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未婚のひとり親も「寡婦(夫)控除」の対象へ。厚生労働省が要望

ファイナンシャルフィールド / 2018年10月2日 9時30分

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平成31年度税制改正の要望として、厚生労働省は「寡婦(夫)控除」の寡婦(夫)に未婚のひとり親を加えることを掲げました。「寡婦(夫)控除」(所得控除)は、現行では、寡婦(夫)となった原因が、死別(生死不明の場合も含む)、離婚の場合にしか認められておらず、未婚のひとり親は対象外です。   ひとりで子どもを育てる親の負担を軽減する必要性は親が法律婚であるかどうかで差をつけるのは不合理だという考えが広まってきたことが税制改正要望の背景にあります。  

未婚のひとり親家庭の現状

厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、ひとり親になった理由が「未婚の母」である割合は8.7%と死別の8.0%より高くなっています。
また、母子世帯の母の平均年間就労収入は、死別186万円、離婚205万円、未婚177万円と厳しくなっており、死別や離婚に比べ経済的支援の必要性が高いといえます。
 

「寡婦(夫)控除」の額

「寡婦(夫)控除」の額は、寡婦(夫)となった原因が死別か離婚か、扶養義務の有無、所得金額等により異なります。所得控除できる金額は27万円(住民税からは26万円)で、寡婦の場合、「特別の寡婦」にあてはまると35万円(住民税からは30万円)になります。男性には「特別の寡夫」という制度はありません。所得控除なので、軽減される所得税は、「所得控除額×所得税率」、住民税は「所得控除額×10%」となります。
 

●一般の寡婦控除

納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で以下のいずれかに当てはまる場合、所得から27万円を差し引くことができます(住民税からは26万円を控除)。
(1) 夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子(※)がいる人です。
(2) 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。
 

●特別の寡婦控除

さらに、次の3つの要件をすべて満たすと「特別の寡婦」に該当し、所得金額から35万円控除できます(住民税からは30万円を控除)。
(1) 夫と死別し又は夫と離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
(2) 扶養親族である子がいる人
(3) 合計所得金額が500万円以下であること。
 

●寡夫控除

納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で以下の3つの条件すべてに当てはまる場合、所得から27万円を差し引くことができます(住民税からは26万円を控除)。
(1) 合計所得金額が500万円以下であること。
(2) 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
(3) 生計を一にする子(※)がいること。

※「生計を一にする子」でいう子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
 

未婚のひとり親家庭に対する支援

児童扶養手当などのひとり親家庭向け支援は未婚のひとり親も受けられますが、税制上の「寡婦(夫)控除」の対象とならないため、死別、離婚に比べ税金が高くなっているだけではなく、保育料や公営住宅の家賃などの負担も多くなっています。
このような状況を踏まえ、一部の自治体では、保育料などの基準となる所得を算定する際に、未婚のひとり親も「寡婦(夫)控除」を適用されたとみなす「みなし適用」が広がっています。みなし適用の範囲は自治体によって異なります。
さらに、自治体の動きを後追いする形で、政府は、2018年9月より、保育料の基準となる所得を算定する際に、未婚のひとり親も「寡婦(夫)控除」を適用されたとする政令改正を閣議決定しました。適用を受けるには自治体の窓口で申請が必要になります。
しかし、まだ、根本的な解決には至っていません。「寡婦(夫)控除」の寡婦(夫)に未婚のひとり親を加えることが必要です。今後の税制改正の動きを注視しましょう。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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