老後が不安だから気付いてよかった!国民年金の後納制度、特例締め切りは2018年9月
ファイナンシャルフィールド / 2018年9月13日 23時0分
現在自営業をしている祐輔さん(仮名)は、5年前に会社を辞め、自営業を始めました。当時36歳で、貯金は開業資金にあててしまったため、仕事が軌道にのるまで余裕がありませんでした。 年金事務所から国民年金の納付書が届いていたのはみたのですが、その時は、余裕がなく支払いができませんでした。なんの手続きもせずそのままになっていたのです。 やっと生活も安定してきたので、そろそろ国民年金も始めようかと考えていた時に、祐輔さんは、今年の9月までは5年間さかのぼって、国民年金の保険料を納付する制度があることを知ったのです。 5年間の支払い漏れがあると年金はずいぶん減るんだろうなと不安を感じていた時だったので、本当に良かったとすぐに手続きを始めることにしたのです。
特例納付をしないとどれくらい年金は減ってしまうの?
国民年金は、20歳から60歳まで40年間の加入義務があります。40年間満額を掛けた場合で、今年度受取額は779,300円。それに厚生年金部分が加算されることになります。祐輔さんは、20歳から36歳までは国民年金と厚生年金をずっと掛けています。
この5年間だけ、未払いでその他はずっと未納がない場合で計算してみます。
5年間掛ける年数が少ない場合は、国民年金受取総額 × 35/40となり、年金額は681,888円となります。国民年金部分が97,412円減額される金額です。
人生100年時代といわれるようになっています。100歳まで同じ金額で受け取った場合で計算してみると、合計で340万円も少ない計算です。
今年度の保険料は16,340円で、5年分支払ったとすると98万円ほどです。どんなに長生きしてもずっと入ってくるお金があると嬉しいですね。
簡単に計算を出したい場合は、1年間の掛金を2万円で計算してみましょう。5年間未納なら年額約10万円減額されることになるということです。
このように、国民年金は生涯でみると大きな違いになります。5年間さかのぼって追納できるこの特例納付は、2018年9月30日までで終了します。祐輔さんはさっそく手続きをすることにしました。
どんな手続きをすればよいの?
9月30日は日曜日です。そのため近くの年金事務所に9月28日までに行って、「国民年金後納保険料納付申込書」の提出が必要です。
手続きできる人は下記のとおりです。日本年金機構のホームページに記載されています。
1. 20歳以上60歳未満の方で、5年以内に納め忘れの期間(納付・免除以外)や未加入期間がある方
2. 60歳以上65歳未満の方で、上記1.の期間のほか任意加入中に納め忘れの期間がある方
3. 65歳以上の方で、老齢年金の受給資格がなく任意加入中の方など
祐輔さんの場合は、1に該当します。上記の任意加入についてご説明します。
20歳から60歳は強制加入ですが、満額掛けていない人は、65歳まで年金額を増やすために加入が認められている制度です。65歳になっても受給資格(10年間加入)がない人は、特例任意加入で受給資格がもらえるまで最大70歳まで加入する方法もあります。
祐輔さんは、ねんきんネットでこれからの見込み額を見ることができたり、今回の払込金額の試算もできたりすることを知り、登録の手続きを始めました。
ねんきんネットは、ユーザーIDが届いてから使用できるようになります。その間、書類の準備を始めました。ねんきん加入者ダイヤル(TEL:0570-003-004)に電話をすると手続きの方法を教えてくれます。
期限も迫ってきているため、まずは電話で確認をしてから、年金事務所に行ってみることにしたのです。年金事務所は待ち時間を少なくするために、相談予約を受け付けており、行く予定の年金事務所のホームページから予約ができます。
混雑時には2、3時間待つこともありますから、相談予約をして、手続きに必要な持ち物を確認して出向くとよいでしょう。基礎年金番号がわかるものとして年金手帳、本人確認書類、印鑑など、必要なものを持参すれば、当日書類を書いて提出もできます。
納付書は後日郵送されますので、金融機関で払い込みをします。もし、まとめての支払いが厳しい場合には、10月以降に支払えなくなる、3~5年目の古い順番に納付します。というのは、10月からでも、過去2年間分は払い込みができるので、期限に遅れないよう注意していれば、追って納付できるのです。
年金額を増やす、お得な付加年金!
現在、祐輔さんは第1号被保険者です。国民年金だけでは老後が不安。他に年金が増える方法がないか気になります。そこで、2年間で払い込み金額の元が取れてしまう、付加年金をご紹介しましょう。
こちらは、残念ながらさかのぼって追加することはできません。また、国民年金基金と併用はできません。
祐輔さんは、基金は使う予定がないので、近くの区役所で手続きをすることにしました。毎月400円を保険料にプラスして支払うことで、年金額が200円×払い込み月数が受け取れます。
祐輔さんが60歳まで国民年金なら、24年間の付加保険料は115,200円を支払い、年間57,600円の年金が受け取れます。65歳から100歳まで35年間受け取った場合には、201.6万円も受け取れる計算です。こんなお得な制度、祐輔さんはご相談いただいたことで知ることができました。本当に良かったですね。
付加年金の加入申し込みは、市町村役場で手続きができます。こちらから、申し出をしないと、窓口では勧めてはくれません。将来のことを考え、どんな方法があるのか調べてみることも大切ですね。
もし、今後また事業の資金繰りで払い込みができないということになったら、保険料免除制度を活用することもできます。条件はいろいろありますが、所得によって、保険料を安くしてもらったり、全額免除になったりする場合もあります。
国から半額の補助金が出ていますから、全額免除の場合でも半額の年金が受け取れます。
いざという時のために、年金のことを知っておくことは大切です。万が一、事故などで身体障害状態になった時にも、障害年金が受け取れるという保障付きです。
知ったうえで自分から行動を起こすことによって、大きな差が生まれるのではないでしょうか。
Text:木田美智子(きだ みちこ)
CFP(R)認定者
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