60歳で定年退職、65歳から年金支給・・・あれ?空白の5年間が生じる? 老齢年金の支給開始年齢
ファイナンシャルフィールド / 2018年10月2日 9時0分
![60歳で定年退職、65歳から年金支給・・・あれ?空白の5年間が生じる? 老齢年金の支給開始年齢](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_25781_0-small.jpg)
国民の老後の生活に関係の深い年金。多くの人たちが将来に不安を持つ中、今一度この年金制度について勉強してみましょう。 今回は、年金は何歳からもらうことができるかについて紹介します。
年金をもらい始めることができる年齢
日本の公的年金には国民全員が加入する国民年金とサラリーマンや公務員(第2号被保険者といいます)が加入する厚生年金の2種類があります(公務員が加入する年金は共済年金といいますが、平成27年10月に手続きが一本化され厚生年金に含まれることになりました)。
老後に受給する老齢年金ですが、もらい始める年齢(これを「支給開始年齢」といいます)は原則65歳です。年金は働ける現役時(国民年金は20歳~60歳までの40年間、厚生年金は第2号被保険者である期間になります)に加入してその間年金保険料を払い続け、65歳になってようやく年金をもらい始めます。これを図で表すと以下のようになります。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-2.jpg)
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定年退職から65歳までの無収入期間が生じる?
ここで図を見ていただくとわかりますが、図1の国民年金のみ加入していた人は60歳~65歳の間、図2のサラリーマンをしていた人は退職後の62歳~65歳の間、年金をもらえない期間が生じます。以前、年金は国民全員が今の65歳ではなく60歳からもらえる制度でした。
ところが平均寿命の延びや高齢者の増加などで年金財源が厳しくなり、支出を抑えるため年金の支給開始年齢が65歳に変更されました。そのため65歳までの期間については次の対応が求められます。
(1)貯蓄を切り崩して生活費に充てる
(2)65歳まで働く(現役時の勤務先の雇用延長制度を利用するか、または新たに求職活動をする)
(3)年金繰上げ請求制度を利用して年金を早めにもらい始める
平均寿命が延びる中、(1)はお勧めできません。
(2)については高齢者の求職活動は決して簡単ではありませんが一番現実的な方法といえるでしょう。なお、現在企業の多くが60歳定年退職制を採用していますが、その後再雇用する形での雇用延長制度を導入することで社員の65歳までの雇用を維持しています。
ただし定年退職してからの再雇用契約となるので、給与が大幅に減額されることになるでしょう。
(3)の年金繰上げ請求(年金受給を最大60歳まで早める)も現実的な方法です。ただし、この場合、年金受給額は1ヶ月繰り上げるごとに0.5%減額されます(5年繰上げの場合は30%の減額)。この繰上げ請求手続については別の機会に改めて紹介します。
年金支給開始年齢の段階的引き上げ
少し細かい話になるのですが、上述の通り年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたわけですが、さすがにある年からいきなり65歳に引き上げられたら、そのときに60歳直前の人(例えば59歳の人)は、1年早く生まれた人(1歳年上の人)が60歳から年金をもらうのと比べ65歳からもらい始めることなってしまい公平性に欠けてしまいます。
そこで一定の年代ごとに受給開始年齢を65歳まで1歳ずつ引き上げることになりました。下記は厚生年金の受給開始年齢の引き上げが行なわれる昭和28年生まれ以降の人の受給開始年齢です※1。()
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例えば、昭和32年8月30日生まれのサラリーマンの男性は、63歳から厚生年金部分を受給し、65歳時に基礎(国民)年金部分が追加されます。女性は誕生年が男性に比べ5年遅くなっています(ただし共済年金加入者は男性の誕生年と同じ)。()
いかがでしょうか? このように年金は65歳(一部の人は60歳~64歳)からの支給開始となりますが、仕事を引退してから65歳まで間の過ごし方はとても重要になります。60歳以降の就労のためのスキルアップや資産運用など、早い時期から情報収集を行い、対応方法について検討するとよいかもしれません。
出典
※1日本年金機構のウェブサイトの「厚生年金の支給開始年齢」を修正
Text:蓑田透(みのだ とおる)
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表
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