家族が病気になってしまったら?改めて知っておきたい「医療費控除」とは
ファイナンシャルフィールド / 2018年9月19日 9時0分
家計について考える場合、収入・支出・資産・負債の4つの視点で見ていくと、問題の解決策が見つかりやすくなります。 収入を増やすという観点から「所得控除」についてお伝えしています。今回は14の所得控除のうち「医療費控除」についてです。 「医療費控除」は比較的メジャーな所得控除かもしれません。ご相談者からよく質問を受ける項目のひとつですが、一般的には「医療費のうち10万円を超えた金額が所得控除される」という認識の方が多いようです。 実をいうと、ここには少し誤解があって、もう少し詳しく見ていくと正確な内容を理解することができます。
「医療費控除」の適用期間、定義、計算方法は?
それでは医療費控除について具体的に見ていきましょう。
○医療費控除の適用期間はいつからいつまで?
毎年1/1~12/31まで。「医療費控除」は所得税制なので、カウントされる期間は年始から年末までとなっています。私たちの暮らしでは学校や会社が始まるのが4月からという場合が多いですが、所得税制では1月1日から始まって12月31日で計算が終わります。
○医療費の定義は?
「納税者が、自分、または生計を同じくする配偶者・その他親族のために支払った医療費」
つまり、夫が世帯主で扶養に入っている奥さまが何らかの病気で治療を受けた場合、その医療費が医療費控除の対象になる可能性があります。
○医療費控除はいくら?
医療費控除は、次のように計算されます。
医療費控除=(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-(10万円)
限度額は200万円/年です。この計算式を見ると、実際の医療費が「出ていった金額」、保険金などで補てんされる金額が「入ってきた金額」となっています。つまり、支出と収入を相殺したうえで、その金額からさらに10万円を差し引いた金額が医療費控除になるということになります。
このことから、前述の「医療費のうち10万円を超えた金額が所得控除される」という理解は誤りであることがわかります。
もう少し補足すると、「保険金などで補てんされる金額」とは、たとえば、医療保険からの給付金や、健康保険からの療養費・出産一時金などが該当します。
「医療費控除」の計算事例
ケーススタディで見てみましょう。
実際にかかった医療費が30万円、会社で入っている健康保険からの療養費が21万円(7割負担分)だった場合、医療費控除は、(30万円-21万円)-10万円=△1万円となります。この場合、適用を受けることができません。
また、実際にかかった医療費が50万円、会社で入っている健康保険からの療養費が35万円(7割負担分)、ご自身で加入している医療保険の給付金が10万円だった場合、(50万円-35万円-10万円)-10万円=△5万円となり、こちらの場合も医療費控除の適用を受けることができません。
「医療費控除」は世帯収入の補てんにつながる
このように見ていくと、「なんだ、あんまり意味ないじゃん」と思うかもしれませんが、医療費控除は所得控除であるため、世帯ベースで医療費をカウントすることができます。
つまり、生計が同じなら自分だけでなく、配偶者も、お子さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、かかった医療費をみんな一緒に合算してもらえるため、この点で世帯収入の補てんにつながります。
医療費控除の対象になる医療費には、病院や歯医者さん、整骨院などにかかった治療費はもちろん、薬局などで買った薬代、病院への通院費、入院したときのベッド代や食事代、場合によっては介護サービスを受けた費用なども含まれます。
「家族が病気にかかったら、生活を維持するのが大変だ。だから、世帯収入を税制で少しだけカバーしてあげよう」
これが、所得控除のひとつである「医療費控除」の目的とご理解ください。
Text:重定 賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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