会社員の、あるいは会社員だった夫が、もし自身が亡くなった場合に、「遺された妻にどれだけ遺族年金が出るだろう」 (1)
ファイナンシャルフィールド / 2018年9月26日 10時0分
会社員の、あるいは会社員だった夫が、もし自身が亡くなった場合に、「遺された妻にどれだけ遺族年金が出るだろう」と考えることもあるでしょう。 しかし、厚生年金加入期間がある人が亡くなった場合の遺族厚生年金については、亡くなった人の亡くなった当時の要件次第で、金額も大きく変わる可能性があるため注意が必要です。その注意点について、全2回に渡って取り上げます。
亡くなった人の要件とは?
遺族厚生年金を受けられる遺族は、亡くなった人の配偶者、子、父母、孫、祖父母(妻以外は年齢による制限があります。)ですが、遺族厚生年金を受けるためには、【図表1】のとおり、亡くなった人の要件として4つの要件があり、いずれか1つを満たしている必要があります。
Aが在職中の死亡、Bが在職中に死亡の原因となる病気やケガの初診日があり、それより5年以内の死亡、Cが障害等級1、2級の障害厚生年金を受給できる人の死亡、Dが老齢厚生年金を受給できる人や老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人の死亡(ただし、【図表1】のとおり、カッコ内の期間がある人に限定)、となっています。
比較的若い人が亡くなった場合を想定したABCは短期要件と呼ばれ、中高齢者が亡くなった場合を想定したDは長期要件と言われています。ABの場合は保険料についての一定の納付・免除期間を有している必要があります(【図表1】の下のアあるいはイ)。
亡くなった人の要件によって計算式が異なる!
亡くなった人が先述のA~Dのいずれかの要件を満たし、対象となる遺族が亡くなった人に生計を維持されていれば、遺族は遺族厚生年金が受けられます。遺族厚生年金は、亡くなった人の受けていた、あるいは受ける予定であった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3にあたる額というのが原則で、亡くなった人の全ての年金加入記録のうちの、厚生年金加入記録に基づいて計算されます。
計算方法は【図表2】の計算式のとおりです(【図表2】の計算式は本来水準の計算式というもので、他に従前額保障の計算式というものもあります。)。ただし、【図表2】にあるように、【図表1】のABCに該当する場合と、Dに該当する場合とで計算方法が異なります。
若くして亡くなると、亡くなった人の厚生年金の加入期間が短いため、単純に厚生年金の月数を掛けると金額が少なくなり、遺族の生活が保障できなくなってしまいます。そこで、【図表1】のABC(短期要件)の場合は、厚生年金の加入月数の合計が300月なくても、300月にみなして、計算することになります。
一方、D(長期要件)の場合は、亡くなった人の実際の厚生年金加入月数で計算されることになります。
そうなると、短期要件と長期要件では金額が異なってくることもあります。例えば、平均標準報酬月額32万円で、平成15年3月以前の厚生年金加入月数が120月、平均標準報酬額が45万円で、平成15年4月以降の厚生年金加入月数が90月の場合、短期要件では合計210月の厚生年金加入期間を300月にみなして年間約53万円の年金になるのに対し、長期要件では、短期要件と同じ乗率(7.125/1000と5.481/1000)を用いた場合、年間37万円程度にしかなりません。
厚生年金の加入期間が短い場合、在職中の若い人が亡くなった場合は、300月にみなしての保障があるのに対し、短期要件に該当しない、長期要件の中高齢者の場合は金額が少なくなるので要注意でしょう。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
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