65歳より前にもらえる年金があると聞きました!「特別支給の老齢厚生年金」とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年10月1日 3時0分
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公的年金の老齢給付の受給開始年齢は、原則65歳からとされ、65歳よりも早く(60歳から64歳までに)年金の受給を開始する方法を「繰上げ受給」と言います。 この場合には、早く受給できる分、繰り上げた月数×0.4%(最大24%)が年金額から減額されます(昭和37年(1962年)4月2日以降生まれの人の減額率。昭和37年(1962年)4月1日以前生まれの人の減額率は0.5%で、最大30%)。 そして、もうひとつ65歳以前に受給できる老齢給付として、「特別支給の老齢厚生年金」があります。この記事では、特別支給の老齢厚生年金の制度概要や受給対象者などの条件を、改めて確認してみたいと思います。
特別支給の老齢厚生年金とは
特別支給の老齢厚生年金とは、厚生年金保険の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことを受けて、段階的にスムーズに受給開始年齢を引き上げるために設けられた制度です。名称のとおり、厚生年金保険の制度であるため、老齢基礎年金の受給には影響はありません。
受給するための要件は以下のとおりとなります。
(1) 男性の場合、昭和36年(1961年)4月1日以前に生まれたこと
(2)女性の場合、昭和41年(1966年)4月1日以前に生まれたこと(以前に、男性より受給開始年齢が5歳低く設定されていたため、男性より5年遅れ)
(3)老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること
(4)厚生年金保険等に1年以上加入していたこと
(5)生年月日に応じた受給開始年齢に達していること
まず、受給対象者として、上記(1)(2)の生年月日の要件を満たす必要があります。その上で、(3)(4)の要件を満たす場合に、(5)の生年月日に応じた受給開始年齢から特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。
生年月日に応じた受給開始年齢
上記(5)の生年月日に応じた受給開始年齢は、図表1のとおりとなります。なお、表中ではひとつの目安として、令和5年(2023年)時点での年齢を参考として表示しています。
【図表1】
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金より筆者作成
特別支給の老齢厚生年金には、在職時の報酬に比例した「報酬比例部分」と加入期間に応じた「定額部分」があります。表のとおり、生年月日と性別に応じて、それぞれの受給開始年齢が異なります。
ちなみに、表の網掛部分は、令和5年(2023年)現在でおおむね65歳に到達している方々であり、すでに報酬比例部分を老齢厚生年金として、定額部分を老齢基礎年金として受給しています。
年金受給の時効
万が一、特別支給の老齢厚生年金の手続きを忘れていた場合、他の年金制度と同様に、5年の時効が定められています。
例えば、60歳から受給できた特別支給の老齢厚生年金を、65歳を過ぎてから請求した場合は、5年経過以降1ヶ月分ずつ時効が発生し、受給できる金額が減ってしまうことになります。先ほどの表で70歳以上の方はおおむね時効を迎えられていることになります。
また、仮に5年経過していない分を過去にさかのぼって請求した場合には、その分を一括して受給することとなるため、所得税の計算は一時所得での取り扱いとなります。通常の年金の雑所得での計算と異なるため注意が必要です。
年金が支給停止となるケースも
これまで説明した特別支給の老齢厚生年金の受給要件を満たす場合でも、その方が厚生年金保険の被保険者である場合(会社員などとして勤務しつづけている場合)に、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額(会社等から受給する給与・賞与の月額)に応じて、一部減額または支給停止となることがあります。これを在職老齢年金といいます。
基準はその基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円を超える場合であり、その際に老齢厚生年金の受給額が調整されることになります。
まとめ
特別支給の老齢厚生年金は、制度自体が少々複雑で分かりづらいこともありますが、一定の生年月日の方だけが対象となる経過措置的な制度となります。対象者が65歳になれば、通常の老齢給付に切り替わるため、遡及的な請求を除けば、おおむね男性の場合には令和7年度(2025年度)まで、女性の場合には令和12年度(2030年度)までの制度といえます。
特別支給の老齢厚生年金を受給していても、在職老齢年金により、昨今は60歳以降も働きつづけることが当たり前になりつつあります。在職老齢年金により受給額が調整されることも大いにあり得ることを理解しておきましょう。
出典
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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