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国土が東京23区とほぼ同じ!なのにシンガポールの都市部で車が渋滞しないのにはワケがある。

ファイナンシャルフィールド / 2018年9月15日 3時0分

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シンガポールの面積は東京23区と同程度です。赤道直下の北緯1度17分に位置しているため、一年中高温多湿で、最高気温は年間を通じて30℃程度です。   日本で徒歩10分というと歩けない距離ではないですが、一年中高温多湿のシンガポールでは徒歩10分でも汗びっしょりとなるため、乗り物を利用したいと思う距離かもしれません。   短距離でも乗り物を利用するシンガポールですが、都心部の交通渋滞はそれほどひどくはありません。その理由は、国の政策にあります。具体的にはどんなことなのでしょうか。

ハイテクなERP (エレクトリック・ロード・プライシング)、いわゆる渋滞税の導入

国土の狭いシンガポールでは、1975年より都心部の混雑を緩和するため、ビジネス中心地区(CBD)に制限区域を定めて、その地区へ進入する車はあらかじめ許可証(一日3シンガポール・ドル、以下Sドル(約240円)又は一月60Sドル(約4,800円))をフロントガラスに提示するエリアライセンススキーム(ALS)を実施しました。
シンガポールは、世界で初めて都心部で通行料を徴収し渋滞を緩和する政策(渋滞税)を導入した国なのです。
当初は朝のピーク時の混雑緩和を主な目的としていましたが、1989年以降は現在のような「制限区域へ進入する都度、課金される電子システム(ERP)」となり、夕方の混雑時も適用されるようになりました。1994年以降は日曜・祝日を除く昼間も課金されるようになっています。
通行料金は、学校の休み期間なども加味するために3カ月ごとに見直され、一般道路では時速20~30km、高速道路では時速45~65kmで走れることを目標に設定されます。
ただし、金額は一律ではなく、交通量により変動するため、例えば普通車一台の場合、通行する道路や時間帯により1~6Sドル(約80円~480円)になります。ピーク時間帯には、交通量次第で30分ごとに料金が変わります。
支払いは、キャッシュカードを差し込む専用機器(150Sドル(1万2千円))をダッシュボードに設置すると、ERPゲートをくぐる都度24時間自動でキャッシュカードから引き落とされます。
ERPゲート上には、リアルタイムで変動する車種別の金額が電光掲示板に表示されていますので、通行時にその時の通行料を確認することができます。

都心部の駐車料金の値上げ、バスの増便など

1975年のエリアライセンススキーム(ALS)時代から、都心部の駐車料金を二倍にして政策の強化をはかりました。その結果、渋滞は2割程度減り、何よりもシンガポール人がこの政策を支持したそうです。
そのほかにも、バスの本数を増やし頻繁にバスを走らせたことや、制限区域の外に1万5,000以上のパークアンドライド(郊外の駐車場までは車で来て、そこから都心部までは公共交通機関などで移動する)を作りました。
このように移動手段を改善することで、都心部の渋滞を緩和し、到着の遅れを減らすことで、信頼できる道路状況を確保したのです。

地下鉄も早朝割引

シンガポールの公共交通機関で、最も早くて便利なのはMRT(Mass Rapid Transit)と呼ばれる地下鉄です。
シンガポールの人口は約561万人ですが、そのうち一日あたり約200万人を毎日輸送しており、朝の通勤ラッシュは大変混雑します。
そこで考えられたのが、祝日を除く平日朝7:45までに改札を入れば、乗車賃が一回の乗車につき50セント(約40円)割引になります。
料金は距離制ですが、初乗りが77セント(約61円)なので、50セント(約40円)の割引は少なくないといえます。
現在5路線ありいくつかは未だ拡張工事中ですが、さらに2路線が新設される予定です。2030年までの目標は、路線網の全長合計が360キロに達し、8割の家庭が駅から徒歩10分以内に居住しているようになることだそうです。
こうしたシンガポール政府の様々な取り組みは、大都市東京でも見習う点も多いのではないでしょうか。
Text:岩永 真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士

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