老後は夫婦2人で月23万円が必要だと聞きました。生活費の内訳はどうなっていますか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年11月18日 8時0分
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老後の生活費が夫婦2人で23万円くらい必要だと聞いたけれど、本当にそんなにかかるのだろうか、そもそも23万円も年金がもらえるのかなどと考える人もいることでしょう。 本記事では、夫婦2人が老後に必要な最低日常生活費について詳しく説明し、高齢者世帯の生活費の内訳や老後の収支改善の方法を解説します。
老後の日常生活費の平均月額は23万2000円
公益財団法人生命保険文化センター の「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人が老後に必要な最低日常生活費は月額23万2000円とのことです。割合で見ると、15万円未満が4.9%、15~20万円が9.2%、最も多い20~25 万円未満が27.5%、25~30万円未満が14.4%、30~40万円未満が18.8%、40万円以上が2.8%、わからないとした人が22.5%でした。
また、前年度の22万1000円と比べて、平均額は1万2000円増加しています。
ゆとりのある生活をするには14万8000円の上乗せが必要
夫婦2人が老後にゆとりのある生活をするためには、必要な最低日常生活費の平均23万2000円に平均14万8000円の上乗せが必要という結果も出ています。
また、日本年金機構では令和5年度の年金額(67歳以下)について図表1のように伝えています。
【図表1】
令和5年度の年金(月額) | |
---|---|
老齢基礎年金(満額) | 6万6250円 |
老齢厚生年金(夫婦2人の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) | 22万4482円 |
日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について 」より筆者作成
受け取れる年金が老齢基礎年金だけの場合は最低日常生活費には到底足りず、老齢厚生年金をもらえる場合はわずかに平均を下回る金額です。年金だけで生活費をまかなうのは難しく、さらにゆとりのある生活をするとなると、貯蓄などの必要性が高くなるでしょう。
高齢者世帯の生活費の内訳とは?
総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2022年」にて、2通りの高齢者世帯について生活費の内訳を図表2のように伝えています。
【図表2】
男性65歳以上、女性60歳以上の世帯で、65歳以上の人が1人以上いる無職世帯 | 夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯 | |
---|---|---|
実収入 | 24万7852円 | 24万6034円 |
消費支出 | 24万846円 | 23万9441円 |
食料 | 6万8275円 | 6万8078円 |
住居 | 1万6334円 | 1万5791円 |
光熱・水道 | 2万2807円 | 2万2574円 |
家具・家事用品 | 1万465円 | 1万397円 |
被服および履物 | 5199円 | 5087円 |
保健医療 | 1万6169円 | 1万5933円 |
交通・通信 | 2万9341円 | 2万9748円 |
教育 | 2円 | 2円 |
教養娯楽 | 2万1967円 | 2万1804円 |
その他消費支出 | 5万288円 | 5万28円 |
総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2022年 表番号4」より筆者作成
老後の収支を改善するための方法
老後の生活費を年金だけでまかなうのは難しい可能性が高いので、定年後も働いて収入を得たり貯蓄しておいたりする以外にも、老後の収支改善を検討してみてください。老後収支を改善するための方法は、以下の通りです。
●公的年金の受給額を増やせるようにする
●支出を減らす
方法別に内容を解説しますので、参考にしてみてください。
公的年金の受給額を増やせるようにする
定年後も厚生年金に加入して将来的に受け取れる年金額を増やす以外に、付加年金や任意加入制度、繰下げ受給といった制度を活用して公的年金を増やしましょう。制度別の特徴は以下の通りなので、適切な方法を選んでみてください。
●付加年金:第1号被保険者または任意加入被保険者が定額保険料に加えて付加保険料(月額400円)を納付することで、老齢基礎年金に付加年金(200円×付加保険料納付月数)を受け取れる制度。
●任意加入制度:老齢基礎年金の受給資格を満たしていないために、老齢基礎年金を満額受給できない60歳以上の人が、国民年金に任意加入することができる制度。任意加入によって受け取れる老齢基礎年金額を増やせる。
●繰下げ受給:原則として65歳から受け取れる老齢基礎年金や老齢厚生年金の受取開始時期を66歳から75歳の間に遅らせて年金額を増やせる制度。1ヶ月繰下げた場合の増減率は0.7%で一生涯適用される。老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらかの繰下げも可能。
支出を減らす
収入を増やすことは難しくても、支出を減らすことなら可能な場合があります。住宅ローンの契約や車のローンといったまとまった支出がある場合は、繰り上げ返済や一括返済なども検討してみましょう。繰り上げ返済や一括返済によって利息負担の軽減ができるだけでなく、借金による精神的負担からも解消されます。
また、食費の無駄をなくす、固定費を見直す、普段から健康に気を付けて医療費の負担を抑えるといったことも支出を減らすために有効な方法です。
苦しい老後生活にならないためにも今すぐできることから始めよう
夫婦2人が老後に必要な最低日常生活費は月額23万2000円ですが、あくまでも平均なのであって必ずしもその金額が必要なわけではありません。しかし、老後生活のなかでは思いがけず医療費がかかる、子どもや孫などに金銭的援助が必要になるといったケースが出てくるかもしれません。貯金をするだけでなく、定年退職後も働く、厚生年金に加入して老齢厚生年金の受給額を増やす、その他にも公的年金を増やすことや支出を抑えるなどして、老後の生活費を増やすことを検討してみてください。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2022年 表番号4
日本年金機構 付加年金
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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