保険料は払わないけど受給資格期間になる「合算対象期間」老後に年金をもらう為の条件は?
ファイナンシャルフィールド / 2018年9月24日 10時10分
国民の老後の生活に関係の深い年金。多くの人たちが将来に不安を持つ中、今一度この年金制度について勉強してみましょう。 今回は年金をもらうための「受給要件」について紹介します。受給要件とは、年金を受給するために必要な条件のことです。 たとえば多くの人が受給する老齢年金(遺族年金、障害年金を除く)の受給要件は、(1)一定の年齢に達していること(60歳~65歳で生年月日により異なる)、(2)保険料の受給資格期間が10年以上あること、があげられます。 特にここでは考え方がやや複雑な(2)について解説します。
年金を受給するために必要な加入期間「受給資格期間」
ご存じの人もいると思いますが、もともと年金は現役時に25年以上保険料を納付していることが受給要件となっていました。しかし、平成29年8月に、この期間は25年から10年に短縮されました。この受給に必要な期間のことを「受給資格期間」といいます。
受給資格期間は「保険料を払った期間」のことをいいますが、実はその他にも次の期間が含まれます。
・保険料免除期間
・合算対象期間
これらの期間を通算(合計)した期間が受給資格期間になります。
保険料の免除を受けるには申請が必要
「保険料免除期間」とはその名の通り保険料の支払いを免除された期間になります。
たとえば障害者や学生など、働いて収入を得ることが難しい場合や、それ以外の人でも所得が少なく毎月の保険料の支払いが難しい場合、本人の申請に基づいて保険料の全部または一部を免除してもらうことができます。
申請を行わずに勝手に保険料の支払いを怠ると保険料「未納」の扱いとなり、受給資格期間にならないだけでなく、万が一障害になった場合に障害年金の受給対象にならないこともあるので注意が必要です。
※障害年金1、2級受給者、生活保護法による生活扶助受給者は申請が不要です
保険料は払わないけど受給資格期間になる?「合算対象期間」
一方、「合算対象期間」とは年金額には反映されないが、受給資格期間としてみなすことができる期間のことをいいます。
これは、毎月の保険料を払わないので老後にもらう年金額の計算には反映されませんが、10年である受給資格期間に算入される期間です。具体的には本来義務(強制加入)である国民年金が任意加入となるケースで、下記期間などが該当します。
A:平成3年3月31日までの学生で、国民年金に任意加入しなかった期間
B:昭和36年4月1日から昭和61年3月までで、厚生年金の被保険者の配偶者であり、国民年金に任意加入しなかった期間
C:海外に居住している期間(ただし日本国籍を有する者)
あまり知られていませんが、たとえば上記A、Bの期間、国民年金は強制加入ではなく任意加入(保険料を払いたい人のみ加入)でした。
確かに任意加入だから保険料を払わなかったのに、保険料を払った人と受給権で差別するのは好ましくありません。ですので、老後の年金額には反映しませんが、受給資格期間とみなしてくれるのです。
Cのケースも国内居住者ではないので強制加入にはなりません。ただし、代わりに居住国での年金に加入する必要があります。なお、Cのケースでは老後の年金受給額を増やすための任意加入が可能です。(居住国の年金と両方の保険料を納付)
他にも「第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満の期間又は60歳以上の期間」など「合算対象期間」となるケースは複数ありますので、確認してみましょう。
異なる年金は通算します
サラリーマンをしている人が転職して公務員になったり、退職して自営業者や無職になったりすると、加入する厚生年金の種類が替わります。これらの場合、厚生年金から国民年金に切り替わりますが、その際はそれぞれの年金の加入期間の合計が受給資格期間になります。
もし会社を退職し、無職になった場合は、国民年金への切り替え手続きを行う必要があります。そして、保険料を納付し始めなければ、保険料の未納扱いとなり受給資格期間にはなりません。
・上記ケースでは受給資格期間は7年+10年+8年=25年
・37歳~52歳の間は国民年金保険料未納のため受給資格期間には該当しない
自分の年金記録をチェックしてみよう
自分がどれ位の期間年金に加入し、保険料を払っていたかは、日本年金機構から郵送される「ねんきん定期便」で確認できます。また、「ねんきん定期便」は、平成21年度から毎年被保険者の誕生日月に送る形となっています。
もし送られてこない人がいれば、正しい住所が登録されてない可能性があります。その場合は身分証明書を持って最寄りの年金事務所へ行けばいつでも確認できます。
Text:蓑田透(みのだ とおる)
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表
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