2040年には75歳以上が2240万人を超える!考えておきたい高齢者が認知症になった時の財産管理
ファイナンシャルフィールド / 2018年9月18日 10時20分
「少子高齢化」という言葉は、今では小学生でさえ知っています。 国立社会保障・人口問題研究所の予測では、2040年には、75歳以上の人口が約2240万人になるそうです。高齢者の増加とともに、年金が少なくなる、社会保障費が増えるなど、人口が高齢化した場合、リスクはいろいろと考えられます。 今回考えてみたいのは、認知症になった時の財産管理です。
高齢化とともに金融資産も膨らんでいく
今後さらなる高齢化が進むと、家計の金融資産も高齢者に偏り、家計金融資産の約3分の2を60歳以上の高齢者が保有するそうです。その総額は2030年度には、今の1.5倍の約215兆円。この金融資産を活用しないと、経済が停滞していきます。
高齢者から子ども世代への贈与のための非課税制度もありますが、親子でお金の話をオープンにできるご家庭は多くないでしょう。まだまだ元気なのに、もしもの話は縁起が悪いと親に怒られたという方のお話も聞いたことがありますが、では、いつならお金の話が親子でできるのでしょう。
いつ認知症になるか、いつ相続が発生するか、わからないからこそ、日常のなかでの対策が欠かせないのです。
高齢者への対策は急務
何歳ぐらいから認知症になるのかは、年齢だけでは判断できません。だれにも程度差はあるものの、高齢による認知機能の低下はありますから、高齢者への保険加入の際のガイドラインの制定など、高齢者への対応策も取られるようになってきました。
例えば、複数の親族等の同席をしてもらい、商品内容の説明等を実施したり、2名以上の募集人により訪問の上、商品内容の説明を実施したり、じっくりと高齢者の意向に沿った商品内容等であることの確認をするなどです。
ただし、おひとりさまや子どものいない人、子どもが遠くにいるなどの単身世帯の場合にどうするのか、高齢者の財産を管理する方法への対策は急務といえるでしょう。
そもそも金融商品や保険の仕組みは複雑です。高齢者にリスクがあることを説明しようとしても、「そんな難しい話をされてもわからない」などといわれてしまうことも多く、それ以上勧められませんし、保険に加入したものの、認知症になって請求すらできない場面も考えられます。
保険加入の際には、受け取る時を想定して指定代理人を付ける、それ以外にも、成年後見制度を利用する、信託を利用する、など、高齢者の財産を守る制度を利用することが必要でしょう。
それぞれの制度はもちろん一長一短
高齢者の財産を守るために完ぺきな制度はありません。ですから、それぞれのできること、できないことを想定して、いくつかの制度を併用しながら、完ぺきに近づけていくしかないでしょう。大事なのは、健康な時にしっかりとした知識を持ち、周囲の人に相談することです。
例えば、成年後見制度を利用する時には、かなりの重度な認知症の場合が多いですが、この制度を利用すると、財産の元本確保が前提です。いったん成年後見人がついてしまうと、親族が本当に大変なときに助け合いもできません。
実際、子どもの学費がどうしても支出できず、祖母に援助を申し出たかったものの、後見人の弁護士に「それはできません」と断られた方がいらっしゃいます。本人が健康であれば、孫の学費ぐらいだしてあげると言っていたかもしれませんが、一旦、この制度を使ってしまうと、電話一本かけて「お願い」と言えたことすら、面倒なことになってしまいます。
自分の意思は、健康な時でなければ表明できないのです。まだまだ健康だから大丈夫、縁起でもないから考えないというのではなく、健康な時こそ、しっかりと意思表明をするべきです。
私も仕事柄、遺言書の作成をお手伝いする事がありますが、子どもたちに聞いてからというのは少ない気がしています。遺言書を見て、こんなはずじゃなかったと言う相続人の方もいらっしゃいます。大事なことだからこそ、日常的にちゃんと家族で話し合うことが大切でしょう。
Text:當舎 緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)
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