れることができます。
輸入企業にとっては、円安のときよりも円高のときのほうが、調達コストが低くなることがわかりますね。
企業はいくらで為替を想定しているの?
このように、企業の収益は為替レートによって大きく変わることがわかります。
各企業は業績などの見通しを立てる際に、事前に想定為替レートというものを個別に予想し、決定しています。これは、発表している業績の予想について、為替レートがいくらと想定して見積もっているのかを示しています。
例えば、想定為替レートより円安にすすめば、輸出企業に関しては為替差益が発生するので業績の上方修正が見込まれ、輸入企業に関しては為替差損が発生することで下方修正が想定されます。
逆に円高に進んだときは、輸出企業は収益が圧迫されることにより、為替差損が発生して想定より減益になる可能性が高まります。
輸入企業は輸入コストが低くなり為替差益が発生して、増益や業績の上方修正などが見込まれるでしょう。
個別企業の想定為替レートは、決算の発表などと同時に提示されることが多いので、その企業が今後の為替の動きをどのように予測しているのか、チェックするといいでしょう。
また、日本銀行が3ヶ月毎に発表している「全国企業短期経済観測調査(日銀短観)」にも企業の想定為替レートをまとめたものがあります。想定為替レートは相場を予想していく上で重要ですので、日本の企業は今後どのように相場の想定をしているのか、こういったところで動向をチェックすると良いでしょう。
円安や円高、恩恵を受ける業種は?
では輸出企業や輸入企業は、どのような業種がそれにあたるのでしょうか。
まず輸出企業ですが、代表的なところでは自動車・電気・機械などが挙げられます。これらの業種は円安の恩恵を受けやすいということですね。
円高で恩恵を受けやすい業種である輸入企業は、主に材料を海外から輸入しているような業種ですので、小売り関係や外食産業・輸入家具や製紙業界などが挙げられるでしょう。
前項でお話したように、各企業は想定為替レートを定めているところが多いです。また、為替が変動したときに年間の収益に対してどのぐらい影響するかを示す「為替感応度」というものを、アナリストレポートや新聞などで発表することがあります。
これは、米ドルやユーロに対して円が1円動いたときに、年間どのくらいの影響額になるかを示しています。
保有している株の銘柄があったり、今後銘柄を選択したりしようとしている方は、各企業の今後の予想を立てる上でも活用するといいでしょう。
いかがでしたでしょうか。今回は為替と株の関係性について考えてみました。
とても基本的なことではありますが、株式投資を始めるには為替の動向のチェックも大切な項目です。今後の為替相場が円安か円高、どちらの方向に行きそうなのか想定をたてて銘柄を選択することは大切ですので、一度ご紹介した数値やデータを確認してみることをおすすめします。
さまざまな方面から予想をたててみると、ご自身の保有する銘柄についてより詳しくなりますので、いっそう株式投資が楽しくなりますね。
Text:小沼 鮎子
監修:福島 えみ子
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