敬老の日が過ぎた今、高齢の親が振り込め詐欺にあわないために子どもが知っておきたい現実
ファイナンシャルフィールド / 2018年9月18日 23時10分
高齢者の振り込め詐欺被害が毎日のように報じられています。最近では、「法務省管轄支局民事訴訟管理センター」、「法務省管轄支局国民訴訟通達センター」などの名称で、「消費料金に関する訴訟最終通告のお知らせ」などのタイトルのはがきが送りつけられ、多額の金銭がだまし取られる被害が報じられました。 高齢の親の財産管理に不安を持つ子どものたちなどのニーズに応える金融商品が数年前から出始めています。
振り込め詐欺等の被害状況
警視庁によると、平成29年の振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺)をはじめとする「特殊詐欺」の被害状況は、認知件数が18,212件と、前年に比べ約29%増えています。
被害総額は、振り込め詐欺約378.1億円(警察官等をかたってキャッシュカードを直接受け取る等の手口で、事後ATMから引き出された金額を加えた実質的な被害総額)と振り込め詐欺以外の特殊詐欺約16.7億円を合わせて約394.7億円となっています。被害総額は前年に比べ3%減少しています。
平成30年は6月までで、認知件数8,197件(前年同期比-672件)、被害総額は174.9億円(前年同期比-13.3億円)となっています。詐欺の手口は年々巧妙化しており、最近は、「法務省管轄支局を騙った振り込め詐欺」「首都圏を中心に還付金名目のキャッシュカード手交型詐欺」「平成30年7月豪雨に便乗した詐欺」が増加しています。
詐欺を防ぐには
警視庁のホームページに詐欺の手口が載っていますので、親子で情報を共有しておきましょう。また、子どもから親に「今日中に300万円必要」などと、お願いすることはないと予め伝えておくことも有効です。電話には直接でないようにしてメッセージは留守電で受け取るようにすれば、冷静に判断できると思います。
東京都では「この電話は振り込め詐欺被害防止のため……自動録音されます」というメッセージの入った自動通話録音機を、65歳以上の方がいる世帯に無料で貸し出すサービスをしています。お住いの自治体で同様のサービスがないか調べて、あれば親に勧めてあげましょう。電話に出るときは、親の呼称や合言葉などを決めておくと良いでしょう。
振り込め詐欺等の被害を防ぐ金融商品
お金を簡単には引き出せない「解約制限付き信託」という金融商品があります。信託銀行にお金を預けると、簡単にはまとまったお金を引き出すことができないのが特徴です。
まとまったお金の引き出しには、みずほ信託銀行の特約選択型金銭信託「選べる安心信託」、三菱UFJ信託銀行の「みらいのまもり」は3親等以内の成人の親族か、弁護士、司法書士の同意が必要です。三井住友信託銀行の「セキュリティー型信託」は3親等以内の成年の親族の同意が必要となっています。
その他、各社、商品ごとの特徴があります。
みずほ信託銀行の特約選択型金銭信託「選べる安心信託」は、「解約制限」の他にも「ご自分用受取」「ご家族用受取」「暦年贈与」といった各種金融機能があり、必要な時に必要な機能だけを選んで利用できます。
たとえば、「ご自分用受取」を選べば、定期定額受け取りができます。この場合、同意は不要で、まとまったお金が必要な時だけ親族の同意が必要になります。
また、「介護・老人ホーム」「みまもり・警備」「住まいの改修」「家事代行」といったサービスを扱う企業を特典付きで紹介してもらえます。信託金額は3,000万円以上です。費用は、信託設定時に信託時信託報酬として信託金額に対して2.16%(税込)、契約期間中、管理信託報酬として月額10,800円(税込)や運用報酬がかかります。
三菱UFJ信託銀行の「みらいのまもり」は使いみちが限定されています。老人ホームなどの入居一時金、もしくは10万円以上の医療費以外では使用できません。お金は、信託銀行から直接、施設や病院に振り込まれます。信託金額は1,000万円以上です。
費用は、管理報酬は無料ですが運用報酬がかかります。特典としては、認知症等に関するさまざまな情報・サービスの提供を信託銀行の提携企業から受けることができます。
三井住友信託銀行の「セキュリティー型信託」は、生活に必要な資金は定期的に決まった金額が支払われます(同意不要)。まとまったお金の引き出しにはあらかじめ指定した家族等の同意が必要です。信託金額は500万円以上、信託期間は5年です。費用は、管理報酬は無料ですが運用報酬がかかります。
預貯金が500万円以上ある高齢の親の財産を振り込め詐欺等から守るには選択肢のひとつとなりそうです。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
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