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年金が月10万円位だと分かりました。月15万円まで増やすには受給をどのくらい遅らせたらいいですか?

ファイナンシャルフィールド / 2023年9月29日 23時30分

年金が月10万円位だと分かりました。月15万円まで増やすには受給をどのくらい遅らせたらいいですか?

「年金が月10万円であると分かったけれど、月15万円まで増やしたい」といった悩みを抱える人に検討して欲しい方法が年金の繰下げ受給です。年金を65歳0ヶ月から受け取らず、66歳0ヶ月から最長75歳0ヶ月まで延ばせる制度で、遅らせた期間に応じて年金受給額を増やせます。   本記事では、老後にかかる生活費がどのくらいなのか、繰下げ受給の概要、月10万円の年金受給額を15万円に増やすのに要する期間などを解説します。

老後生活費は1ヶ月あたりどのくらい必要?

 
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」では、高齢者世帯の家計収支について図表1のように伝えています。
 
【図表1】

実収入 消費支出
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯) 24万6237円 23万6696円
65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯) 13万4915円 14万3139円

総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」をもとに筆者作成
 
年金が月10万円の場合、赤字になる可能性が高いでしょう。貯蓄や資産運用といった方法以外にも、年金を増やす方法を事前に検討しておくことが重要です。
 

繰下げ受給をすれば年金額を増やせる

将来的に受け取れる年金を増やす方法として検討したいのが年金の繰下げ受給です。年金の繰下げ受給によって、老齢基礎年金や老齢構成年金を65歳からではなく66歳0ヶ月〜65歳0ヶ月の間に受取開始時期を延ばせます。繰り下げた期間に応じて年金が増額し、1ヶ月あたりの増減率は0.7%です。
 
一度適用された増減率は生涯にわたって適用し、老齢基礎年金と老齢基礎年金を別々に繰り下げることもできます。
 

月10万円の年金受給額を15万円に増やすのに要する期間

受け取れる年金額が月10万円だった場合、繰下げ受給によって15万円まで増やすには約6年の期間を要します。65歳0ヶ月で年金を受け取らなかった場合、71歳0ヶ月まで繰り下げれば50.4%の増減率が適用されて約5万円の上乗せが可能です。
 
繰下げ受給の増減率は図表2のとおりで、最長である75歳0ヶ月まで繰り下げれば増減率は84.0%にまでアップできます。
 
【図表2】

繰下げ請求時の年齢 増減率
66歳0ヶ月 8.4%
67歳0ヶ月 16.8%
68歳0ヶ月 25.2%
69歳0ヶ月 33.6%
70歳0ヶ月 42.0%
71歳0ヶ月 50.4%
72歳0ヶ月 58.8%
73歳0ヶ月 67.2%
74歳0ヶ月 75.6%
75歳0ヶ月 84.0%

日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとに筆者作成

 

繰下げ受給をする際の注意点

 
繰下げ受給をする際の注意点は以下のとおりです。

●税金や保険料の負担が増える場合がある
●加給年金は増額対象にならない
●長生きしなければ払い損になる場合がある

繰下げ受給は将来的に受け取れる年金を最大84.0%にまで増やせる方法ですが、安易に選択するのは危険です。自分の健康状態や資産状況などを考慮したうえで、年金を受け取るタイミングを決めてください。
 

税金や保険料の負担が増える場合がある

繰下げ受給によって将来的に受け取れる年金を増やせますが、その分だけ所得税や住民税といった税金、国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料、かかる医療費も高額になります。
 
年金額は増えたものの、自由に使えるお金は少ないといった事態に陥る可能性も高いです。繰下げ受給を検討する際には、年金見込額から負担する税額や保険料などの目安を事前に計算しておきましょう。
 

加給年金は増額対象にならない

年金の繰下げ受給をしても、加給年金は増額の対象に含まれません。加給年金とは、厚生年金の保険者期間が20年以上ある人が65歳到達時において、生計を維持している65歳未満の配偶者や子(18歳到達年度の末日まで)がいる場合に加算される年金です。
 
加給年金額は、配偶者と子(1人目、2人目の子)は各22万8700円で、3人目以降の子については各7万6200円と定められています。さらに老齢厚生年金の受給権者の生年月日に応じて、3万3800円から16万8800円の特別加算額も支給対象です。
 

長生きしなければ払い損になる場合がある

年金の受取開始時期を繰り下げても、長生きしなければ65歳0ヶ月から受け取った場合と比べて払い損になる可能性が高いです。
 
年金受給額が月10万円の人が72歳0ヶ月で死亡した場合の例を見ていきましょう。通常どおり65歳0ヶ月で年金を受給した場合、72歳0ヶ月までに受け取れる年金総額は840万円(120万円×7年)です。それに対し年金の受取開始時期を70歳0ヶ月まで繰り下げた人は、以下のように72歳0ヶ月までに340万8000円しか受け取れず、倍以上の差が出ます。

【70歳0ヶ月まで繰り下げて72歳0ヶ月で死亡した場合】

●増額率が適用された増額分の年金額:120万円×(0.7×60ヶ月)=50万4000円
●1年あたりの年金受給額:120万円+50万4000円=170万4000円
●受取総額:170万4000円×2年=340万8000円

 

繰下げ受給は老後資金を増やすために有効な方法

年金の繰下げ受給は老後資金を増やすためにもっとも有効な方法です。1ヶ月あたりの増減率は0.7%となり、年金が月10万円の人でも繰下げ受給で受取開始時期を遅らせれば、月15万円にまで増やせます。
 
適用された増減率は生涯にわたって継続するため、後に減額となる心配もありません。ただし、税金や保険料が増える、加給年金は増額対象ではない、長生きしなければ払い損になるといった注意点もあります。単に年金額だけで決めるのではなく、自分にとって最適なタイミングがいつなのかを慎重に判断することが重要です。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 加給年金額と振替加算
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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