【年末調整】年収300万円の妻を「扶養」として申告したらどうなる? あとで「7万円」徴収されるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2024年1月6日 10時0分
会社員の人は昨年末に年末調整の書類を会社に提出したことでしょう。年末調整は年1回のことであり、小難しい文言が並んでいるので、記載を間違えるということは誰にでもあります。ただ、その間違いに会社も気付かずに処理が進んでしまった場合、一体どうなるのでしょうか。 本記事では、扶養に入れない妻を「扶養」として年末調整された場合どうなるのかを解説します。
妻を「扶養」にするとどうなる?
妻を「扶養」として年末調整すると、納税者の方では所得税と住民税の計算において「配偶者控除」が適用されます。配偶者控除とは所得控除の1つで、税金の対象になる課税所得を減らす効果があります。配偶者控除の金額は、納税者本人の合計所得金額が900万円以下(給与収入1120万円以下)であれば38万円(住民税は最高33万円)となっています。
配偶者控除38万円があることで節税される所得税と住民税は、所得税率が10%の人の場合で以下のとおりとなります。なお住民税率は所得に関係なく一律10%です。
【所得税】
38万円×10%=3万8000円
【住民税】
33万円×10%=3万3000円
【合計】
3万8000円+3万3000円=7万1000円
妻を扶養にして配偶者控除を受けると、所得税と住民税が年間約7万円安くなる計算結果となりました。所得税率が10%になる年収の目安は500万円から600万円で、700万円以上になると20%となり、反対に400万円以下になると5%になります。つまり、年収の高い人ほど配偶者控除の節税効果が大きくなるということです。
「扶養」を間違えてしまった場合どうしたらよい?
配偶者控除が受けられる配偶者は年間の合計所得金額が48万円以下(年収103万円以下)でなければならないので、年収300万円の妻は該当せず、本来であれば配偶者控除を受けることはできません。ただ、すでに年末調整が済んでいる場合、本来納めなければならない所得税より3万8000円(所得税率10%の場合)少なくなっていることになります。これはわざとではないにせよ脱税状態といえます。
この場合、気が付いた時点で会社に知らせましょう。年末調整の再計算ができる状態であれば会社で対応してもらえるでしょう。間に合わなければ自分で確定申告を行い、扶養を修正して追加の所得税3万8000円を納付します。
ちなみに、この場合は住民税については何もしなくて大丈夫です。住民税の新年度分は翌年6月からであり、この年末調整や確定申告によって正しい金額に修正されます。
何年も間違っていた場合
税金の時効は原則として「5年」です。間違いに気が付いた時点で、時効が到来していない分の確定申告を行いましょう。2015年から間違っていたのであれば、2018年分から2022年分が対象になります。この場合、住民税についても何年も間違っていることになるので、所得税に合わせて住民税の追徴も受けることになります。
なお、「間違い」ではなく「意図的」に偽った場合の時効は「7年」になるので注意しましょう。
間違いに気が付かなった場合
間違いに気が付かなかった場合、税務署から会社に対して連絡がいき、会社を通して納税者に確認が行われます。指摘のとおり間違っていた場合には、確認の時期に応じて会社が年末調整のやり直しを行うか、自分で確定申告を行って不足分の所得税を追徴します。税務署が間違いに気が付いたタイミングが3年後であれば、3年分の修正を行わなければならず、その分、追徴される金額も大きくなるので注意しましょう。
なぜ税務署にバレるの?
税務署が間違いに気が付く理由は、税務署には妻の会社を通して、妻の年収に関する情報も届いているからです。夫婦の情報を照らし合わせれば、扶養の間違いなどはすぐに見つかるでしょう。特に今はマイナンバーが紐づいているので、このような間違いはなおさら見つかりやすくなっています。
まとめ
年末調整で「扶養」の記載を間違えたら、すぐに会社に相談しましょう。状況に応じて、年末調整の再調または確定申告で対応します。いずれにしても妻を扶養にしたことで、納めるべき税金が本来の金額より少なくなっているので、差額分を追徴しなければなりません。
出典
国税庁 No.1191 配偶者控除
東京都主税局 個人住民税
国税庁 第72条関係 国税の徴収権の消滅時効
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
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